吉田松陰 寸言集〈現代語訳〉8

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松下村塾で学びましょう。
長州藩、維新の志士達の心の師であった吉田松陰。
松蔭の寸言を勝手に現代語に翻訳しました。
詳しくは大家の翻訳をご覧ください。
「誠」のみで生きた松蔭の心震える言葉で、人生を考え直してみましょう。

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問題文

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(ああ、にんげんとしてせいこうをえたとかそうでないとか、)

ああ、人間として成功を得たとかそうでないとか、

嗚呼、人間の得失

(どうしてそんなことをもんだいとするひつようがあろう。)

どうしてそんなことを問題とする必要があろう。

何ぞ問ふことを須いん、

(だんしたるもの、そのようなぞくせけんからはぬきんでて、)

男子たるもの、そのような俗世間からは抜きん出て、

男子須らく塵俗の表に

(ほかよりひときわたかくたつすぐれたにんげんになることがひつようである。)

他よりひときわ高く立つ優れた人間になることが必要である。

卓立することを要すべし。

(あのせいじんといわれたこうしが、ひとにおしえをさずけていたときでさえ、)

あの聖人といわれた孔子が、人に教えを授けていた時でさえ、

孔子人を教えしより、

(たにんというものをみなじぶんとおなじようにする、 こんなことはできなかったのだ。)

他人というものを皆自分と同じようにする、 こんなことは出来なかったのだ。

已に人をして皆己れに同じからしむること能わず。

(ひごろからちょくなまことのこころをもってうえをいさめる、これができないにんげんは、)

日頃から直な誠の心をもって上を諫める、これが出来ない人間は、

平時直諫なくんば、

(いざいくさにのぞんだとき、まっさきにてきじんにきりこむこともできはしないのだ。)

いざ戦に臨んだ時、真っ先に敵陣に切り込むこともできはしないのだ。

戦に臨みて先登なし。

(なにごともならぬというはなきものを)

何事も ならぬというは なきものを

(ならぬというはなさぬなりけり)

ならぬというは なさぬなりけり

(どんなことであろうが、やってなしとげられないということはない。)

どんなことであろうが、やって成し遂げられないという事はない。

何事もならぬといふはなきものを

(できないというのは、ほんきでやっていないだけである。)

出来ないというのは、本気でやっていないだけである。

ならぬというふはなさぬなりけり

(くにのことをしんけんにうれうけっか、それでともにそむくことになってしまうかもしれない。)

国のことを真剣に憂う結果、それで友に背くことになってしまうかもしれない。

国を憂へて友に負くも、

(だが、どうしてともをあいするあまりそれにどうちょうしてくにをそむくことができようか。)

だが、どうして友を愛するあまりそれに同調して国を背くことができようか。

友を愛して国に負かんや。

(こじんはこのようにいった。)

古人はこのように言った。

古人云はく、

(「くだらないがくしゃやつまらないやくにんたちに、)

「下らない学者やつまらない役人達に、

「儒生俗吏

(どうしてさしせまりくる、いますべきせいむをしりえようか、)

どうして差し迫りくる、今すべき政務を知り得ようか、

安んぞ事務を知らん、

(それがしんにわかるもの、それはこころあるすぐれたゆうしだけである」と。)

それが真に分かる者、それは心ある優れた憂士だけである」と。

事務を知る者は俊傑に在り」と。

(つとめてべんがくせずこうじょうしんのないもののしんじょうにはみっつある。)

勤めて勉学せず向上心の無い者の心情には三つある。

勉めざる者の情に三あり、

(いちにいわく、まなぶにはもうとしをとってしまった。)

一に曰く、学ぶにはもう年を取ってしまった。

曰く、吾が年老いたり。

など

(ににいわく、まなぼうにもわたしはかしこくもなくさいのうもない。)

ニに曰く、学ぼうにも私は賢くもなく才能も無い。

曰く、吾が鈍才なり。

(もしくはこうだ、わたしはさいのうがたかく、もうじゅうぶんにがくがある、と。)

もしくはこうだ、私は才能が高く、もう十分に学がある、と。

然らずんば則ち曰く、吾が才高し、学なれりと。

(すこしのさいのうやちしきをたよりにして、ちっぽけなせいこうでまんぞくしてしまうのは、)

少しの才能や知識を頼りにして、ちっぽけな成功で満足してしまうのは、

才学を恃みて小成に安んずるは

(わがちょうしゅうはんのわるいしゅうへきである。)

わが長州藩の悪い習癖である。

本藩の弊習なり。

(しゅうへきというものは、いずれかならずきしつそのものとなる。)

習癖というものは、いずれ必ず気質そのものとなる。

習は必ず風となる。

(おおきなしごとをするときには、ささいなことにこだわっていてはならない、)

大きな仕事をする時には、些細な事にこだわっていてはならない、

大行は細謹を顧みずは

(もちろんこれはどうりではあるが、)

勿論これは道理ではあるが、

勿論の事なれども、

(そのささいなことがおおきながいをおよぼすこともある。)

その些細なことが大きな害を及ぼすこともある。

小事却つて大害を為す事もあるなり。

(くんしがとうとぶべきものはかっことしたこころざしのみである。)

君子が尊ぶべきものは確固とした志のみである。

君子に貴ぶところのものは志のみ、

(それに、おそれずおくせずきおくれしないきりょく、つまりたんりょくだ。)

それに、恐れず臆せず気後れしない気力、つまり胆力だ。

胆のみ。

(たんりょくもこころざしもないのであれば、こまごまとしたさいのうやちしきがあったとて、)

胆力も志も無いのであれば、細ごまとした才能や知識があったとて、

胆なく志なくんば、則ち区々の才知

(それがいったいなんのやくにたとうか。)

それが一体何の役に立とうか。

将た何の用か之れを為さん。

(くんしがいったんみちにこころざしたならば、)

君子が一旦道に志したならば、

君子の道に志すや、

(しかるべくしてがくもんにはげみしっかりとかんがえるようになる。)

然るべくして学問に励みしっかりと考えるようになる。

則ち学び則ち思ふ。

(しゅうじつがくもんにはげむようになり、やぶんにはしさくをねる。)

終日学問に励むようになり、夜分には思索を練る。

昼日之れを学び、暮夜之れを思ふ。

(しさくをねればねるほどじぶんのなかでえるものがあることだろう。)

思索を練れば練るほど自分の中で得るものがあることだろう。

思へば得るものあり、

(そしてしんけんにまなべば、それがしぜんこうどうとなるはずだ。)

そして真剣に学べば、それが自然行動となるはずだ。

学べば為すあり。

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