ムカデ

(きゅうすいとうにはんしゃするなつのたいよう)

給水塔に反射する夏の太陽

(きようにいきるしょうちょうとしての)

器用に生きる象徴としての

(かのじょのえがお)

彼女の笑顔

(あせばんだせいどうみゃくにすくうかっしょくのかやくじみたびょうり)

汗ばんだ静動脈に巣食う褐色の火薬じみた病理

(ぼくがぼくではないかんかくもしくはさっかく)

僕が僕ではない感覚　もしくは錯覚

(ろくじゅうおくのためいきにまきおこるこうさ)

六十億の溜息に巻き起こる黄砂

(にげばなくいきもたえだえなむかで)

逃げ場なく息も絶え絶えな　ムカデ

(なみだのだくりゅうをはって)

涙の濁流を這って

(どこへゆこうどこもだめだ)

何処へ　行こう　何処も　ダメだ

(いばしょがない)

居場所　が無い

(かみさまぼくはわかってしまった)

神様僕は分かってしまった

(からっぽのよぞらがきれい)

空っぽの夜空が綺麗

(あのくろいくうはくにうもれてしまえたらって)

あの黒い空白に埋もれてしまえたらって

(ねがうそうかもしかしたらぼくは)

願う　そうか　もしかしたら　僕は

(しにたいのかな)

死にたいのかな

(あいはあいのふりして)

愛は愛の振りして

(ぜんぶのみくだせとはもののぞかせる)

全部飲み下せと刃物覗かせる

(きょうはきょうのふりして)

今日は今日の振りして

(ぜんぶやりなおしだとぼくをおどかす)

全部やり直しだと僕を脅かす

(こっからふみだすなよぜったいだぞ)

こっから踏み出すなよ　絶対だぞ

(だれだうしろからおすやつは)

誰だ後ろから押す奴は

(ほらあといっぽだそうだ)

ほら後一歩だ　そうだ

(ゆめがぶらさがるさいはてのこうしゅだい)

夢がぶら下がる最果ての絞首台

(にしびにそまるこうがいのこうだんじゅうたく)

西日に染まる郊外の公団住宅

(しんぞうをはりでつつかれるようなかんしょう)

心臓を針でつつかれる様な感傷

(およびいきてることにたいしてのざいあくかん)

及び　生きてる事に対しての罪悪感

(つきまとうやみ)

付きまとう闇

(たちはだかるやみ)

立ちはだかる闇

(せきめんしょうのきせつにおける)

赤面症の季節における

(りびどーのひだい)

リビドーの肥大

(ゆえのげんじつからのとうそう)

故の　現実からの逃走

(もうそうもうそうもうそう)

妄想　妄想　妄想

(しゃだんきにおきざりのじいしき)

遮断機に置き去りの自意識

(まっぷたつにわれるすうびょうまえ)

真っ二つに割れる数秒前

(あかがひかるきえる)

赤が光る　消える

(ひかるきえる)

光る　消える

(ひかるきえる)

光る　消える

(きえろちゃいなどれすのおんな)

消えろ　チャイナドレスの女

(でんえんとしせん)

田園都市線

(れっとうれっとうかこかこ)

劣等　劣等　過去　過去

(ぜんぶきえろ)

全部消えろ

(かみさまころしてやる)

神様　殺してやる

(かこはかこのふりして)

過去は過去の振りして

(ぜんぶうけいれろとのどにしめかかる)

全部受け入れろと喉に絞めかかる

(よるはよるのふりして)

夜は夜の振りして

(ぜんぶおまえのせいだとがなりたてる)

全部お前のせいだとがなりたてる

(こっからにげだすなよぜったいだぞ)

こっから逃げ出すなよ　絶対だぞ

(だれだうしろからおすやつは)

誰だ後ろから押す奴は

(ほらあといっぽだそうだ)

ほら後一歩だ　そうだ

(ゆめがぶらさがるさいはてのこうしゅだい)

夢がぶら下がる最果ての絞首台

(ぼくはふれていたかった)

僕は触れていたかった

(まだつながっていたいよ)

まだ繋がっていたいよ

(びるのおくじょうにたった)

ビルの屋上に立った

(いまさらおもいだすんだ)

今更思い出すんだ

(はるのこもれびにないた)

春の木漏れ日に泣いた

(ははのこえがきこえんだ)

母の声が聞こえんだ

(ここにいてもいいですか)

此処にいてもいいですか

(ここにいてもいいですか)

此処にいてもいいですか

(そらはそらのふりして)

空は空の振りして

(ぜんぶしってるぞってぼくをみくだす)

全部知ってるぞって僕を見下す

(ひとはひとのふりして)

人は人の振りして

(ぜんぶはきだせとぼくをにらみつける)

全部吐き出せと僕を睨みつける

(こっからふみだすなよぜったいだぞ)

こっから踏み出すなよ　絶対だぞ

(だれだうしろからおすやつは)

誰だ後ろから押す奴は

(ほらあといっぽだそうだ)

ほら後一歩だ　そうだ

(ゆめがぶらさがるさいはてのこうしゅだい)

夢がぶら下がる最果ての絞首台

(ぼくはふれていたかった)

僕は触れていたかった

(まだつながっていたいよ)

まだ繋がっていたいよ

(びるのおくじょうにたった)

ビルの屋上に立った

(いまさらおもいだすんだ)

今更思い出すんだ

(はるのこもれびにないた)

春の木漏れ日に泣いた

(ははのこえがきこえんだ)

母の声が聞こえんだ

(ここにいてもいいですか)

此処にいてもいいですか

(いきていてもいいですか)

生きていてもいいですか