心霊写真 -20-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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1 berry 7950 8.0 99.0% 392.3 3149 30 56 2026/07/21
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問題文

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(「そうです。「かいぶつ」、「せきがんのまおう」などとしょうされた、) 「そうです。「怪物」、「隻眼の魔王」などと称された、 (しゃかいしゅぎしゃにしてこっかしゅぎしゃ、そしてしゅうきょうか。) 社会主義者にして国家主義者、そして宗教家。 (ちょさく「にほんかいぞうほうあんたいこう」は、そのころこうどこくぼうこっかをめざす) 著作「日本改造法案大綱」は、そのころ高度国防国家を目指す (りくぐんとうせいはとはんもくし、ざいばつしほんとゆちゃくするせいじふはいをかんかできない、) 陸軍統制派と半目し、財閥資本と癒着する政治腐敗を看過できない、 (こうどうはせいねんしょうこうたちのうっくつしたふらすとれーしょんを、) 皇道派青年将校たちの鬱屈したフラストレーションを、 (くーでたーへとかりたてたといわれています。) クーデターへと駆り立てたと言われています。 (つまり、に・にろくのりろんてきなしゅぼうしゃ、しそうてきはいけいといえるじんぶつであり、) つまり、二・二六の理論的な首謀者、思想的背景と言える人物であり、 (くーでたーがしょうわてんのうによりぞくぐんとみなされたがために、) クーデターが昭和天皇により賊軍と見なされたがために、 (じょうじゅすることなくちんあつされたあと、それにれんざするかたちでしけいをたまわっています」) 成就することなく鎮圧された後、それに連座する形で死刑を賜っています」 (まつうらはぺーじにめをおとしたまま、そのしせんをまったくうごかすことなくたんたんとかたった。) 松浦は頁に目を落としたまま、その視線を全く動かすことなく淡々と語った。 (「それにたいし、このけされたたいぎゃくじけんのりーだーともくされたじんぶつは、) 「それに対し、この消された大逆事件のリーダーと目された人物は、 (じっこうはんでもあるいわかわまさおみというりくぐんたいいで、) 実行犯でもある岩川雅臣という陸軍大尉で、 (このえほへいだいよんれんたいきかのちゅうたいちょうでした。) 近衛歩兵第四連隊旗下の中隊長でした。 (じけんとうじさんじゅっさい。) 事件当時三十歳。 (とりたててしそうてきなかたよりをもたず、) 取り立てて思想的な偏りをもたず、 (れんたいしてとりしらべをうけたじょういであるさかんたちも、) 連帯して取調べを受けた上位である佐官たちも、 (「なぜこのおとこが」とこんわくするばかりだったそうです。) 「なぜこの男が」と困惑するばかりだったそうです。 (そしてほかのめんばーもすべてさんじゅっさいぜんごのりくぐんいかんばかりでしたが、) そして他のメンバーもすべて三十歳前後の陸軍尉官ばかりでしたが、 (だいたいやれんたいをおなじくするものはほとんどおらず、) 大隊や連隊を同じくするものはほとんどおらず、 (かれらがどのようにつながりをもっていたのかもはんぜんとしません。) 彼らがどのようにつながりをもっていたのかも判然としません。
など
(このじじつは、りくぐんないでもあるたねのせんりつをもってむかえられました。) この事実は、陸軍内でもある種の戦慄を持って迎えられました。 (きんじょうてんのうをしゅうげきするというたいざいをおかすのに、) 今上天皇を襲撃するという大罪を犯すのに、 (かれらのしそうは、のうのなかは、あまりにくうきょだったのです。) 彼らの思想は、脳の中は、あまりに空虚だったのです。 (むれたせいねんしょうこうが、りゆうなくたいぎゃくじけんをおこす・・・・・) 群れた青年将校が、理由なく大逆事件を起こす・・・・・ (そんなことはにじゅうのいみであってはならないのことでした。) そんなことは二重の意味であってはならないのことでした。 (だからこそかれらは、れきしのやみのなかにほうむられたのです」) だからこそ彼らは、歴史の闇の中に葬られたのです」 (しかし。