必殺カレー

読売新聞社賞受賞「元気のバトン」よりこっちのが好き。
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | ogura | 4443 | 千人に一人のカレー好き | 4.7 | 93.9% | 489.7 | 2326 | 150 | 69 | 2025/08/29 |
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4,5,6,8,9,10話の冒頭部分です。劇場版追加しました。
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問題文
(「とりがらうってるのは、せいにくてん?」)
「鶏がら売ってるのは、精肉店?」
(いまから10ねんほどまえのはなしだが、)
今から10年ほど前の話だが、
(なぜかむすこは「とりがらすーぷ」にこだわっていた。)
なぜか息子は「鶏がらスープ」にこだわっていた。
(「なんぐらむからうってもらえるだろう?」)
「何グラムから売ってもらえるだろう?」
(とうじ、はたちのだいがくせい。)
当時、二十歳の大学生。
(もっとほかに、きょうみがあってもよさそうなのに、)
もっとほかに、興味があってもよさそうなのに、
(なぜ「とりがら」?)
なぜ「鶏がら」?
(じゅうななさいのときに「asd」としんだんされたとき、)
十七歳の時に「ASD」と診断されたとき、
(「べんきょうはあきらめてください。すきなことしかしませんから」)
「勉強はあきらめてください。好きな事しかしませんから」
(といしゃからはいわれてはいたけど、まさか「とりがら」とは・・・・・・。)
と医者からは言われてはいたけど、まさか「鶏がら」とは……。
(「とりがらすーぷのもとで、じゅうぶんだよ」)
「鶏がらスープの素で、じゅうぶんだよ」
(といってみた。けれども、かれは、)
と言ってみた。けれども、彼は、
(「うーん」)
「うーん」
(といったきり、だまってしまう。)
と言ったきり、黙ってしまう。
(これは「それじゃ、だめだ」の「うーん」だ。)
これは「それじゃ、ダメだ」の「うーん」だ。
(じぶんのきもちをうまくつたえられないかれなりのしゅちょう。)
自分の気持ちをうまく伝えられない彼なりの主張。
(こうなったらわたしのはなしなど、みみにいらない。)
こうなったら私の話など、耳に入らない。
(「とりがらは、なんじかんにこむ?」)
「鶏がらは、何時間煮込む?」
(「ねっとでも、とりがらはかえる?」)
「ネットでも、鶏がらは買える?」
(しばらく「とりがら」けいのはなしがつづいた。)
しばらく「鶏がら」系の話が続いた。
(すうかげつほどたったころ、こんどは、)
数か月ほど経った頃、今度は、
(「かれーのにくは、なにがいい?」)
「カレーの肉は、何がいい?」
(といいだした。)
と言い出した。
(「とりにくかな?たもりさんがそういってたよ」)
「鶏肉かな?タモリさんがそう言ってたよ」
(むすこはけっこう、たもりさんのことばをしんようする。)
息子はけっこう、タモリさんの言葉を信用する。
(「やるきのあるものはされ」というたもりさんのことばがとくにすき。)
「やる気のある者は去れ」というタモリさんの言葉が特に好き。
(やるきがあっても、そうみえなくて、)
やる気があっても、そう見えなくて、
(ちいさいころから、しかられまくったかれにとって、)
小さい頃から、叱られまくった彼にとって、
(このいいかたは、むねのすくおもいがするのだろう。)
この言い方は、胸のすく思いがするのだろう。
(かれは、すんなりなっとくし、「かれーはとりにく」といんぷっとしたようだ。)
彼は、すんなり納得し、「カレーは鶏肉」とインプットしたようだ。
(それからしばらく、すまほで「すぱいす」のじょうほうしゅうしゅうにはげんでいた。)
それからしばらく、スマホで「スパイス」の情報収集に励んでいた。
(あるしゅうまつ、)
ある週末、
(「いっしょにかいものにいく」)
「一緒に買い物に行く」
(といいだした。なんだか、いやなよかん。)
と言い出した。なんだか、嫌な予感。
(あんのじょう、かれは、わたしのもつすーぱーのかごに、いろんなすぱいすをいれはじめた。)
案の定、彼は、私の持つスーパーのカゴに、いろんなスパイスを入れ始めた。
(じんじゃーぱうだーやしなもんすてぃっく、ろーりえ、かんそうあかとうがらし。)
ジンジャーパウダーやシナモンスティック、ローリエ、乾燥赤唐辛子。
(そして、しはんのかれーるー。)
そして、市販のカレールー。
(「かれー、つくるの?」)
「カレー、作るの?」
(「うん」)
「うん」
(「かれーるーだけでも、だいじょうぶだよ」)
「カレールーだけでも、大丈夫だよ」
(すぱいすはどれもねだんがたかかった。)
スパイスはどれも値段が高かった。
(しかも、あまっても、ぜったいつかわないすぱいすばかり。)
しかも、余っても、絶対使わないスパイスばかり。
(できるなら、かわずにすませたかった。)
できるなら、買わずに済ませたかった。
(しかし、むすこは、)
しかし、息子は、
(「うーん」)
「うーん」
(かれのすぱいすへのじょうねつは、そうかんたんにはきえうせない。)
彼のスパイスへの情熱は、そう簡単には消え失せない。
(そして、とどめに、)
そして、とどめに、
(「まるどり」をかごにいれた。)
「丸鶏」をかごに入れた。
(「え?まるごと?」)
「え?まるごと?」
(「かれーのだしにする」)
「カレーの出汁にする」
(「とりがら」から「まるどり」にばーじょんあっぷ!)
「鶏がら」から「丸鶏」にバージョンアップ!
(つぎのひは、にちようび。)
次の日は、日曜日。
(あかるいうちからきっちんをせんりょうし、)
明るいうちからキッチンを占領し、
(なんじかんも、なべのまえにたっていた。)
何時間も、鍋の前に立っていた。
(よわびでにわとりをにこみ、ていねいにあくをとりのぞく。)
弱火で鶏を煮込み、丁寧にアクを取り除く。
(なんどもなんどもくりかえしながら、じゃがいものかわをむいたり、)
何度も何度も繰り返しながら、じゃがいもの皮をむいたり、
(にんじんをきったり、かれーのしこみもぬかりない。)
ニンジンを切ったり、カレーの仕込みもぬかりない。
(ゆうはんづくりをめんじょされた、わたしにとってしあわせでぜいたくなじかん。)
夕飯づくりを免除された、私にとって幸せでぜいたくな時間。
(ゆうがた、おてせいのかれーらいすをかぞくのまえにならべながら、むすこがいった。)
夕方、お手製のカレーライスを家族の前に並べながら、息子が言った。
(「たんじょうびだから」)
「誕生日だから」
(「え、だれの?」)
「え、だれの?」
(ふだん、めったにめをあわせないむすことめがあった。)
普段、めったに目を合わせない息子と目が合った。
(え、わたし?)
え、私?
(ずきゅーん)
ズキューン
(はーとをいぬかれた。)
ハートを射抜かれた。
(たしかに、もうすぐわたしのたんじょうびだ。)
たしかに、もうすぐ私の誕生日だ。
(いっしょうわすれないあじ。)
一生忘れない味。
(じっくり、ゆっくりじかんをかけた、こだわりのある、)
じっくり、ゆっくりじかんをかけた、こだわりのある、
(むすこのような、ふかくてやさしいあじだった。)
息子のような、深くて優しい味だった。