Forget

(いつかうけいれられるようにと)

いつか受け入れられるようにと

(ぼくたちにそなえられたわすれるというきのう)

僕たちに備えられた忘れるという機能

(たてないくらいつらいできごとはひきだしにはしまえずに)

立てないくらい辛い出来事は引き出しにはしまえずに

(わすれなきゃいきてもいけない)

忘れなきゃ生きてもいけない

(かなしいばんぶつれいちょう)

悲しい万物霊長

(きのうたべたものなんてなにひとつおぼえてない)

昨日食べたものなんて何一つ覚えてない

(そもそもたべたかさえもうきおくにないし)

そもそも食べたかさえもう記憶に無いし

(てきとうってのもわるくはないぜ)

適当ってのも悪くはないぜ

(だってそうだろさいぼうのこうぞうにまかせ)

だってそうだろ細胞の構造に任せ

(たんじゅんにこころにないわけじゃないんだよ)

単純に心にないわけじゃないんだよ

(いつかうけいれられるようにと)

いつか受け入れられるようにと

(ぼくたちにそなえられたわすれるというきのう)

僕たちに備えられた忘れるという機能

(ときどきわすれちゃいけないことまでわすれるのに)

時々忘れちゃいけないことまで忘れるのに

(どうしてそんなにさびしそうなかおして)

どうしてそんなに寂しそうな顔して

(あいつがわすれられないとなげくきみのよこがおは)

あいつが忘れられないと嘆く君の横顔は

(いつもよりきれいだよ)

いつもより綺麗だよ

(むしろわすれたくはないとおもっていきるまいにちをみてると)

むしろ忘れたくはないと思って生きる毎日を見てると

(だれもみなかなしみとつきあっていきていくんだろう)

誰も皆悲しみと付き合って生きていくんだろう

(あのことつきあっていたころのおもいでも)

あの子と付き合っていた頃の思い出も

(なにひとつおぼえてない)

何一つ覚えてない

(そもそもどこにほれてたかももうきおくにないし)

そもそもどこに惚れてたかももう記憶にないし

(こころないわけじゃないけどべんりなきのうによりかかってる)

心ないわけじゃないけど便利な機能に寄りかかってる

(いつかうけいれられるようにと)

いつか受け入れられるようにと

(ぼくたちにそなえられたわすれるというきのう)

僕たちに備えられた忘れるという機能

(ときどきわすれちゃいけないことまでわすれるのに)

時々忘れちゃいけないことまで忘れるのに

(どうしてそんなにむずかしいかおをして)

どうしてそんなに難しい顔をして

(なにもかえられないときづいてあきらめたくやしさが)

何も変えられないと気づいて諦めた悔しさが

(いまもおくばにはさまる)

今も奥歯に挟まる

(ひとりであたりちらしてきがすむまでなきあかして)

一人で当たり散らして気が済むまで泣き明かして

(そうやってくやしさとうまくつきあってでっかくなれよ)

そうやって悔しさと上手く付き合ってでっかくなれよ

(うまれながらあたえられたこのきのうもときとしてざんこくにおもえる)

生まれながら与えられたこの機能も時として残酷に思える

(わすれるくらいならつらいままでいいとおもえることも)

忘れるくらいなら辛いままでいいと思えることも

(かなしいおもいではかなしいままでいいのに)

悲しい思い出は 悲しいままでいいのに

(あなたはながいきしてね)

あなたは長生きしてね

(さいごにのこしていったあのひとのやさしいねがおも)

最後に残していったあの人の優しい寝顔も

(たちあがれないくらいかなしいできごとだったのに)

立ち上がれないくらい悲しい出来事だったのに

(らくになっていくじぶんがだいきらいだ)

楽になっていく自分が大嫌いだ

(わすれていかないと)

忘れていかないと

(いきていくこともできないかなしいいきもの)

生きていくことも出来ない悲しい生き物

(おもいでじゃいきていけないしぼくらにもかぎりはあるし)

思い出じゃ生きていけないし僕らにも限りはあるし

(それでいいんだよ)

それでいいんだよ

(これでいいんだよな)

これでいいんだよな

(せつなにいきるばんぶつれいちょう)

刹那に生きる万物霊長