おかしな国のおかし屋さん

(むかしむかしあるところにおかしのくにがありました)

むかしむかし、あるところに、お菓子の国がありました。

(そこにひとりのむすめがちいさなおかしやさんをひらいていました)

そこに、1人の娘が小さなお菓子屋さんを開いていました。

(これはそんなあるひのものがたりです)

これは、そんなある日の物語です。

(はじまりはじまり)

はじまり、はじまり。

(おはようおてんとさまがにっこり)

おはよう！お天道様が　にっこり

(おいしいおかしならべてほっこり)

おいしい　お菓子並べて　ほっこり

(さいしょのおきゃくさんはめれんげうさぎさん)

最初のお客さんは　メレンゲうさぎさん

(あわててこういいました)

あわてて　こう言いました

(たいへんおうじがめをさまさないの)

「たいへん！王子が目を覚まさないの！」

(あらあらこまったわどうしましょう)

「あらあら、困ったわ。どうしましょう。」

(するとめれんげうさぎはいいました)

すると、メレンゲうさぎは言いました。

(あまーいきすならめがさめる)

「あま～いキスなら目がさめる！」

(だけどそんないきなりはずかしいから)

だけど　そんないきなり　恥ずかしいから

(とりあえずあまーいおかしつくっちゃお)

とりあえず　あま～いお菓子　作っちゃお！

(あまいきすだなんて)

あまい　キスだなんて

(わたしできない)

わたし　できない

(どきどきがとまらない)

ドキドキがとまらない

(これはなぜかしら)

これはなぜかしら？

(あまいおかしつくって)

あまい　お菓子つくって

(わたしどうしよう)

わたし　どうしよう

(やくまえのたると)

焼く前のタルト

(みじゅくなわたしみたい)

未熟なわたしみたい

(めれんげうさぎはいいました)

メレンゲうさぎは言いました。

(あれあれがらすざとうのくつがないおうじのたいせつなものなのに)

「あれあれ、ガラス砂糖の靴がない！王子の大切なものなのに…」

(たいへんじゃあわたしがつくりなおすわおさとうとってこなきゃ)

「たいへん！じゃあわたしが作り直すわ。お砂糖取ってこなきゃ！」

(おさとうわたしのいえにたっぷり)

お砂糖　わたしの家に　たっぷり

(おいしいおかしのいえにたっぷり)

おいしい　お菓子の家に　たっぷり

(わたがしのべっどに)

わたがしのベッドに

(はちみつのおふろ)

ハチミツのお風呂

(じゃぐちひねればこんぺいとう)

蛇口ひねれば　金平糖！

(そうゆめのまいほーむ)

「そう、夢のマイホーム」

(おさとうだったらそうね)

お砂糖だったら、そうね。

(りびんぐのいちばんおおきなまどかしら)

リビングの、いちばん大きな窓かしら？

(まどわくをはずしてはやくもどらなきゃ)

窓枠をはずして、早く戻らなきゃ！

(そうだおきにいりのわたしのひーる)

そうだ　お気に入りの　わたしのヒール

(とりあえずおてほんにしてつくっちゃお)

とりあえず　お手本にして　作っちゃお！

(あまいきすだなんて)

あまい　キスだなんて

(わたしできない)

わたし　できない

(ときめきがあふれる)

トキメキがあふれる

(がらすざとうのくつ)

ガラス砂糖の靴

(あまいおかしみたいに)

あまい　お菓子みたいに

(わたしこころも)

わたし　心も

(でこれーしょんしたら)

デコレーションしたら

(ゆうきをだせるかしら)

勇気を出せるかしら

(たるとがやけたわいいかおり)

タルトが焼けたわ！いい香り！

(かすたーどくりーむれもんをならべてれもんたるとかんせい)

カスタードクリーム、レモンを並べて、レモンタルト完成！

(あとは)

あとは…！

(ちょっとだけあじみしちゃお)

…ちょっとだけ味見しちゃお！

(ぱくっもぐもぐもぐ)

ぱくっ　もぐもぐもぐ

(おいしいー)

おいしい～！

(あ)

あ！

(うっかりたべかけのたるとがおうじのくちびるに)

うっかり、食べかけのタルトが、王子の口唇に！

(あわわどどどどうしよ)

あわわ　ど、ど、ど、どうしよ！

(わたしなんてこと)

わたし　なんてこと！

(ふきんをぬらして)

布巾を濡らして

(はやくふかなくちゃ)

はやく拭かなくちゃ

(あれ)

あれ！？

(あややおうじのひとみ)

あやや　王子の瞳

(ゆっくりひらいてく)

ゆっくり　開いてく！

(まさかのみらくる)

まさかのミラクル

(はじめましておうじさま)

はじめまして王子様

(あまずっぱいきすでぼくはめをさましましたありがとう)

「甘酸っぱいキスで、僕は目を覚ましました。ありがとう。

(よかったらこのがらすざとうのくつをはいてみてくれませんか)

よかったら、このガラス砂糖の靴を履いてみてくれませんか？」

(むすめがそろそろとあしをいれてみるとなんとぴったり)

娘が、そろそろと足を入れてみると、なんとぴったり！

(こうしておうじさまとしあわせにくらしました)

…こうして王子様と　幸せに暮らしました。

(めでたしめでたし)

めでたし、めでたし。