そういいながらまつうらはほんをとじ、ししょうのもつしゃしんのこぴーにめをやる。) しかし。そう言いながら松浦は本を閉じ、師匠の持つ写真のコピーに目をやる。 (「たむらがもたらしたそのしゃしんにうつる、ぐんぷくすがたのおとこたちは、いわかわいか、) 「田村がもたらしたその写真に映る、軍服姿の男たちは、岩川以下、 (ほぼすべてけされたたいぎゃくじけんにれんざしたしょうこう、つまりじっこうはんたちです。) ほぼすべて消された大逆事件に連座した将校、つまり実行犯たちです。 (このほんにもでていますが、ひとりひとりは、とうじのさまざまなしりょうから) この本にも出ていますが、一人ひとりは、当時の様々な資料から (かおじゃしんがはんめいしています。) 顔写真が判明しています。 (しかしたいもちがうかれらがいちどうにかいした、) しかし隊も違う彼らが一堂に会した、 (このようなしゃしんはいままでよにあらわれていませんでした。) このような写真は今まで世に現れていませんでした。 (おそるべきせいしゅんのしょうぞうといえるでしょう。そしてここにいる、じんぶつ」) 恐るべき青春の肖像と言えるでしょう。そしてここにいる、人物」 (まつうらはみをのりだし、しゃしんのちゅうしんぶをゆびさした。) 松浦は身を乗り出し、写真の中心部を指さした。 (「かれらせいねんぶしょうこうたちをまるでつきしたがえるようにちゅうおうにすわり、) 「彼ら青年部将校たちをまるで付き従えるように中央に座り、 (うでをくむこのわそうのおとここそ、このじけんをめぐる、こうせいのどのけんきゅうにも) 腕を組むこの和装の男こそ、この事件をめぐる、後世のどの研究にも (でてこないかげのしゅぼうしゃ。いないといわれた「きたいっき」にほかなりません」) 出てこない影の首謀者。いないと言われた「北一輝」に他なりません」 (ぐうぜん・・・・・なはずはない。) 偶然・・・・・なはずはない。 (じけんをおこしたしょぞくのちがうせいねんしょうこうたちが、) 事件を起こした所属の違う青年将校たちが、 (こうしていっしつにあつまってしゃしんにうつっているのだ。) こうして一室に集まって写真に写っているのだ。 (そこにいあわせたじんぶつがむかんけいなはずはない。) そこに居合わせた人物が無関係なはずはない。 (まちがいなく、かれらをせんどうしたおとこなのだろう。しょうわしにかけおちたぴーすだ。) 間違いなく、彼らを扇動した男なのだろう。昭和史に欠け落ちたピースだ。 (ぼくはよそうがいにおおきく、そしてやばさをましたはなしに、) 僕は予想外に大きく、そしてヤバさを増した話に、 (きんちょうでてのひらがじわりとあせばむのをかんじた。) 緊張で手のひらがじわりと汗ばむのを感じた。 (はなしのながれから、もうそのわふくすがたのおとこがだれなのかわかってしまったからだ。) 話の流れから、もうその和服姿の男が誰なのか分かってしまったからだ。 (「それが「ろうじん」か」とししょうがぼそりというと、) 「それが「老人」か」と師匠がぼそりと言うと、 (まつうらが「すなみだいごです」とあとをうけた。) 松浦が「角南大悟です」と後を受けた。 (「このせいねんしょうこうたちのきるぐんぷくは、しょうわ13ねんせいしきとよばれるものだそうです。) 「この青年将校たちの着る軍服は、昭和13年制式と呼ばれるものだそうです。 (そのことからしょうわ13ねん、つまり1938ねんから、じけんがおきた) そのことから昭和13年、つまり1938年から、事件が起きた (1939ねんまでのあいだに、さつえいされたものだということがすいそくできます。) 1939年までの間に、撮影されたものだということが推測できます。 (ぐんとはむかんけいのめいかのででありながら、りくぐんしかんがっこうにしんがくし、) 軍とは無関係の名家の出でありながら、陸軍士官学校に進学し、 (せまきもんであるりくぐんだいがっこうにもごうかく。) 狭き門である陸軍大学校にも合格。 (そつぎょうのさいには、わずかせいせきじょういろくめいのみにあたえられるという、) 卒業の際には、わずか成績上位六名のみに与えられるという、 (おんしのぐんとうをじゅじゅしたすなみだいごは、りくぐんたいさにまでしょうしんしたあと、) 恩賜の軍刀を授受した角南大吾は、陸軍大佐にまで昇進した後、 (むねをやみ、よびえきとしていっせんをしりぞきます。) 胸を病み、予備役として一線を退きます。
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