芥川龍之介『蜜柑』

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投稿者投稿者由佳梨いいね5お気に入り登録1
プレイ回数3677難易度(5.0) 7310打 長文
電車に乗り合わせた少女が窓から蜜柑を投げる短編小説。

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(あるくもったふゆのひぐれである。わたくしはよこすかはつのぼり2とうきゃくしゃのすみにこしをおろして、) 或曇った冬の日暮である。私は横須賀発上り二等客車の隅に腰を下して、 (ぼんやりはっしゃのふえをまっていた。とうにでんとうのついたきゃくしゃのなかには、めずらしく) ぼんやり発車の笛を待っていた。とうに電燈のついた客車の中には、珍らしく (わたくしのほかに1りもじょうきゃくはいなかった。そとをのぞくと、うすぐらい) 私の外に一人も乗客はいなかった。外を覗くと、うす暗い (ぷらっとふぉおむにも、きょうはめずらしくみおくりのひとかげさえあとをたって、ただ、おりに) プラットフォオムにも、今日は珍しく見送りの人影さえ跡を絶って、唯、檻に (いれられたこいぬが1ぴき、ときどきかなしそうに、ほえたてていた。これらはそのときの) 入れられた小犬が一匹、時々悲しそうに、吠え立てていた。これらはその時の (わたくしのこころもちと、ふしぎなくらいにつかわしいけしきだった。わたくしのあたまのなかにはいいようの) 私の心もちと、不思議な位似つかわしい景色だった。私の頭の中には云いようの (ないひろうとけんたいとが、まるでゆきぐもりのそらのようなどんよりしたかげをおとしていた。) ない疲労と倦怠とが、まるで雪曇りの空のようなどんよりした影を落していた。 (わたくしはがいとうのぽっけっとへじっとりょうてをつっこんだまま、そこにはいっている) 私は外套のポッケットへじっと両手をつっこんだまま、そこにはいっている (ゆうかんをだしてみようというげんきさえおこらなかった。が、やがてはっしゃのふえが) 夕刊を出して見ようと云う元気さえ起らなかった。が、やがて発車の笛が (なった。わたくしはかすかなこころのくつろぎをかんじながら、うしろのまどわくへあたまをもたせて、めの) 鳴った。私はかすかな心の寛ぎを感じながら、後の窓枠へ頭をもたせて、眼の (まえのていしゃじょうがずるずるとあとずさりをはじめるのをまつともなくまちかまえていた。) 前の停車場がずるずると後ずさりを始めるのを待つともなく待ちかまえていた。 (ところがそれよりもさきにけたたましいひよりげたのおとが、かいさつぐちのほうからきこえ) ところがそれよりも先にけたたましい日和下駄の音が、改札口の方から聞え (だしたとおもうと、まもなくしゃしょうのなにかいいののしるこえとともに、わたくしののっている) 出したと思うと、間もなく車掌の何か云い罵る声と共に、私の乗っている (2とうしつのとががらりとひらいて、134のこむすめが1り、あわただしくなかへはいってきた、) 二等室の戸ががらりと開いて、十三四の小娘が一人、慌しく中へはいって来た、 (とどうじに1つずしりとゆれて、おもむろにきしゃはうごきだした。1ぽんずつめをくぎって) と同時に一つずしりと揺れて、徐に汽車は動き出した。一本ずつ眼をくぎって (いくぷらっとふぉおむのはしら、おきわすれたようなうんすいしゃ、それからしゃないのだれかに) 行くプラットフォオムの柱、置き忘れたような運水車、それから車内の誰かに (しゅうぎのれいをいっているあかぼう--そういうすべては、まどへふきつけるばいえんのなかに、) 祝儀の礼を云っている赤帽――そう云うすべては、窓へ吹きつける煤煙の中に、 (みれんがましくうしろへたおれていった。わたくしはようやくほっとしたこころもちになって、まきたばこに) 未練がましく後へ倒れて行った。私は漸くほっとした心もちになって、巻煙草に (ひをつけながら、はじめてものういまぶたをあげて、まえのせきにこしをおろしていたこむすめのかおを) 火をつけながら、始めて懶い睚をあげて、前の席に腰を下していた小娘の顔を (いちべつした。それはあぶらけのないかみをひっつめのいちょうがえしにゆって、よこなでのあとの) 一瞥した。それは油気のない髪をひっつめの銀杏返しに結って、横なでの痕の
など
