小説長文10! 第五話
サバイバル小説系です!「NØWHERE」第五話
小説なので、全然見るだけでもだいじょぶですっ!
画像協力者:AI(光の演出、衣装)
画像協力者:AI(光の演出、衣装)
関連タイピング
-
恋愛小説系です!「君と隣で見る世界」第五話
プレイ回数631 長文2228打 -
恋愛小説系です!「君と隣で見る世界」第九話
プレイ回数468 長文2392打 -
恋愛小説系です!「君と隣で見る世界」第十話
プレイ回数496 長文1880打 -
恋愛小説系です!「雨音に紛れる恋」第七話
プレイ回数247 長文2129打 -
サバイバル小説系です!「NØWHERE」第四話
プレイ回数100 長文3625打 -
サバイバル小説系です!「NØWHERE」第一話
プレイ回数385 長文3046打 -
恋愛小説系です!「雨音に紛れる恋」第五話
プレイ回数519 長文2448打 -
恋愛小説系です!「雨音に紛れる恋」最終話
プレイ回数275 長文2422打
問題文
ふりがな非表示
ふりがな表示
(そうこのとびらのむこうからきこえたこえに、おれたちはいきをひそめた。)
倉庫の扉の向こうから聞こえた声に、俺たちは息を潜めた。
(「......まだ、さんにんしかあつまっていないのか。」)
「......まだ、三人しか集まっていないのか。」
(ゆうまがかいちゅうでんとうをかまえ、ゆっくりととびらをひらく。)
悠真が懐中電灯を構え、ゆっくりと扉を開く。
(しかし、そうこのなかにはだれもいなかった。)
しかし、倉庫の中には誰もいなかった。
(つみあげられただんぼーるとふるいたな、)
積み上げられた段ボールと古い棚、
(そしてへやのすみにおかれたいちだいのくろいたんまつだけがのこされていた。)
そして部屋の隅に置かれた一台の黒い端末だけが残されていた。
(「いまのこえ、ここからきこえたよな?」)
「今の声、ここから聞こえたよな?」
(おれがたずねると、あおいはちいさくうなずいた。)
俺が尋ねると、葵は小さく頷いた。
(ゆうまがたんまつにちかづき、でんげんをいれる。)
悠真が端末に近づき、電源を入れる。
(がめんには、さんにんのなまえがたてにならんでいた。)
画面には、三人の名前が縦に並んでいた。
(「だいいちかんさつたいしょう:たかせそうま」)
「第一監察対象:高瀬蒼真」
(「だいにかんさつたいしょう:くろせあおい」)
「第二観察対象:黒瀬葵」
(「だいさんかんさつたいしょう:くせゆうま」)
「第三観察対象:久瀬悠真」
(そのしたには、みおぼえのないこうもくがひょうじされていた。)
その下には、見覚えのない項目が表示されていた。
(「だいよんかんさつたいしょう:みとうちゃく」)
「第四観察対象:未到着」
(「かんさつたいしょうって......おれたち、かんさつされてるのか?」)
「観察対象って......俺たち、観察されてるのか?」
(おれのといに、だれもこたえなかった。)
俺の問いに、誰も答えなかった。
(あおいががめんをそうさすると、さんにんのなまえのよこにこまかなきろくがひょうじされた。)
葵が画面を操作すると、三人の名前の横に細かな記録が表示された。
(めをさましたじこく、いどうしたばしょ、たべたもの、かいわのないよう。)
目を覚ました時刻、移動した場所、食べた物、会話の内容。
(おれたちがこのまちでおこなったこうどうが、ほとんどすべてきろくされていた。)
俺たちがこの街で行った行動が、ほとんどすべて記録されていた。
など
(「こんなの、いつとられてたの......?」)
「こんなの、いつ撮られてたの......?」
(あおいがかおをあおくする。)
葵が顔を青くする。
(おれはかんしかめらをさがしたが、そうこにはひとつもみあたらなかった。)
俺は監視カメラを探したが、倉庫には一つも見当たらなかった。
(それなのに、たんまつにはおれたちしかしらないかいわまできろくされていた。)
それなのに、端末には俺たちしか知らない会話まで記録されていた。
(すると、がめんのはしにちいさなえいぞうふぁいるがひょうじされた。)
