いい女

(ねぇだいじょうぶだよいわなくてもわかってる)

ねぇ、大丈夫だよ 言わなくてもわかってる

(ながいあいだとなりにいたんだから)

長い間 隣にいたんだから

(ねぇそんなかおしないでよわたしのほうがかなしいよ)

ねぇ、そんな顔しないでよ 私の方が悲しいよ

(でもわらってるのもなんかへんだね)

でも笑ってるのもなんか変だね

(でもさいつからかないつからはなれていったのかな)

でもさ、いつからかな いつから離れていったのかな

(あのひこっぷをふたつかってきたときはかわいいねってよろこんでいたけど)

あの日コップを二つ買ってきた時は 「可愛いね」って喜んでいたけど

(あれはうそじゃないよね)

あれは嘘じゃないよね

(ごめんねせめるつもりじゃないんだけどさ)

ごめんね、責めるつもりじゃないんだけどさ

(あさとむしはにがてだったけど)

朝と虫は苦手だったけど

(えがおがかわいくてときどきちゃんとおとこらしくて)

笑顔が可愛くて 時々ちゃんと男らしくて

(むちゅうになるとはなしをきいてなくてもういいよっておこったりもしたけど)

夢中になると話を聞いてなくて もういいよって怒ったりもしたけど

(そこもすきだった)

そこも 好きだった

(ねぇこれはどうしようかあなたがもっていてよ)

ねぇ、これはどうしようか あなたが持っていてよ

(いらなくなったらすてていいから)

いらなくなったら捨てていいから

(でもさふたりであうのはきょうがさいごになるのかな)

でもさ、二人で会うのは 今日が最後になるのかな

(そんなふうにおもうとちょっとなんだか)

そんな風に思うとちょっとなんだか

(ううんぜんぜんさみしくないな)

ううん、全然寂しくないな

(つぎがうまくいったならわたしのおかげだっておもってよね)

次がうまくいったなら 私のおかげだって思ってよね

(きげんがわるいとめんどうだったけどねがおはいとしくて)

機嫌が悪いと面倒だったけど 寝顔は愛しくて

(こどもみたいにはしゃぐくせにわたしがなくとつよくだきしめてくれた)

子どもみたいにはしゃぐくせに 私が泣くと強く抱きしめてくれた

(おもいだすのはもうやめよう)

思い出すのは もうやめよう

(りょうりもけしょうももっとじょうずになってきれいになって)

料理も化粧ももっと上手になって 綺麗になって

(あのときわかれなければよかったってもどってきたいっていったって)

あの時別れなければ良かったって 戻ってきたいって言ったって

(そのときわたしにはもうとっくにあたらしいひとがいて)

その時私には もうとっくに新しい人がいて

(あなたのことなんてわすれているんだから)

あなたのことなんて忘れているんだから

(わすれているんだから)

忘れているんだから

(ここでいまわたしおもいきりわらうからこのかおをきれいにしまっておいてね)

ここで今私 思い切り笑うから この顔を綺麗にしまっておいてね

(さよなら)

さよなら