(あるひびだらけのりょうほおをきもちのわるいほどあかくほてらせた、いかにもいなかものらしい) ある皸だらけの両頬を気持の悪い程赤く火照らせた、如何にも田舎者らしい (むすめだった。しかもあかじみたもえぎいろのけいとのえりまきがだらりとたれさがったひざの) 娘だった。しかも垢じみた萌黄色の毛糸の襟巻がだらりと垂れ下った膝の (うえには、おおきなふろしきづつみがあった。そのまたつつみをだいたしもやけのてのなかには、) 上には、大きな風呂敷包みがあった。その又包みを抱いた霜焼けの手の中には、 (3とうのあかきっぷがだいじそうにしっかりにぎられていた。わたくしはこのこむすめのげひんな) 三等の赤切符が大事そうにしっかり握られていた。私はこの小娘の下品な (かおだちをこのまなかった。それからかのじょのふくそうがふけつなのもやはりふかいだった。) 顔だちを好まなかった。それから彼女の服装が不潔なのもやはり不快だった。 (さいごにその2とうと3とうとのくべつさえもわきまえないぐどんなこころがはらだたしかった。) 最後にその二等と三等との区別さえも弁えない愚鈍な心が腹立たしかった。 (だからまきたばこにひをつけたわたくしは、1つにはこのこむすめのそんざいをわすれたいという) だから巻煙草に火をつけた私は、一つにはこの小娘の存在を忘れたいと云う (こころもちもあって、こんどはぽっけっとのゆうかんをまんぜんとひざのうえへひろげてみた。) 心もちもあって、今度はポッケットの夕刊を漫然と膝の上へひろげて見た。 (するとそのときゆうかんのしめんにおちていたがいこうが、とつぜんでんとうのひかりにかわって、すりのわるい) するとその時夕刊の紙面に落ちていた外光が、突然電燈の光に変って、刷の悪い (なにらんかのかつじがいがいなくらいあざやかにわたくしのめのまえへうかんできた。いうまでもなくきしゃは) 何欄かの活字が意外な位鮮に私の眼の前へ浮んで来た。云うまでもなく汽車は (いま、よこすかせんにおおいとんねるのさいしょのそれへはいったのである。しかしそのでんとうの) 今、横須賀線に多い隧道の最初のそれへはいったのである。しかしその電燈の (ひかりにてらされたゆうかんのしめんをみわたしても、やはりわたくしのゆううつはなぐさむべく、せけんは) 光に照らされた夕刊の紙面を見渡しても、やはり私の憂鬱は慰むべく、世間は (あまりにへいぼんなできごとばかりでもちきっていた。こうわもんだい、しんぷしんろう、とくしょくじけん、) 余りに平凡な出来事ばかりで持ち切っていた。講和問題、新婦新郎、涜職事件、 (しぼうこうこく--わたくしはとんねるへはいった1しゅんかん、きしゃのはしっているほうこうがぎゃくになった) 死亡広告――私は隧道へはいった一瞬間、汽車の走っている方向が逆になった (ようなさっかくをかんじながら、それらのさくばくとしたきじからきじへほとんどきかいてきにめを) ような錯覚を感じながら、それらの索漠とした記事から記事へ殆機械的に眼を (とおした。が、そのあいだももちろんあのこむすめが、あたかもひぞくなげんじつをにんげんにしたような) 通した。が、その間も勿論あの小娘が、あたかも卑俗な現実を人間にしたような (おももちで、わたくしのまえにすわっていることをたえずいしきせずにはいられなかった。この) 面持ちで、私の前に坐っている事を絶えず意識せずにはいられなかった。この (とんねるのなかのきしゃと、このいなかもののこむすめと、そうしてまたこのへいぼんなきじにうずまって) 隧道の中の汽車と、この田舎者の小娘と、そうして又この平凡な記事に埋って (いるゆうかんと、--これがしょうちょうでなくてなにであろう。ふかかいな、かとうな、たいくつな) いる夕刊と、――これが象徴でなくて何であろう。不可解な、下等な、退屈な (じんせいのしょうちょうでなくてなにであろう。わたくしはいっさいがくだらなくなって、よみかけた) 人生の象徴でなくて何であろう。私は一切がくだらなくなって、読みかけた (ゆうかんをほうりだすと、またまどわくにあたまをもたせながら、しんだようにめをつぶって、) 夕刊を抛り出すと、又窓枠に頭を靠せながら、死んだように眼をつぶって、 (うつらうつらしはじめた。それからいくぶんかすぎたあとであった。ふとなにかにおびやかされた) うつらうつらし始めた。それから幾分か過ぎた後であった。ふと何かに脅された (ようなこころもちがして、おもわずあたりをみまわすと、いつのまにかれいのこむすめが、) ような心もちがして、思わずあたりを見まわすと、何時の間にか例の小娘が、 (むこうがわからせきをわたくしのとなりへうつして、しきりにまどをあけようとしている。が、おもい) 向う側から席を私の隣へ移して、頻に窓を開けようとしている。が、重い (がらすどはなかなかおもうようにあがらないらしい。あのひびだらけのほおはいよいよあかくなって、) 硝子戸は中々思うようにあがらないらしい。