心霊写真 -25-
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文
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(「そのかのうせいがひくいから、このしゃしんのしんぴょうせいがうたがわれてるんだ」)
「その可能性が低いから、この写真の信憑性が疑われてるんだ」
(「しんれいしゃしんだからっていうんですか。)
「心霊写真だからって言うんですか。
(これはせいきのだいすきゃんだるをあばくきちょうなしゃしんですが、)
これは世紀の大スキャンダルを暴く貴重な写真ですが、
(しんぴょうせいにぎもんがあります。なぜならしんれいしゃしんだからです。)
信憑性に疑問があります。なぜなら心霊写真だからです。
(ってわけですか、ばかばかしい。いったいしんぴょうせいってなんなんですかね。)
ってわけですか、馬鹿馬鹿しい。いったい信憑性ってなんなんですかね。
(だいたい、あのまつうらとかいうやくざ、なんでこんなだいそれたやまに、)
だいたい、あの松浦とかいうヤクザ、なんでこんな大それたヤマに、
(こんないんちきくさいこうしんじょをまきこもうとしてるんですか」)
こんなインチキ臭い興信所を巻き込もうとしてるんですか」
(「しずかにしろ」)
「静かにしろ」
(ししょうはわめきちらすぼくにめもくれず、まつうらののこしていった「しんれいしゃしん」だという)
師匠は喚き散らす僕に目もくれず、松浦の残していった「心霊写真」だという
(よんまいのしゃしんのほうにてをのばす。)
四枚の写真の方に手を伸ばす。
(「あいつは、みえてるよ」)
「あいつは、見えてるよ」
(いちまいいちまい、ていねいにながめながらししょうはぼそりといった。)
一枚一枚、丁寧に眺めながら師匠はぼそりと言った。
(「え?なにがですか」)
「え?なにがですか」
(「れいのはなしをしてると、よってくるってはなし、きのうしたろ」)
「例の話をしてると、寄って来るって話、昨日したろ」
(した。たしかに、まつうらのまえでししょうはそういった。)
した。確かに、松浦の前で師匠はそう言った。
(そのちょくご、まつうらはししょうとおなじようにまどのそとにかおをむけたのだ。)
その直後、松浦は師匠と同じように窓の外に顔を向けたのだ。
(ぼくがこどものころならば、「ばかがみえる、ぶたのけつ」とでもいって、)
僕が子どものころならば、「バカが見える、ブタのケツ」とでも言って、
(そのおくびょうぶりをこばかにするところだ。)
その臆病ぶりを小馬鹿にするところだ。
(しかしししょうはおどろくようなことをいった。)
しかし師匠は驚くようなことを言った。
(「あれ、とおってたんだよ。まどのそとに」)
「あれ、通ってたんだよ。窓の外に」
など
(「は?」)
「は?」
(「ふゆうれいのるいかな。かみがぼさぼさにのびた、おんなだかおとこだかわかんない)
「浮遊霊の類かな。髪がぼさぼさに伸びた、女だか男だか分かんない
(きもちわるいのが、そういうはなしにひかれてだとおもうけど、すぅっ、とな。)
気持ち悪いのが、そういう話に惹かれてだと思うけど、すぅっ、とな。
(だからそういったんだけど」)
だからそう言ったんだけど」
(ぼくはあぜんとそいた。そんなもの、ぜんぜんきづいていなかった。ただのじょうだんとしか。)
僕は唖然とそいた。そんなもの、全然気づいていなかった。ただの冗談としか。
(「あいつは、みえてたよ。わたしがはなしをふるよりもいっしゅんはやく、)
「あいつは、見えてたよ。わたしが話を振るよりも一瞬早く、
(そっちにかおをむけてた」)
そっちに顔を向けてた」
(そんな。)
そんな。
(しかしたえにふごうするものがある。)
しかし妙に符合するものがある。
(あの、ししょうとまつうらがふたりしてまどのそとをみたあと、おどろいたようなひょうじょうで)
あの、師匠と松浦が二人して窓の外を見た後、驚いたような表情で
(まっすぐにむきあって、おたがいをしばらくみつめあっていた。)
真っ直ぐに向き合って、お互いをしばらく見詰め合っていた。
(あのしゅんかん、くちにはださずとも、たがいにみとめあったということか。)
あの瞬間、口には出さずとも、互いに認め合ったということか。
(むねのおくがちくりといたくなった。)
胸の奥がチクリと痛くなった。
(ぼくには、みえていなかった。)
僕には、見えていなかった。
(ししょうがよんまいのlはんしゃしんをつくえのうえでとんとんとととのえ、)
師匠が四枚のL判写真を机の上でトントンと整え、
(またいちまいめからたんねんにながめていく。)
また一枚目から丹念に眺めていく。
(ゆうれいをしんじるやくざ。)
幽霊を信じるヤクザ。
(それをわらいたい、やくにたたないじぶんのかわりに。)
それを笑いたい、役に立たない自分の代わりに。
(ゆうれいをしんじるなら、ひとのうらみをかう、)
幽霊を信じるなら、人の恨みを買う、
(そんなかぎょうからあしをあらえばいいのに。ばかなやつだ。)
そんな家業から足を洗えばいいのに。馬鹿なやつだ。
(それをわらいたい。)
それを笑いたい。
(わらいたかった。)
笑いたかった。
(しずかにじかんがすぎた。)
静かに時間が過ぎた。
(じゅっぷんほどたっただろうか。ふいにじむしょのでんわがなった。)
十分ほど経っただろうか。ふいに事務所の電話が鳴った。
(どきりとした。でんわのおとはなぜこんなにひとをふあんにさせるのか。)
ドキリとした。電話の音はなぜこんなに人を不安にさせるのか。
(「はい、おがわちょうさじむしょ」)
「はい、小川調査事務所」
(ししょうがでんわにでる。しかし、かいわはつづかなかった。)
師匠が電話に出る。しかし、会話は続かなかった。
(「もしもし?もしもーし。おがわちょうさじむしょですが」)
「もしもし?もしもーし。小川調査事務所ですが」
(ししょうは「もしもし」とくりかえしている。でんわがとおいのだろうか。)
師匠は「もしもし」と繰り返している。電話が遠いのだろうか。
(ぼくはおもわずそばにちかよって、ししょうのもつじゅわきにみみをくっつける。)
僕は思わずそばに近寄って、師匠の持つ受話器に耳をくっつける。
(「もしもし?きこえないから、きりますよ。いいですか・・・・・」)
「もしもし?聞こえないから、切りますよ。いいですか・・・・・」
(ししょうはそういってから、たっぷりじゅうびょうまって、くちをひらいた。)
師匠はそう言ってから、たっぷり十秒待って、口を開いた。
(「たむらか」)
「田村か」
(でんわのむこうでわらうけはい。)
電話の向こうで笑う気配。
(「たむらだな。どういうつもりだ」)
「田村だな。どういうつもりだ」
(でんわをかけてきたのはたむらなのか。)
電話を掛けてきたのは田村なのか。
(まつうらがいしだぐみをあげてそうさくしているにもかかわらずにげおおせているちょうほんにんの。)
松浦が石田組を挙げて捜索しているにも関わらず逃げおおせている張本人の。