マリアナ海溝から回収された文書.2

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(わたしはただすわりこんで、あっけにとられ、tvをみつめ、)

私はただ座り込んで、あっけにとられ、TVを見つめ、

(かろうじてだいとうりょうがひじょうじたいせんげんをだすのにきづいただけだった。)

かろうじて大統領が非常事態宣言を出すのに気づいただけだった。

(せいふがtvをかんぜんにしょうあくするのは2、3にちおそかったとおもう。)

政府がTVを完全に掌握するのは2、3日遅かったと思う。

(いっしゅうかんかもしれない、よくわからない。)

一週間かもしれない、よくわからない。

(あとにいんたーねっとはしめつけられたが、すぐにも、)

後にインターネットは締め付けられたが、すぐにも、

(「おちついてください。すべてはじゅんちょうです」だけが、)

「落ち着いてください。すべては順調です」だけが、

(われらがみききかきこみできるものとなった。いちばんきみょうなのは、)

我らが見聞き書き込みできるものとなった。一番奇妙なのは、

(しばらくのあいだ、せいかつがかわらなかったことだ。)

しばらくのあいだ、生活が変わらなかったことだ。

(せいきゅうしょがきたし、しごとをせねばならなかったし、がっこうにいったし、)

請求書が来たし、仕事をせねばならなかったし、学校に行ったし、

(とにかくすべてだ。たんにおびえたひとたちがおおぜいいて、)

とにかくすべてだ。単に怯えた人たちが大勢いて、

(きみょうなかいわがもっとたくさんあっただけだった。)

奇妙な会話がもっとたくさんあっただけだった。

(ちょくごに、さまざまなまちからひとがひなんしているというはなしをきいた。)

直後に、様々な町から人が避難しているという話を聞いた。

(えきびょう、ぼうどう、ばくだんてろ、そのほかのあくむがあったんだそうだ。)

疫病、暴動、爆弾テロ、その他の悪夢があったんだそうだ。

(みなみにいったあにがいうには、だいきぼなやまかじがげんいんで)

南に行った兄が言うには、大規模な山火事が原因で

(いどうしているということだった。へんなのは、あにによると、)

移動しているということだった。変なのは、兄によると、

(ほのおがきみょうにうごいているということだがすややぶを)

炎が奇妙に動いているということだ……ガスや藪を

(ねらってうごいているようで、きんいつにひろがることがなかった。)

狙って動いているようで、均一に広がることがなかった。

(しばらくすると、あにははなしてくれたちかって20ふぃーと)

しばらくすると、兄は話してくれた……誓って20フィート

(もあるほのおのきょじんが、すべてをくいつくしていったのだと。)

もある炎の巨人が、すべてを食い尽くしていったのだと。

(そういったちょくごにでんわはきれた。いらい、かれとははなしていない。)

そう言った直後に電話は切れた。以来、彼とは話していない。

など

(じょうきょうはすこしずつあっかしていった。しみんはうごかされつづけ、)

状況は少しずつ悪化していった。市民は動かされ続け、

(ほんとうにしんらいできるひととつうしんできるほうほうはなくなり、)

本当に信頼できる人と通信できる方法はなくなり、

(なのでどれだけわるいことになっているかはなすのはむずかしかった。)

なのでどれだけ悪いことになっているか話すのは難しかった。

(それでも、くちこみはまだひろまっており、)

それでも、口コミはまだ広まっており、

(ぶきみなはなしばかりがまんえんした。くれいじーでくそったれなはなしばかりだ、)

不気味な話ばかりが蔓延した。クレイジーでくそったれな話ばかりだ、

(ほんとうに。きたではぞんび、ひがしではころしあい、)

本当に。北ではゾンビ、東では殺し合い、

(うみのほうではだいちがひとびとをたべていく。かるときょうだんがきりすとのさいりんをさけび、)

海の方では大地が人々を食べていく。カルト教団がキリストの再臨を叫び、

(かみをばいしゅうするためにひとをころしていくわたしはなにもしらないことで)

神を買収するために人を殺していく……私はなにも知らないことで

(こころのへいおんをえるため、じゅうにんたちからはなれていった。)

心の平穏を得るため、住人たちから離れていった。

(おもいかえしてみると、おそらくそれがわたしのいのちをすくったのだろう。)

思い返してみると、おそらくそれが私の命を救ったのだろう。

(あるひ、めをさますとまどがちでぬれていた。)

ある日、目を覚ますと窓が血で濡れていた。

(そとがわからだった。そとからきょうきにみちたくそったれがきこえてきた)

外側からだった。外から狂気に満ちたくそったれが聞こえてきた

(さけびごえ、そうおん、じゅうせい。それからわいやーがもえるにおい。)

叫び声、騒音、銃声。それからワイヤーが燃える臭い。

(わたしはかくれた。それをはずかしくおもうことはない。)

私は隠れた。それを恥ずかしく思うことはない。

(きんじょのひとたちがくさっていくのをきにせず、いっしゅうかんちかく、)

近所の人たちが腐っていくのを気にせず、一週間近く、

(そうおんがとだえてからもかくれつづけた。5にちめがおわると、)

騒音が途絶えてからも隠れ続けた。5日目が終わると、

(でんきとがすがとまり、じょうすいどうもつかえなくなった。)

電気とガスが止まり、上水道も使えなくなった。

(とうとうぶっしにことかくようになると、わたしはそとをのぞき、)

とうとう物資に事欠くようになると、私は外を覗き、

(せかいのにしがわはんぶんがなくなったのをみた。)

世界の西側半分がなくなったのを見た。

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