あの皸だらけの頬は愈赤くなって、 (ときどきはなをすすりこむおとが、ちいさないきのきれるこえといっしょに、せわしなくみみへ) 時々鼻洟をすすりこむ音が、小さな息の切れる声と一しょに、せわしなく耳へ (はいってくる。これはもちろんわたくしにも、いくぶんながらどうじょうをひくにたるものにはそうい) はいって来る。これは勿論私にも、幾分ながら同情を惹くに足るものには相違 (なかった。しかしきしゃがいままさにとんねるのくちへさしかかろうとしていることは、ぼしょくの) なかった。しかし汽車が今将に隧道の口へさしかかろうとしている事は、暮色の (なかにかれくさばかりあかるいりょうがわのさんぷくが、まぢかくまどがわにせまってきたのでも、すぐに) 中に枯草ばかり明い両側の山腹が、間近く窓側に迫って来たのでも、すぐに (がてんのいくことであった。にもかかわらずこのこむすめは、わざわざしめてあるまどのとを) 合点の行く事であった。にも関らずこの小娘は、わざわざしめてある窓の戸を (おろそうとする、--そのりゆうがわたくしにはのみこめなかった。いや、それがわたくしには、) 下そうとする、――その理由が私には呑みこめなかった。いや、それが私には、 (たんにこのこむすめのきまぐれだとしかかんがえられなかった。だからわたくしははらのそこに) 単にこの小娘の気まぐれだとしか考えられなかった。だから私は腹の底に (いぜんとしてけわしいかんじょうをたくわえながら、あのしもやけのてががらすどをもたげようとして) 依然として険しい感情を蓄えながら、あの霜焼けの手が硝子戸を擡げようとして (あくせんくとうするようすを、まるでそれがえいきゅうにせいこうしないことでもいのるようなれいこくな) 悪戦苦闘する容子を、まるでそれが永久に成功しない事でも祈るような冷酷な (めでながめていた。するとまもなくすさまじいおとをはためかせて、きしゃがとんねるへなだれ) 眼で眺めていた。すると間もなく凄じい音をはためかせて、汽車が隧道へなだれ (こむとどうじに、こむすめのあけようとしたがらすどは、とうとうばたりとしたへおちた。) こむと同時に、小娘の開けようとした硝子戸は、とうとうばたりと下へ落ちた。 (そうしてそのしかくなあなのなかから、すすをとかしたようなどすぐろいくうきが、にわかに) そうしてその四角な穴の中から、煤を溶したようなどす黒い空気が、俄に (いきぐるしいけむりになって、もうもうとしゃないへみなぎりだした。がんらいのどをがいしていたわたくしは、) 息苦しい煙になって、濛々と車内へ漲り出した。元来咽喉を害していた私は、 (はんけちをかおにあてるひまさえなく、このけむりをまんめんにあびせられたおかげで、ほとんどいきも) 手巾を顔に当てる暇さえなく、この煙を満面に浴びせられたおかげで、殆息も (つけないほどせきこまなければならなかった。が、こむすめはわたくしにとんじゃくするけしきも) つけない程咳きこまなければならなかった。が、小娘は私に頓着する気色も (みえず、まどからそとへくびをのばして、やみをふくかぜにいちょうがえしのびんのけをそよがせ) 見えず、窓から外へ首をのばして、闇を吹く風に銀杏返しの鬢の毛を戦がせ (ながら、じっときしゃのすすむほうこうをみやっている。そのすがたをばいえんとでんとうのひかりとの) ながら、じっと汽車の進む方向を見やっている。その姿を煤煙と電燈の光との (なかにながめたとき、もうまどのそとがみるみるあかるくなって、そこからつちのにおいやかれくさのにおいや) 中に眺めた時、もう窓の外が見る見る明くなって、そこから土の匂や枯草の匂や (みずのにおいがひややかにながれこんでこなかったなら、ようやくせきやんだわたくしは、このみしらない) 水の匂が冷かに流れこんで来なかったなら、漸咳きやんだ私は、この見知らない (こむすめをあたまごなしにしかりつけてでも、またもとのとおりまどのとをしめさせたのにそうい) 小娘を頭ごなしに叱りつけてでも、又元の通り窓の戸をしめさせたのに相違 (なかったのである。しかしきしゃはそのじぶんには、もうやすやすととんねるをすべりぬけて、) なかったのである。しかし汽車はその時分には、もう安々と隧道を辷りぬけて、 (かれくさのやまとやまとのあいだにはさまれた、あるまずしいまちはずれのふみきりにとおりかかって) 枯草の山と山との間に挟まれた、或貧しい町はずれの踏切りに通りかかって (いた。ふみきりのちかくには、いずれもみすぼらしいわらやねやかわらやねがごみごみと) いた。