未 本編 -19-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(「あ」まぶしい。じんこうのひかりがめにとびこんでくる。)

「あ」眩しい。人工の光が目に飛び込んでくる。

(ししょうのかおがある。)

師匠の顔がある。

(「こうたいだ」そんなことばがきこえる。)

「交代だ」そんな言葉が聞こえる。

(めがさめた。)

目が覚めた。

(りょかんのへやだ。ねむっていたのか。)

旅館の部屋だ。眠っていたのか。

(「ねぼけてるな。おちゃでものめ」)

「寝ぼけてるな。お茶でも飲め」

(ふとんからからだをおこして、ししょうがいれてくれた)

布団から身体を起こして、師匠が入れてくれた

(ゆげのたっているおちゃをくちにふくむ。)

湯気の立っているお茶を口に含む。

(はあ。)

はあ。

(あたまがかくせいしていく。さっきのはゆめか?ゆめだとするならば、めざめたゆめ。)

頭が覚醒していく。さっきのは夢か?夢だとするならば、目覚めた夢。

(けいけんじょう、そんなゆめはつかれているときによくみる。そしてあくむがあることがおおい。)

経験上、そんな夢は疲れている時によく見る。そして悪夢があることが多い。

(「だれかへやにいませんでしたか」)

「誰か部屋にいませんでしたか」

(「いや」)

「いや」

(ししょうはねむそうにあくびをすると、ふかいいきをはいて「もうねる」といった。)

師匠は眠そうに欠伸をすると、深い息を吐いて「もう寝る」と言った。

(へやのとけいをみると、よなかのにじをすこしまわっていた。)

部屋の時計を見ると、夜中の二時を少し回っていた。

(「さみ」)

「寒み」

(といって、ししょうがぼくのふとんにはいってくる。)

と言って、師匠が僕の布団に入ってくる。

(「ちょ、ちょっと」)

「ちょ、ちょっと」

(あわてていると、「なにがちょっとだ。はやくでてけよ」と、)

慌てていると、「なにがちょっとだ。早く出てけよ」と、

(ふとんからけりだされる。)

布団から蹴り出される。

など

(「じぶんのへやでねてくださいよ」)

「自分の部屋で寝てくださいよ」

(「うるさいな。さっきまでげんかんとそとをうろうろしてたから、さむいんだよ。)

「うるさいな。さっきまで玄関と外をうろうろしてたから、寒いんだよ。

(ふとんあたためがかり、ごくろう」)

布団暖め係、ご苦労」

(しっしっ、とてをおいはらわれる。)

しっしっ、と手を追い払われる。

(ぼくはしかたなくたちあがり、おおきくのびをする。「なにかでましたか」)

僕は仕方なく立ち上がり、大きく伸びをする。「なにか出ましたか」

(ふとんにくるまったししょうにそうといかけると、「いんや」とのこたえ。)

布団に包まった師匠にそう問いかけると、「いんや」との答え。

(ぼくはためいきをついた。ししょうがばんをしているあいだに、)

僕は溜め息をついた。師匠が番をしている間に、

(なにかおきるようなきがしていたのに。このひとのなかのふつうではないなにかに、)

なにか起きるような気がしていたのに。この人の中の普通ではないなにかに、

(ひきよせられるように、だ。)

引き寄せられるように、だ。

(ゆかたをぬいでふくにきがえていると、ふとんのなかからこえがかかる。)

浴衣を脱いで服に着替えていると、布団の中から声が掛かる。

(「でも、なにかいるぞ。ここには」)

「でも、なにかいるぞ。ここには」

(え。なにかかんじるんですか。そんなことばをくちにしようとしたが、ふぅ、)

え。なにか感じるんですか。そんな言葉を口にしようとしたが、ふぅ、

(というふとんのなかからのつかれきったといきにかいわをきょぜつされる。)

という布団の中からの疲れきった吐息に会話を拒絶される。

(みじたくをしてどあをあけようとしたとき、)