すると、画面の端に小さな映像ファイルが表示された。
(ふぁいるめいは「だいさんかんさつたいしょう、しょきせってい」。)
ファイル名は「第三観察対象、初期設定」。
(おれたちはかおをみあわせた。)
俺たちは顔を見合わせた。
(「だいさんかんさつたいしょうって、ゆうまのことだよな。」)
「第三観察対象って、悠真のことだよな。」
(ゆうまはこたえず、がめんをみつめていた。)
悠真は答えず、画面を見つめていた。
(「......さいせいしてみよう。」)
「......再生してみよう。」
(おれがそうさすると、えいぞうがはじまった。)
俺が操作すると、映像が始まった。
(うつっていたのは、うすぐらいへやにすわるゆうまだった。)
映っていたのは、薄暗い部屋に座る悠真だった。
(いまよりもかおいろがわるく、ひどくつかれたようすだった。)
今よりも顔色が悪く、ひどく疲れた様子だった。
(がめんのすみには、みっかまえのひづけがひょうじされている。)
画面の隅には、三日前の日付が表示されている。
(「いつまで、ここにいればいいんだ。」)
「いつまで、ここにいればいいんだ。」
(えいぞうのなかのゆうまがつぶやいた。)
映像の中の悠真が呟いた。
(おれたちはおどろいて、となりにたつほんにんをみた。)
俺たちは驚いて、隣に立つ本人を見た。
(えいぞうのなかで、すぴーかーからきかいおんせいがながれる。)
映像の中で、スピーカーから機械音声が流れる。
(「つぎのかんさつたいしょうがとうちゃくするまで、たいきしてください。」)
「次の観察対象が到着するまで、待機してください。」
(「とうちゃくよていびは、あしたです。」)
「到着予定日は、明日です。」
(そのことばをきいたしゅんかん、あおいがいきをのんだ。)
その言葉を聞いた瞬間、葵が息をのんだ。
(えいぞうのなかのゆうまは、ゆっくりとかおをあげた。)
映像の中の悠真は、ゆっくりと顔を上げた。
(「......わかった。」)
「......分かった。」
(そこでえいぞうがとぎれた。そうこにちんもくがひろがった。)
そこで映像が途切れた。倉庫に沈黙が広がった。
(「ゆうま......これ、どういうことだよ?」)
「悠真......これ、どういうことだよ?」
(おれがたずねると、ゆうまはくびをふった。)
俺が尋ねると、悠真は首を振った。
(「しらない。こんなえいぞう、みたこともない。」)
「知らない。こんな映像、見たこともない。」
(「でも、みっかまえからここにいたんだろ?」)
「でも、三日前からここにいたんだろ?」
(「そうだけど、こんなへやにはきてない!」)
「そうだけど、こんな部屋には来てない!」
(ゆうまのこえがおおきくなった。)
悠真の声が大きくなった。
(いままでれいせいだったかれが、はじめてとりみだしていた。)
今まで冷静だった彼が、初めて取り乱していた。
(うそをついているのか。ほんとうにしらないのか。)
嘘をついているのか。本当に知らないのか。
(おれにははんだんできなかった。)
俺には判断できなかった。
(あおいがふあんそうにおれのそでをつかむ。)
葵が不安そうに俺の袖をつかむ。
(「そうまくん......ゆうまをしんじていいのかな。」)
「蒼真くん......悠真を信じていいのかな。」
(そのといに、すぐにはこたえられなかった。)
その問いに、すぐには答えられなかった。
(ゆうまはおれたちとおなじようにまちにとじこめられたひがいしゃだとおもっていた。)
悠真は俺たちと同じように街に閉じ込められた被害者だと思っていた。
(けれど、えいぞうのなかのかれは、おれたちがくることをしっていたようにみえた。)
けれど、映像の中の彼は、俺たちが来ることを知っていたように見えた。
(「おれは、ほんとうにしらないんだ。」)
「俺は、本当に知らないんだ。」
(ゆうまがひっしにうったえる。)
悠真が必死に訴える。
(「しんじてくれ。おれだって、ここからでたいんだ。」)
「信じてくれ。俺だって、ここから出たいんだ。」
(そのひょうじょうにうそはかんじられなかった。)