踏切りの近くには、いずれも見すぼらしい藁屋根や瓦屋根がごみごみと (せまくるしくたてこんで、ふみきりばんがふるのであろう、ただ1りゅうのうすしろいはたがものうげに) 狭苦しく建てこんで、踏切り番が振るのであろう、唯一旒のうす白い旗が懶げに (ぼしょくをゆすっていた。やっととんねるをでたとおもう--そのときそのしょうさくとしたふみきりの) 暮色を揺っていた。やっと隧道を出たと思う――その時その蕭策とした踏切りの (さくのむこうに、わたくしはほおのあかい3にんのおとこのこが、めじろおしにならんでたっているのを) 柵の向うに、私は頬の赤い三人の男の子が、目白押しに並んで立っているのを (みた。かれらはみな、このどんてんにおしすくめられたかとおもうほど、そろってせが) 見た。彼等は皆、この曇天に押しすくめられたかと思う程、揃って背が (ひくかった。そうしてまたこのまちはずれのいんさんたるふうぶつとおなじようないろのきものをきて) 低かった。そうして又この町はずれの陰惨たる風物と同じような色の着物を着て (いた。それがきしゃのとおるのをあおぎみながら、いっせいにてをあげるがはやいか、) いた。それが汽車の通るのを仰ぎ見ながら、一斉に手を挙げるが早いか、 (いたいけなのどをたかくそらせて、なんともいみのわからないかんせいをいっしょうけんめいに) いたいけな喉を高く反らせて、何とも意味の分らない喊声を一生懸命に (ほとばしらせた。するとそのしゅんかんである。まどからはんしんをのりだしていたれいのむすめが、あの) 迸らせた。するとその瞬間である。窓から半身を乗り出していた例の娘が、あの (しもやけのてをつとのばして、いきおいよくさゆうにふったとおもうと、たちまちこころをおどらす) 霜焼けの手をつとのばして、勢よく左右に振ったと思うと、忽ち心を躍らす (ばかりあたたかなひのいろにそまっているみかんがおよそ5つ6つ、きしゃをみおくった) ばかり暖な日の色に染まっている蜜柑が凡そ五つ六つ、汽車を見送った (こどもたちのうえへばらばらとそらからふってきた。わたくしはおもわずいきをのんだ。そうして) 子供たちの上へばらばらと空から降って来た。私は思わず息を呑んだ。そうして (せつなにいっさいをりょうかいした。こむすめは、おそらくはこれからほうこうさきへおもむこうとしている) 刹那に一切を了解した。小娘は、恐らくはこれから奉公先へ赴こうとしている (こむすめは、そのふところにぞうしていたいくかのみかんをまどからなげて、わざわざふみきりまで) 小娘は、その懐に蔵してした幾顆の蜜柑を窓から投げて、わざわざ踏切りまで (みおくりにきたおとうとたちのろうにむくいたのである。ぼしょくをおびたまちはずれのふみきりと、) 見送りに来た弟たちの労に報いたのである。暮色を帯びた町はずれの踏切りと、 (ことりのようにこえをあげた3にんのこどもたちと、そうしてそのうえにらんらくするあざやかな) 小鳥のように声を挙げた三人の子供たちと、そうしてその上に乱落する鮮な (みかんのいろと--すべてはきしゃのまどのそとに、またたくひまもなくとおりすぎた。が、わたくしの) 蜜柑の色と――すべては汽車の窓の外に、瞬く暇もなく通り過ぎた。が、私の (こころのうえには、せつないほどはっきりと、このこうけいがやきつけられた。そうして) 心の上には、切ない程はっきりと、この光景が焼きつけられた。そうして (そこから、あるえたいのしれないほがらかなこころもちがわきあがってくるのをいしきした。わたくしは) そこから、或得体の知れない朗な心もちが湧き上って来るのを意識した。私は (こうぜんとあたまをあげて、まるでべつじんをみるようにあのこむすめをちゅうしした。こむすめはいつか) 昂然と頭を挙げて、まるで別人を見るようにあの小娘を注視した。小娘は何時か (もうわたくしのまえのせきにかえって、あいかわらずひびだらけのほおをもえぎいろのけいとのえりまきにうずめ) もう私の前の席に返って、相不変皸だらけの頬を萌黄色の毛糸の襟巻に埋め (ながら、おおきなふろしきづつみをかかえたてに、しっかりと3とうきっぷをにぎっている。) ながら、大きな風呂敷包みを抱えた手に、しっかりと三等切符を握っている。 (・・・・・・わたくしはこのときはじめて、いいようのないひろうとけんたいとを、そうしてまたふかかいな、) ……私はこの時始めて、云いようのない疲労と倦怠とを、そうして又不可解な、 (かとうな、たいくつなじんせいをわずかにわすれることができたのである。) 下等な、退屈な人生を僅に忘れる事が出来たのである。
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