竜馬暗殺 斬り口から推理する犯人像 1
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問題文
(わたしもさかもとせんせいに)
私も坂本先生に
(きょうみがあって、)
興味があって、
(さつがいされたげんばに)
殺害された現場に
(でかけたことがある。)
出掛けたことがある。
(てんじょうがあまりに)
天井があまりに
(ひくすぎて、)
低過ぎて、
(じょうだんにかまえて)
上段にかまえて
(きりつけるのは、)
切りつけるのは、
(まずふかのうだとかんじた。)
まず不可能だと感じた。
(しょうせつやぶんけんによると、)
小説や文献によると、
(ほとんどのばあい)
ほとんどの場合
(たちすじは)
太刀筋は
(なかおかしんたろうの)
中岡慎太郎の
(こうとうぶに)
後頭部に
(よこいちもんじ、)
横一文字、
(つぎにさかもとせんせいのひたいに)
次に坂本先生の額に
(おなじくよこいちもんじ、)
同じく横一文字、
(そしてけさがけに)
そしてけさがけに
(いっとうとされている。)
一刀とされている。
(このじじつからは)
この事実からは
(けんじゅつのりゅうはを)
剣術の流派を
(とくていするのは)
特定するのは
(むりである。)
無理である。
(げんばのてんじょうの)
現場の天井の
(たかさからかんがえても、)
高さから考えても、
(いあいとみるのが)
居合いとみるのが
(だとうだろう。)
妥当だろう。
(えどじだいのぶし、)
江戸時代の武士、
(しかもみまわりぐみや)
しかも見廻組みや
(はんしとなれば、)
藩士となれば、
(けんじゅつはいっていのれべるを)
剣術は一定のレベルを
(しゅうとくしているはずだ。)
習得しているはずだ。
(とどうじにぶしの)
と同時に武士の
(たしなみのひとつであった)
嗜みのひとつであった
(いあいもそうとうな)
居合いも相当な
(うでだったと)
腕だったと
(すいそくされる。)
推測される。
(おうみやの)
近江屋の
(せまいへやに)
狭い部屋に
(とびこみ、)
飛び込み、
(なかおかのこうとうぶ、)
中岡の後頭部、
(さかもとせんせいのひたいを)
坂本先生の額を
(きったところからみると、)
斬ったところからみると、
(おそらくはんにんは)
恐らく犯人は
(ちゅうごしもしくは、)
中腰もしくは、
(ひざをついて)
膝をついて
(いったちめを)
一太刀目を
(うったとおもわれる。)
打ったと思われる。
(いあいだからこそ、)
居合いだからこそ、
(ふたりはうけを)
二人は受けを
(とれなかったのだろう。)
とれなかったのだろう。
(いっとうのもと)
一刀のもと、
(ふたりにちめいしょうを)
二人に致命傷を
(あたえたじじつからも、)
与えた事実からも、
(しかくはそうとうの)
刺客は相当の
(けんじゅつのつかいて)
剣術の使い手
(だったにちがいない。)
だったに違いない。
(けんじゅつのしろうとや)
剣術の素人や
(ひときりけいけんのないにんげんだと、)
人斬り経験のない人間だと、
(まずうまくいかない。)
まずうまくいかない。
(ひたいにほねまでたっする)
額に骨まで達する
(きずをあたえることは、)
傷をあたえることは、
(まずむりである。)
まず無理である。
(かたながきりぬけず、)
刀が切り抜けず、
(とちゅうでけんがとまってしまうか、)
途中で剣が止まってしまうか、
(のうてんにむかって)
脳天に向かって
(それてしまう。)
それてしまう。
(しっかりきりぬいているのだから、)
しっかり切り抜いているのだから、
(おそらくかなりのうで、)
恐らくかなりの腕、
(とくにてのかえし、)
とくに手の返し、
(すなっぷりょくのつよいじんぶつだった。)
スナップ力の強い人物だった。
(かんがえるに)
考えるに
(おうみやの)
近江屋の
(にかいにあがったのは、)
二階に上がったのは、
(さんにんではなかったか。)
三人ではなかったか。
(いっかいにみはりがふたりで)
一階に見張りが二人で
(けいごにんだった)
計五人だった
(かのうせいがたかい。)
可能性が高い。