未 本編 -21-
cicciさんのアカウント
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| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | berry | 7713 | 神 | 7.8 | 98.6% | 362.5 | 2834 | 38 | 60 | 2025/11/11 |
| 2 | Cherry | 7497 | 光 | 7.6 | 97.8% | 374.5 | 2870 | 62 | 60 | 2025/11/11 |
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問題文
(いきをころしてあたりにめをくばる。なにもみえない。うごくものも。)
息を殺してあたりに目を配る。なにも見えない。動くものも。
(せいししているいぶつも。)
静止している異物も。
(そっとだいよくじょうのほうへあしをむける。ぽけっとからぺんらいとをとりだして)
そっと大浴場の方へ足を向ける。ポケットからペンライトを取り出して
(すいっちをひねる。のれんをくぐり、だついじょ、よくじょう、ろてんぶろとすすむ。)
スイッチを捻る。暖簾をくぐり、脱衣所、浴場、露天風呂と進む。
(すべてでいりぐちのろっくははずされていた。)
すべて出入り口のロックは外されていた。
(ししょうもみんながねしずまってからこのあたりもすべてみまわりをしただろうか。)
師匠もみんなが寝静まってからこのあたりもすべて見回りをしただろうか。
(ぶーん・・・・・というかんきせんのおとがじぶんのこきゅうおんとまざる。)
ブーン・・・・・という換気扇の音が自分の呼吸音と混ざる。
(ろてんふろのゆはまだあたたかく、ゆげがさむけのなかにたちのぼっている。)
露天風呂の湯はまだ温かく、湯気が寒気の中に立ち上っている。
(くろぐろとしたうえこみのかげがそれをかこんでいる。)
黒々とした植え込みの影がそれを囲んでいる。
(なにもでない。ふろばをでて、きゃくしつへむかうろうかをあしおとをしのばせてあるく。)
なにも出ない。風呂場を出て、客室へ向かう廊下を足音を忍ばせて歩く。
(まどからなかにわがみとおせる。どのばしょも、どのばしょも、かんぬしのすがたかたちをした)
窓から中庭が見通せる。どの場所も、どの場所も、神主の姿形をした
(このよのものならぬものがあらわれたというばしょだ。)
この世のものならぬものが現れたという場所だ。
(さほどひろくないこのひなびたりょかんで、あまりにもおおくのもくげきだんがある。)
さほど広くないこの鄙びた旅館で、余りにも多くの目撃談がある。
(これではかえってさがしづらい。どこにじゅうてんをおいてよいのかわからない。)
これではかえって探し辛い。どこに重点を置いて良いのか分からない。
(ばしょではない。ばしょについているのでは、ない。)
場所ではない。場所に憑いているのでは、ない。
(ではいったいなにに?)
では一体なにに?
(ぼくはいきをころしながらろびーにもどる。ふろあのなかほどにおかれたてーぶる。)
僕は息を殺しながらロビーに戻る。フロアの中ほどに置かれたテーブル。
(そのいすにこしかけてげんかんのどあのほうをむいてすわる。)
その椅子に腰掛けて玄関のドアの方を向いて座る。
(じかんがゆっくりとすぎていく。)
時間がゆっくりと過ぎていく。
(なにかいる。わだかまったけはいが、それでもかたちをなさぬようにけむりか、)
なにかいる。わだかまった気配が、それでも形を成さぬように煙か、
(あるいはすいじょうきのようなすがたでりょかんのなかをうごめいているようだ。)
あるいは水蒸気のような姿で旅館の中を蠢いているようだ。
(そのしせいのままぼくはかたまり、えいえんともおもえるじかんがながれていった。)
その姿勢のまま僕は固まり、永遠とも思える時間が流れていった。
(あさは、まだか。)
朝は、まだか。
(いつのまにかそればかりかんがえていた。くりかえし、くりかえし、そればかり。)
いつの間にかそればかり考えていた。繰り返し、繰り返し、そればかり。