身支度をしてドアを開けようとした時、

(「きをつけてなぁ」というねむそうなこえがもぞもぞときこえた。)

「気をつけてなぁ」という眠そうな声がもぞもぞと聞こえた。

(ろうかにでると、すこしきおんがさがった。)

廊下に出ると、少し気温が下がった。

(へやのなかよりもくうちょうがきいてないのだろう。)

部屋の中よりも空調が効いてないのだろう。

(てんじょうのおおきなけいこうとうはきえているが、そのよこのちいさなきいろいでんきゅうに)

天井の大きな蛍光灯は消えているが、その横の小さな黄色い電球に

(ほんのりとあかりがともっている。)

ほんのりと明かりが灯っている。

(はだしのままはいたすりっぱがあしのこうにはりつくたびに)

裸足のまま履いたスリッパが足の甲に張り付くたびに

(ひんやりとしたかんしょくがある。)

ひんやりとした感触がある。

(にかいはぜんぶでろくへやある。こんやはぼくとししょうのふたへやしかつかわれていないはずだ。)

二階は全部で六部屋ある。今夜は僕と師匠の二部屋しか使われていないはずだ。

(ねんのためにのこりのよんへやのまえいたってどあをのっくし、)

念のために残りの四部屋の前至ってドアをノックし、

(それぞれのぶをまわそうとしてみたがどちらにもかぎがかかっていた。)

それぞれノブを回そうとしてみたがどちらにも鍵が掛かっていた。

(ろうかをすすんでいちかいへとおりるかいだんにあしをかける。おりかえしのおどりばで)

廊下を進んで一階へと降りる階段に足をかける。折り返しの踊り場で

(くびだけをのばしてろうかをのぞきみると、そのさきのうすぐらいろうかには)

首だけを伸ばして廊下を覗き見ると、その先の薄暗い廊下には

(ひとのけはいはまったくなかった。)

人の気配はまったくなかった。

(きょうきょうとしたにおり、いどうできるはんいでしゅういをみてまわる。いちかいにはじむしつのおくに)

恐々と下に降り、移動できる範囲で周囲を見て回る。一階には事務室の奥に

(じゅうぎょういんのかみんしつがあり、なかいがねているはずだが、)

従業員の仮眠室があり、仲居が寝ているはずだが、

(いぐちおやこはほんかんのそばのはなれにすんでいるはずだった。)

井口親子は本館のそばの離れに住んでいるはずだった。

(そしてほんかんのすぐうらにはとかのけのじゅうたくがせっしていて、)

そして本館のすぐ裏には戸叶家の住宅が接していて、

(おかみやかえではそこでねているはずだ。)

女将や楓はそこで寝ているはずだ。

(むかしはかぞくはおおかったはずだが、ふたりいたというおかみのおとうともそれぞれどくりつして)

昔は家族は多かったはずだが、二人いたという女将の弟もそれぞれ独立して

(いえをでてしまっていて、よんねんまえにかえでのそぼをなくしてからは、)

家を出てしまっていて、四年前に楓の祖母を亡くしてからは、

(ぼしふたりだけのくらしになってしまったという。)

母子二人だけの暮らしになってしまったという。

(さぞさびしいことだろう。)

さぞ寂しいことだろう。

(そんなことをおもいながらじむしょのなかをのぞいてみると、でんわきにせつぞくされた)

そんなことを思いながら事務所の中を覗いてみると、電話機に接続された

(faxがじゅしんかのうなじょうたいあであることをしめすみどりいろのらんぷが)

FAXが受信可能な状態あであることを示す緑色のランプが

(ちかちかとともっていて、そのひかりだけがくらいへやにまたたいていた。)

チカチカと灯っていて、その光だけが暗い部屋に瞬いていた。

(とおくからかんきせんをまわすもーたーおんがきこえる。だいよくじょうのほうだろう。)

遠くから換気扇を回すモーター音が聞こえる。大浴場の方だろう。

(そっちもみにいかないと。)

そっちも見に行かないと。

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