神風

(あやつるかぜのすがたながれるかぜのこえ)

操る風の姿　流れる風の声

(すさぶるかぜをこえて)

荒ぶる風を超えて

(ながれるほしになる)

流れる星になる

(みおろすやまのけしき)

見下ろす山の景色

(みあげるそらのいろ)

見上げる空の色

(ながれおちるかみのながれぼし)

流れ落ちる　神の流れ星

(たそがれのやちまたを)

黄昏の八衢を

(だれそかれはあゆみをとめぬ)

誰そ彼は　歩みを止めぬ

(てにとるほおずきのように)

手に取る　鬼灯のように

(そっとさけによう)

そっと酒に酔う

(かなかなとふりやまぬ)

カナカナと降り止まぬ

(せみしぐれにかさをひろげて)

蝉時雨に傘を広げて

(うたげのはじまるころに)

宴の始まる頃に

(そっとかぜをなぐ)

そっと風を凪ぐ

(おうまがときひとはきえ)

逢魔ヶ時　人は消え

(そらをかけるかぜは)

空を駆ける風は

(さびれたしゃにまつりまつられかみがみとかたる)

寂れた社に　祭り祀られ　神々と騙る

(かぜはとおくかがやく)

風は　遠く輝く

(そらかけるあまきつね)

空駆ける　天狗

(よろずかず　くものかよいじへと)

万風 雲の通い路へと

(ちにおちずてんにいかず)

地に堕ちず　天に逝かず

(むけんにたそがれに)

無間に黄昏に

(このみひとつはらわれたもうへ)

この身一つ　祓われ給へ

(よいやみにともされた)

宵闇に灯された

(だれそかれのむじゃきなこえに)

誰そ彼の　無邪気な声に

(しゅいろにほおべにそめて)

朱色に　頬紅染めて

(そっとわらべをさとす)

そっと童を諭す

(がやがやとなりひびく)

ガヤガヤと鳴り響く

(ひとのこえまつりのはやし)

人の声　祭りの囃子

(おどりのあいまあいまに)

踊りの合間合間に

(そっとさけをくむ)

そっと酒を酌む

(うしみっつじひとはきえ)

丑三つ時　人は消え

(そらをかけるかぜは)

空を駆ける風は

(あらたなみこしにまつりまつられ)

新たな神輿に　祭り祀られ

(かみがみとすまう)

神々と住まう

(とりにてとりならず)

鳥にて鳥ならず

(そらかけるあまきつね)

空駆ける　天狗

(あまつかぜせおいしかみがみよ)

天津風　背負いし神々よ

(ちにおちずてんにいかず)

地に堕ちず　天に逝かず

(ただそらをながれる)

ただ空を流れる

(そのすがたはながれぼし)

その姿は　流れ星

(てんてらすやまにあめがうつろい)

天照らす　山に雨が移ろい

(みちびきさかえるすがたくにつしんよ)

導き　栄える姿　国津神よ

(こころにのこされたけんそうのまよいじよ)

心に残された　喧騒の迷い路よ

(うちあがるはなびのごとくはなひらかせて)

打ち上がる花火の如く　花開かせて

(あきずまいかぜなぎ)

秋津舞い　風凪ぎ

(そらかけるほしのこえ)

空駆ける　星の声

(われはかぜのかみ)

我は　風の神

(てんてらすまんのかみ)

天照らす　万の神

(かぜはやみまとい)

風は　闇纏い

(そらかけるかぜのけしん)

空駆ける　風の化身

(まんかぜひとのまよいじへと)

万風　人の迷い路へと

(ちにおちずてんにいかず)

地に堕ちず　天に逝かず

(むけんにたそがれに)

無間に黄昏に

(ふうじんはただ)

風神は　ただ

(むじゃきにわらいまう)

無邪気に笑い　舞う