コンタクトケース

(からのこんたくとけーすが)

空のコンタクトケースが

(いまもせんめんじょでぽつり)

今も洗面所でポツリ

(きみのかえりをまってるよう)

君の帰りを待ってるよう

(おまえもおいていかれたのかどこでまちがってしまった？)

お前も置いていかれたのかどこで間違ってしまった？

(おもいあたるふしはやまほど)

思い当たる節は山ほど

(きみとであったあのひまでをさかのぼってくるしくなる)

君と出会ったあの日までを遡って苦しくなる

(うさぎのてーるみたいなぴあす)

うさぎのテールみたいなピアス

(はずしてねむるきみはもういないよ)

外して眠る君はもう居ないよ

(したぎすがたのまっしろいてんしがぼくのよこからきえたあさ)

下着姿の真っ白い天使が僕の横から消えた朝

(こんやのつきはあかるくてまあるい)

今夜の月は明るくてまあるい

(さいごのよるをあぁおもいだすなぁ)

最後の夜をあぁ思い出すなぁ

(あのとききみはどうしてないたの)

あの時君はどうして泣いたの

(いまだにわからぬままこたえはでぬまま)

未だに分からぬまま答えは出ぬまま

(「さむいよるがつづきますがきみはげんきにしていますか？」)

「寒い夜が続きますが君は元気にしていますか？」

(まだぼくはふたりでいたひびから)

まだ僕はふたりでいた日々から

(まったくぬけだせずにいるからのこるくぼーどには)

全く抜け出せずにいる空のコルクボードには

(むすうのちいさながびょうのあなあれからずいぶんしゃしんもとってないな)

無数の小さな画鋲の穴あれから随分写真も撮ってないな

(てぷらのしーるがやたらとしつこくはりついて)

テプラのシールがやたらとしつこく張り付いて

(きれいにはがれてくれないよ)

綺麗に剥がれてくれないよ

(なぁおしえてくれよきみとふたりですごしたことにはりゆうがいるのか？)

なぁ教えてくれよ君とふたりで過ごした事には理由がいるのか？

(なんかたのしくてなんかしあわせでそれだけでずっと)

なんか楽しくてなんか幸せでそれだけでずっと

(いられるきがしていたあいしかたがさひとつじゃないのは)

いられる気がしていた愛し方がさひとつじゃないのは

(あたりまえなんだよありふれていたとしても)

当たり前なんだよありふれていたとしても

(このひびはやがてむかしばなしになるけど)

この日々はやがて昔話になるけど

(けしてうそなんかにはならないよ)

決して嘘なんかにはならないよ

(ぼくらうそなんかにはならないよね)

僕ら嘘なんかにはならないよね

(きみのこんたくとけーすを)

君のコンタクトケースを

(いまでもすてられずにいる)

今でも捨てられずにいる

(きみのかえりをまっている)

君の帰りを待っている