東京一年生　竹原ピストル

(ひだりてでかいたにがおえのよう)

左手で描いた似顔絵のよう

(あやふやなたびじたく)

あやふやな旅支度

(からだのこっちがわにかいたあせが)

体のこっち側にかいた汗が

(うすまっていくようなきがして)

薄まっていくような気がして

(おみずがおいしいあさ)

お水がおいしい朝

(おみずだけがおいしいあさ)

お水だけがおいしい朝

(くらしづらいのはまちのせいじゃない)

暮らしづらいのは　街のせいじゃない

(くらしづらいのはだいじょうぶ)

暮らしづらいのは　大丈夫

(ゆめがあるからさ)

夢があるからさ

(おしりからはえたすけじゅーるちょう)

お尻から生えた　スケジュール帳

(わたしのちょうしょは)

私の長所は

(かこはすべておてんだとおもえるところ)

過去はすべて汚点だと思えるところ

(わたしのたんしょは)

私の短所は

(かこはすべておてんだとおもってしまうところ)

過去はすべて汚点だと思ってしまうところ

(いずれにしてもまるで)

いずれにしてもまるで

(あかのたにんのどうたいをふみつけるかのようにしらじらしく)

赤の他人の胴体を踏みつけるかのように白々しく

(きょうもよごしてあるくんだ)

今日も汚して歩くんだ

(きょうをよごしてあるくんだ)

今日を汚して歩くんだ

(くらしづらいのはまちのせいじゃない)

暮らしづらいのは街のせいじゃない

(くらしづらいのはだいじょうぶ)

暮らしづらいのは大丈夫

(ゆめがあるからさ)

夢があるからさ

(ときにたかねをつけられ)

ときに高値をつけられ

(ときにやすねをつけられ)

ときに安値をつけられ

(てあかをかぶって)

手垢をかぶって

(とっかえひっかえのたらいまわし)

とっかえひっかえのたらい回し

(もやされてもやしつくされて)

燃やされて 燃やし尽くされて

(あとかたもなくなるまで)

跡形も無くなるまで

(ふるほんやにみちたいたたまれなさ)

古本屋に満ちた いたたまれなさ

(つまりそんなものだよ)

つまり そんなものだよ

(くらしづらいのはまちのせいじゃない)

暮らしづらいのは　街のせいじゃない

(くらしづらいのはだいじょうぶ)

暮らしづらいのは　大丈夫

(ゆめがあるからさ)

夢があるからさ

(たばこじたいがないってなら)

タバコ自体が無いってなら

(まぁしょうがないかなっておもえるんだ)

まぁしょうがないかなって思えるんだ

(たえがたいのは)

堪え難いのは

(たばこはあるのにひがないときだよ)

タバコはあるのに火が無いときだよ

(まっちいっぽんほしさによりあつまるんだよ)

マッチ一本欲しさに寄り集まるんだよ

(うすらさむいあいそわらいをはりつけて)

うすら寒い愛想笑いを張りつけて

(よりあつまるんだよ)

寄り集まるんだよ

(くらしづらいのはまちのせいじゃない)

暮らしづらいのは街のせいじゃない

(くらしづらいのはだいじょうぶ)

暮らしづらいのは大丈夫

(ゆめがあるからさ)

夢があるからさ

(ことしなんどめだよ？と)

今年何度目だよ? と

(みあげたほおにまたゆきがはねる)

見上げた頬にまた雪が跳ねる

(ぴかぴかのぎたーけーすをぶらさげてそわそわと)

ピカピカのギターケースをぶら下げてそわそわと

(あれはとうきょういちねんせいかな？)

あれは東京一年生かな?

(たとえばひとごみがいきぐるしかったなら)

例えば人ごみが息苦しかったなら

(まずはじぶんがきえることだよ)

まずは自分が消えることだよ

(さもなくばちっそくするまでうたいきるんだ)

さもなくば 窒息するまで歌いきるんだ

(くらしづらいのはまちのせいじゃない)

暮らしづらいのは　街のせいじゃない

(くらしづらいのはだいじょうぶ)

暮らしづらいのは　大丈夫

(ゆめがあるからさ)

夢があるからさ

(がんばれがんばれ！！とうきょういちねんせい！！)

がんばれがんばれ!! 東京一年生!!