その表情に嘘は感じられなかった。
(それでも、ぎねんはきえなかった。)
それでも、疑念は消えなかった。
(おれはふたたびたんまつへむきなおった。)
俺は再び端末へ向き直った。
(えいぞうのしたに、まだひらいていないふぁいるがひとつのこっていた。)
映像の下に、まだ開いていないファイルが一つ残っていた。
(ふぁいるめいは「かんさつたいしょうきょうつうきろく」。)
ファイル名は「観察対象共通記録」。
(ひらくと、がめんいっぱいにみじかいぶんしょうがひょうじされた。)
開くと、画面いっぱいに短い文章が表示された。
(「かんさつたいしょうさんめいのきおくに、いちぶのけつらくをかくにん。」)
「観察対象三名の記憶に、一部の欠落を確認。」
(つづいて、つぎのいちぶんがあらわれた。)
続いて、次の一文が現れた。
(「なお、たいしょうしゃのうちいちめいは、まちにとうちゃくするいぜんのきろくをほじしていません。」)
「なお、対象者のうち一名は、街に到着する以前の記録を保持していません。」
(「きおくのけつらく......?」)
「記憶の欠落......?」
(あおいがつぶやいた。)
葵が呟いた。
(おれはじぶんのきおくをふりかえる。)
俺は自分の記憶を振り返る。
(きのうのよる、じぶんのへやでねむった。)
昨日の夜、自分の部屋で眠った。
(そのつぎにおぼえているのは、みしらぬこうさてんでめをさましたしゅんかんだ。)
その次に覚えているのは、見知らぬ交差点で目を覚ました瞬間だ。
(そこにいたるまでのきおくに、なにかおかしなところはなかっただろうか。)
そこに至るまでの記憶に、何かおかしなところはなかっただろうか。
(おれはおもわずあたまをおさえた。)
俺は思わず頭を押さえた。
(おもいだせない。ねむるちょくぜん、なにをかんがえていたのか。)
思い出せない。眠る直前、何を考えていたのか。
(だれかとはなしたのか。そもそも、ほんとうにじぶんのへやでねむったのか。)
誰かと話したのか。そもそも、本当に自分の部屋で眠ったのか。
(なにもたしかめられなかった。)
何も確かめられなかった。
(そのとき、たんまつのでんげんがとつぜんおちた。)
その時、端末の電源が突然落ちた。
(どうじに、そうこのとびらがいきおいよくしまる。)
同時に、倉庫の扉が勢いよく閉まる。
(がちゃん、とかぎのかかるおとがひびいた。)
ガチャン、と鍵の掛かる音が響いた。
(「おい、どうなってるんだ!」)
「おい、どうなってるんだ!」
(ゆうまがとびらをひいたが、びくともしない。)
悠真が扉を引いたが、びくともしない。
(ちょくご、てんじょうのすぴーかーからききおぼえのあるこえがながれた。)
直後、天井のスピーカーから聞き覚えのある声が流れた。
(「だいごかんさつだんかいへいこうします。」)
「第五観察段階へ移行します。」
(きかいおんせいはたんたんとつづけた。)
機械音声は淡々と続けた。
(「たいしょうしゃかんのしんらいかんけいにへんかをかくにん。」)
「対象者間の信頼関係に変化を確認。」
(おれはせすじがこおった。)
俺は背筋が凍った。
(このまちは、おれたちのこうどうだけではなく、こころのうごきまでかんさつしている。)
この街は、俺たちの行動だけではなく、心の動きまで観察している。
(そして、さいごにひょうじされたもじが、くらいたんまつのがめんにいっしゅんだけうかびあがった。)
そして、最後に表示された文字が、暗い端末の画面に一瞬だけ浮かび上がった。
(「ぎねんは、じゅんちょうにしんこうしています。」)
「疑念は、順調に進行しています。」
(そのことばをみたしゅんかん、おれはようやくりかいした。)
その言葉を見た瞬間、俺はようやく理解した。
(このまちでもっともきけんなのは、かげのないひとかげでも、きみょうなきそくでもない。)
この街で最も危険なのは、影のない人影でも、奇妙な規則でもない。
(だれをしんじればいいのかわからなくなること、そのものだった。)
誰を信じればいいのか分からなくなること、そのものだった。