篭城日記【歌詞】幼蚕文庫
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歌詞(問題文)
(いちごいろのりぼんあなたがくれたから)
苺色のリボン貴方が呉れたから
(だいじにしていたのに)
大事にして居たのに
(あかいとりがくわえていつてしまつたの)
赤い鳥が咥えていつて仕舞つたの
(くどいいやなしゅいろくすりゆびなでつけ)
くどい厭な朱色 薬指撫でつけ
(くちびるにぬりたくると)
くちびるに塗りたくると
(みたことのないかおがわらふ)
見たことのない顔がわらふ
(にげこんだこべやにおかしなどみたして)
逃げ込んだ小部屋に御菓子など満たして
(だいすきないろでかべをぬりぬりぬりぬり)
大好きな色で壁を塗り塗り塗り塗り
(ちゅうやあけくれて)
昼夜あけ暮れて
(とびらをとぢるちょうつがいをみずあめでからめて)
扉を閉ぢる蝶番を水飴で絡めて
(またとうごかぬやうにああ、あ!)
又と動かぬやうに嗚呼、あ!
(まどはひとつのこらずあんまくでかくして)
窓は一つ殘らず暗幕で隠して
(どうかせめてわたしのおしろだけ)
どうかせめてわたしの御城だけ
(ちらかるこのへやにうずくまるかげぼうし)
散らかるこの部屋に蹲る影法師
(きたないのごめんなさい)
きたないの御免なさい
(もうあなたにもみせられない)
もう貴方にも見せられない
(いろばかりあふれたこのへやに)
色彩(いろ)ばかり溢れたこの部屋に
(ひとつ、ぽかりとあけられたはりあなが)
一つ、ぽかりと空けられた針穴が
(そとのえがらをいやがおうにもうつしだして)
外の絵柄を否が応にも映し出して
(きょうもほんとうにはくるえない)
今日もほんとうにはくるえない
(めとみみをふさぐわたしのあたまに)
目と耳を塞ぐわたしの頭に
(つぎつぎとうつしだされるげんとうは)
次次と映し出される幻燈は
(あなたあなたあなたのことばかりで)
貴方貴方貴方のことばかりで
(あなにくらしやこのこいごころめ)
あな憎らしや此の恋心め
(わたしのためではないあまりもののあいじょうを)
わたしの為ではない餘りものの愛情を
(なげてよこされるたびにほら)
投げて寄越される度にほら
(なまあたたかくしあわせなここちですすんだはりがまたひとつもどる)
生温かく幸せな心地で進んだ針が又一つ戻る
(あなたをわすれたくてしかたがないの)
貴方を忘れたくて仕方がないの
(きょうもこのへやのなかでうごけずに)
今日もこの部屋の中で動けずに
(けれどしんぱいはむようです)
けれど心配は無用です
(なぜならばおいてゆくのはあなただから)
なぜならば置いてゆくのは貴方だから