朧

(おいかけてもおいかけてもするりゆびをぬけるみずのよう)

追いかけても　追いかけても　するり　指をぬける水のよう

(あなただけにあなただけにみつめられてただようほしのかげ)

あなただけに　あなただけに　見つめられて　漂う星の影

(ゆめでもつかまえて)

夢でもつかまえて

(ながれるくもにおもういきさきないこのこころ)

流れる雲に思う　行き先ないこの心

(いつかみたひのあすもあおいとおりあめ)

いつか見た日の明日（あす）も　青い通り雨

(いろづいたはなびらゆらすぬくもりもはげしささえも)

色づいた花びら揺らす　ぬくもりも激しささえも

(せつなさのうらがわだけをのこしていくだけのせつな)

せつなさの裏側だけを　残していくだけの刹那

(かなうのならかなうのならかけだしてゆきたいかぜのなか)

かなうのなら　かなうのなら　駆け出してゆきたい　風の中

(あなただけをあなただけをみつめたならはばたくちょうのように)

あなただけを　あなただけを　見つめたなら　羽ばたく蝶のように

(ゆめならみせないで)

夢ならみせないで

(ほしのないよにひそかめぐるきせつをわすれて)

星のない夜（よ）に密か　巡る季節を忘れて

(いつかくるひのあさをかくすなみだいろ)

いつかくる日の朝を　隠す涙色

(からむゆびつやめくといきのぼりつめおちゆくこころ)

絡む指　艶めく吐息　昇りつめ　堕ちゆく心

(ひとときのぬくもりさえもわすれられずにまたひとり)

ひと時のぬくもりさえも　忘れられずにまた孤独（ひとり）

(おいかけたらおいかけたらふわりきえてしまうつきのかげ)

追いかけたら　追いかけたら　ふわり消えてしまう　月の影

(わたしだけにわたしだけにふれられたらきらめくほしのように)

わたしだけに　わたしだけに　触れられたら　煌く星のように

(うそならだきしめて)

嘘なら抱きしめて

(とどくのならとどくのならあしたさえいらないもどらない)

届くのなら　届くのなら　明日さえ要らない　戻らない

(はなれててもはなれててもこころこがすほのおはあなただけ)

離れてても　離れてても　心焦がす炎は　あなただけ

(おいかけてもおいかけてもするりゆびをぬけるみずのよう)

追いかけても　追いかけても　するり　指をぬける水のよう

(わたしだけがわたしだけがときをとめたやみからてをのばす)

わたしだけが　わたしだけが　時を止めた闇から　手を伸ばす

(かなうのならかなうのならかけだしてゆきたいかぜのなか)

かなうのなら　かなうのなら　駆け出してゆきたい　風の中

(あなただけにあなただけにこころめぐらすはるかおぼろづき)

あなただけに　あなただけに　こころ巡らす　はるか朧月

(うそでもだきしめて)

嘘でも抱きしめて

(ゆめならさめないで)

夢なら醒めないで