(そとはまだくらい。いまだよるにひそむじゅうにんたちのせかい。)
外はまだ暗い。未だ夜に潜む住人たちの世界。
(ことよにすまうものたちの・・・・・)
異世に棲まうものたちの・・・・・
(・・・・・)
・・・・・
(いる。)
いる。
(だれかがろうかのすみにたっている。はいごにめをやらずとも、それがわかる。)
誰かが廊下の隅に立っている。背後に目をやらずとも、それが分かる。
(いつのまにいたのか。)
いつの間にいたのか。
(おともたてず、こえもかけず。じっとそれはたっている。)
音も立てず、声も掛けず。じっとそれは立っている。
(どんなすがたをしているのだろう。)
どんな姿をしているのだろう。
(からだがうごかない。ゆめのつづきのようだ。めざめたとおもっていた、あのゆめのなかの。)
身体が動かない。夢の続きのようだ。目覚めたと思っていた、あの夢の中の。
(いや、じぶんはほんとうにそのあとにめざめたのか。)
いや、自分は本当にその後に目覚めたのか。
(ほんとうはずっとからだはあのわしつのふとんのなかにいるのではないか。)
本当はずっと身体はあの和室の布団の中にいるのではないか。
(ではここでこうしているじぶんはだれだ。)
ではここでこうしている自分は誰だ。
(ああ、しこうがぐちゃぐちゃだ。)
ああ、思考がぐちゃぐちゃだ。
(だれだ。じぶんではない。たっているのは。だれだ。)
誰だ。自分ではない。立っているのは。誰だ。
(とっとっと・・・・・とはやいりずむでむねがみゃくうつ。)
トットット・・・・・と早いリズムで胸が脈打つ。
(うごいた。)
動いた。
(ちかづいていくる。)
近づいていくる。
(ろびーのすみのくらがりから、それがゆっくりとこちらにちかづいてくる。)
ロビーの隅の暗がりから、それがゆっくりとこちらに近づいてくる。
(おとはない。たたみのうえのように、そのふみだすあしはおとをたてない。)
音はない。畳の上のように、その踏み出す足は音を立てない。
(ただすーっとけはいだけがげんかんへとむかうのがわかる。)
ただすーっと気配だけが玄関へと向かうのが分かる。
(そのとちゅうに、ぼくがいる。げんかんのどあにむかってすわっているぼくが。)
その途中に、僕がいる。玄関のドアに向かって座っている僕が。
(けはいはとまらない。なにかがおこる。なにかが。)
気配は止まらない。なにかが起こる。なにかが。
(そのよかんがじぶんのなかでぼうちょうする。そしてそれがはじけそうになったしゅんかん、)
その予感が自分の中で膨張する。そしてそれが弾けそうになった瞬間、
(ぼくのみみはたしかにそのおとをとらえた。)
僕の耳は確かにその音をとらえた。
(かねのおと。)
鐘の音。
(とおく、そしてたなびくようなかすかなおとのなみがかわいたくうきをふるわせる。)
遠く、そしてたなびく様な微かな音の波が乾いた空気を震わせる。
(あけむっつだ。きょうかいをこえたのだ。)
明け六つだ。境界を超えたのだ。
(あさろくじときめられたげんざいのこのとちのときのかねは、このふゆばには)
朝六時と決められた現在のこの土地の時の鐘は、この冬場には
(「かはたれ」のはくめいよりもはやくならされるのだ。)
「彼は誰」の薄明よりも早く鳴らされるのだ。
(いや、そとにでればやまのはのそらはしらみがかっているかもしれない。)
いや、外に出れば山の端の空は白みがかっているかも知れない。
(しかし、げんかんのかーてんをとじたろびーにいてはそのびみょうなときのうつろいを)
しかし、玄関のカーテンを閉じたロビーにいてはその微妙な時の移ろいを
(かんじることはできない。)
感じることはできない。
(しかし、あけむっつだ。たしかにひとともののけのせかいをわける、)
しかし、明け六つだ。確かに人と物の怪の世界を分ける、
(はざまのじかんがおわったのだ。ぼくはぜんしんのちからがぬけるようなあんどをおぼえた。)
狭間の時間が終わったのだ。僕は全身の力が抜けるような安堵を覚えた。
(かねのおとはつづいた。ふたつめ。そしてそのよいんがきえさったあとに、みっつめが。)
鐘の音は続いた。二つ目。そしてその余韻が消え去った後に、三つ目が。
(それをかぞえながら、ぼくはふりかえろうとする。)
それを数えながら、僕は振り返ろうとする。