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(・・・また、このみぎうでがうずきやがる。うつわにおさまりきらぬ) …また、この右腕が疼きやがる。器に収まりきらぬ (きょむのしょうどう、いな、わがうちにふういんされしきんきのそんざい) 虚無の衝動、否、我が内に封印されし禁忌の存在 (「くろはすのごうか(れーヴぁていん)」が、おりを) 「黒蓮の業火(レーヴァテイン)」が、檻を (こわしてげんせへとけんげんしようとしているのだ。くくく、) 壊して現世へと顕現しようとしているのだ。ククク、 (ぐかな。まだそのときではないというのに。このせかいは) 愚かな。まだその時ではないというのに。この世界は (あまりにももろく、そしてうつくしい。おれがそのきになれば、) あまりにも脆く、そして美しい。俺がその気になれば、 (このげんせ(うつしよ)のりなど、またたくまにかいじんへときす) この現世(うつしよ)の理など、瞬く間に灰燼へと帰す (ことができる。だが、おれはそれをのぞまない。なぜなら、) ことができる。だが、俺はそれを望まない。なぜなら、 (おれはこのいまわしきうんめいのくさりにしばられた、ただのかんそくしゃ) 俺はこの忌まわしき運命の鎖に縛られた、ただの観測者 (にすぎないからだ。しゅういをみわたせば、うぞうむぞうのぼんじん) に過ぎないからだ。周囲を見渡せば、有象無象の凡人
(どもが、へいわというなのぎまんにみちたゆりかごのなかで、) どもが、平和という名の欺瞞に満ちた揺り籠の中で、 (まどろみのなかにおぼれている。かれらはなにもしらないのだ。) 微睡みの中に溺れている。彼らは何も知らないのだ。 (このそらのはて、せかいのきょうかいせん(えーてるらいん)) この空の果て、世界の境界線(エーテル・ライン) (がすでにまもうし、しゅうえんのかうんとだうんがはじまっている) が既に摩耗し、終焉のカウントダウンが始まっている (ことを。かれらのひとみにはうつらない、てんをさく「あかきつき) ことを。彼らの瞳には映らない、天を裂く「赤き月 ((ぶらっでぃむーん)」のふきつなかがやきが、おれのもうまくを) (ブラッディ・ムーン)」の不吉な輝きが、俺の網膜を (やく。かつてかみがみがかわした「ふるのけいやく(あーく) 灼く。かつて神々が交わした「古の契約(アーク・ (ぷろとこる)」はやぶられた。のこされたのは、ちぬられた) プロトコル)」は破られた。残されたのは、血塗られた (みらいのしなりおのみ。おれはかつて、ひかりのけんぞくであった。) 未来のシナリオのみ。俺はかつて、光の眷属であった。 (すうせんものほしぼしをすべるせいおうのみぎうでとして、ちつじょのけんを) 数千もの星々を統べる聖王の右腕として、秩序の剣を
など
(ふるっていた。しかし、あの「そうせいのはんぎゃく(るしふぁー) 振るっていた。しかし、あの「創世の叛逆(ルシファー (ふぉーる)」のひ、おれはしんじつをしってしまったのだ。) ・フォール)」の日、俺は真実を知ってしまったのだ。 (ぜったいせいぎをうたうかみがみのうらにかくされた、そこしれぬあくいを。) 絶対正義を謳う神々の裏に隠された、底知れぬ悪意を。 (ぜつぼうしたおれは、みずからつばさをもぎとり、しんえんへとみをとうじた。) 絶望した俺は、自ら翼を捥ぎ取り、深淵へと身を投じた。 (そのしゅんかんにえたのが、このあらゆるりをひていするくろきまりょく。) その瞬間に得たのが、このあらゆる理を否定する黒き魔力。 (ひとびとはおれを、いふとさげすみをこめて「だてんのしっこうしゃ(あざぜる)」) 人々は俺を、畏怖と蔑みを込めて「堕天の執行者(アザゼル)」 (とよぶ。ときおり、たえがたいこどくがおれのたましいをむしばむ。わがしんのすがた、) と呼ぶ。時折、耐え難い孤独が俺の魂を蝕む。我が真の姿、 (そしてこのおもすぎるじゅうじかをりかいできるものなど、このちひょう) そしてこの重すぎる十字架を理解できる者など、この地表 (にはひとりもそんざいしない。かつてのせんゆうたちも、いまやれきしの) には一人も存在しない。かつての戦友たちも、今や歴史の (ちりとなり、あるいはてきとしておれのまえにたちはだかるだろう。) 塵となり、あるいは敵として俺の前に立ちはだかるだろう。 (かつてかわしたやくそくも、いまではただのげんえいにすぎない。) かつて交わした約束も、今ではただの幻影に過ぎない。 (「もしせかいがきみをこばむなら、ぼくはせかいをほろぼそう」) 「 もし世界が君を拒むなら、僕は世界を滅ぼそう 」 (...。くっ、のうりにひびくしょうじょのうたごえが、れいてつであるべき) ...。クッ、脳裏に響く少女の歌声が、冷徹であるべき (おれのこころをまどわせる。だが、もうもどるみちはない。だんざいのきざみ) 俺の心を惑わせる。だが、もう戻る道はない。断罪の刻 ((じゃっじめんとたいむ)はちかい。わがけつみゃくに) (ジャッジメント・タイム)は近い。我が血脈に (ながれる「かみごろしのいでんし(ごっどすれいやー) 流れる「 神殺しの遺伝子(ゴッドスレイヤー・ (ふぁくたー)」が、かんきにふるえてさけびごえをあげている。) ファクター) 」が、歓喜に震えて叫び声を上げている。 (このみぎうでをしばる、とくいてんからちゅうしゅつしたふかしのまどうくさり) この右腕を縛る、特異点から抽出した不可視の魔導鎖 ((みすてぃっくちぇいん)も、げんかいをむかえているようだ。) (ミスティック・チェイン)も、限界を迎えているようだ。 (ほうたいのすきまからもれだすしでんのかがやきが、よやみをあやしくてらしだす。) 包帯の隙間から漏れ出す紫電の輝きが、夜闇を妖しく照らし出す。 (せかいよ、せんたくのときだ。おれとともにしんえんへとおちるか、) 世界よ、選択の時だ。俺と共に深淵へと堕ちるか、 (それともわれがくろきほのおにやかれてむへとかえるか。どちらをえらぼう) それとも我が黒き焔に焼かれて無へと還るか。どちらを選ぼう (とも、おれのあゆむはどうにかわりはない。おれはただ、くらやみの) とも、俺の歩む覇道に変わりはない。俺はただ、暗闇の (かなたにある「しんりのとびら(おめがげーと)」をこじあける) 彼方にある「 真理の扉(オメガ・ゲート) 」をこじ開ける (だけだ。たとえこのたましいがえいごうのごうかにやかれ、そんざいそのもの) だけだ。例えこの魂が永劫の業火に焼かれ、存在そのもの (がしょうめつしようとも、おれはかみにそむき、うんめいをあざわらいつづける。) が消滅しようとも、俺は神に背き、運命を嘲笑い続ける。 (さあ、きょうえんをはじめよう。わがなは「やてんをすべるかげ) さあ、狂宴を始めよう。我が名は「 夜天を統べる影 ((しゃどうおぶえたにてぃ)」。すべてをむにかえすものだ。) (シャドウ・オブ・エタニティ) 」。すべてを無に還す者だ。
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