心霊写真 -38-
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | berry | 7715 | 神 | 7.8 | 98.5% | 345.3 | 2703 | 39 | 55 | 2026/08/12 |
| 2 | HAKU | 7572 | 神 | 7.7 | 97.2% | 353.9 | 2757 | 77 | 55 | 2026/08/12 |
| 3 | Par2 | 4640 | C++ | 4.7 | 97.5% | 568.2 | 2704 | 67 | 55 | 2026/08/11 |
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(だが、そのぞわぞわしたかんかくはあまりにきはくで、)
だが、そのぞわぞわした感覚はあまりに希薄で、
(にわにあそんでいるおとりたちがちちち・・・・・となくたび、)
庭に遊んでいる小鳥たちがチチチ・・・・・と鳴くたび、
(ぼくはごくあたりまえのふうけいのなかにいるじぶんにきづく。)
僕はごく当たり前の風景の中にいる自分に気づく。
(「ゆうれいをしんじないにんげんは、よくこういうな。にんげんがしんで)
「幽霊を信じない人間は、よくこう言うな。人間が死んで
(ゆうれいになるんなら、そこらじゅうゆうれいだらけになってしまうじゃないかって。)
幽霊になるんなら、そこらじゅう幽霊だらけになってしまうじゃないかって。
(・・・・・そうだよ。ゆうれいだらけさ、このせかいは。)
・・・・・そうだよ。幽霊だらけさ、この世界は。
(あとはみえるか。みえないのかのもんだいがあるだけだ」)
あとは見えるか。見えないのかの問題があるだけだ」
(ししょうはてんじょうのすみをゆびさした。ぼくにもかんじられたばしょだ。)
師匠は天井の隅を指さした。僕にも感じられた場所だ。
(「ああいう、つよいのものいれば、そことか、こっちみたいなよわいのもいる。)
「ああいう、強いのものいれば、そことか、こっちみたいな弱いのもいる。
(のこされたしねんのこさと、それをうけとるがわのせいどによって、)
残された思念の濃さと、それを受け取る側の精度によって、
(ゆうれいとにんしきされるかどうかがかわってしまう。)
幽霊と認識されるかどうかが変わってしまう。
(らんどるとかんってしってるだろ。しかくけんさでつかう、)
ランドルト環って知ってるだろ。視覚検査で使う、
(cみたいなかたちのきれめのあるえんだ。)
Cみたいな形の切れ目のある円だ。
(おまえには、いちばんかのれつにはただちいさなえんか、)
お前には、一番下の列にはただ小さな円か、
(あるいはてんがならんでいるようにしかみえないかもしれない。)
あるいは点が並んでいるようにしか見えないかも知れない。
(けどみえるにんげんには、すべてしたむきやよこむきのcにみえるんだ」)
けど見える人間には、すべて下向きや横向きのCに見えるんだ」
(おい、なつお。とししょうはぼくからしせんをはずしてよびかける。)
おい、夏雄。と師匠は僕から視線を外して呼びかける。
(「みえてるのは、どれだ」)
「見えてるのは、どれだ」
(なつおはむすっとしたまま、いまししょうがしめしたさんかしょをなぞるように)
夏雄はむすっとしたまま、今師匠が示した三ヶ所をなぞるように
(ゆびさしていった。)
指さしていった。
など
(てんじょうと、おくのたんすのはしと、おしいれにはってあるかれんだーのあたり。)
天井と、奥の箪笥の端と、押入れに張ってあるカレンダーのあたり。
(ぼくには、てんじょういがいなにもかんじられなかった。がくからいやなあせがでてくる。)
僕には、天井以外なにも感じられなかった。額から嫌な汗が出てくる。
(「よんたすさんでななにんか。おしいな。)
「四足す三で七人か。惜しいな。
(たんすのところは、かさなるみたいにしてもうひとりいるぞ」)
箪笥のところは、重なるみたいにしてもう一人いるぞ」
(ししょうがそういうと、なつおは「あん?」とまゆをかたほうあげ、)
師匠がそう言うと、夏雄は「あん?」と眉を片方上げ、
(「そうかもな」とあくびをした。)
「そうかもな」と欠伸をした。
(ざぶとんのうえでかたひざをたて、うでをそのひざのうえにのせている。)
座布団の上で片膝を立て、腕をその膝の上に乗せている。
(きゃくをまえにしてするようなたいどではなかったが、)
客を前にしてするような態度ではなかったが、
(きちんとすわっているところがそうぞうできないおとこでもあった。)
キチンと座っているところが想像できない男でもあった。
(「のこされたししゃのしねんに、さいしょからつよいよわいはある。)
「残された死者の思念に、最初から強い弱いはある。
(それだけじゃなく、じかんがたつにつれ、だんだんとうすれていく。けいねんれっかだ。)
それだけじゃなく、時間が経つにつれ、だんだんと薄れていく。経年劣化だ。
(よほどつよいこうかいだとか、うらみだとかをもっているやつでも、いずれはきえていく。)
よほど強い後悔だとか、恨みだとかを持っている奴でも、いずれは消えていく。
(ぎゃくにいうと、いまでもみえるふるいぶしのれいだとかは、まじでやばいやつだ。)
逆に言うと、今でも見える古い武士の霊だとかは、マジでやばいやつだ。
(でもそのきえていく、ってところにこそわたしやなつおのげんかいがある」)
でもその消えていく、ってところにこそわたしや夏雄の限界がある」
(ししょうはへやちゅうをみわたすようにみぎてをひろげた。)
師匠は部屋中を見渡すように右手を広げた。
(「じっさいには、きえてないんだ。たぶん。)
「実際には、消えてないんだ。たぶん。
(ただうけとりてのせいどがひくいせいで、みえなくなっているだけだ。)
ただ受け取りての精度が低いせいで、見えなくなっているだけだ。
(いちばんしただとおもっていたらんどるとかんのれつのしたに、まだれつがあった。)
一番下だと思っていたランドルト環の列の下に、まだ列があった。
(みえないにんげんにはただのくうはくにしかみえないひとれつが。)
見えない人間にはただの空白にしか見えないひと列が。
(そういう、そんざいがきわめてうすくなったれいが、このよにはみちている」)
そういう、存在が極めて薄くなった例が、この世には満ちている」
(ぼくはふと、にじがあたまにうかんだ。)
僕はふと、虹が頭に浮かんだ。
(あのなないろのにじは、じっさいにはなないろにはっきりわかれているわけではなく、)
あの七色の虹は、実際には七色にはっきり分かれている訳ではなく、
(あかからむらさきまでのなめらかなひかりのぐらでーしょんでできている。)
赤から紫までの滑らかな光のグラデーションで出来ている。
(くにやちほうによって、にじのいろをななしょくということもあれば、)
国や地方によって、虹の色を七色と言うこともあれば、
(ごしょく、さんしょく、そしてにしょくととらえることもある。)
五色、三色、そして二色と捉えることもある。
(ぼくはこのへやのそれをごしょくととらえ、なつおはななしょく、)
僕はこの部屋のそれを五色と捉え、夏雄は七色、
(そしてししょうははっしょくにみわけたのだ。)
そして師匠は八色に見分けたのだ。
(けれどあきちゃんは、ぼくらがみわけたいろといろのあいだの)
けれどアキちゃんは、僕らが見分けた色と色の間の
(さらにびさいなはざまをみわけている。)
さらに微細な狭間を見分けている。
(それも、とてつもないかずにだ。)
それも、とてつもない数にだ。
(なんじゅう、なにびゃくしょくというごくさいしきに。)
何十、何百色という極彩色に。
(じぶんをまえにしてくりひろげられるなにやらこむずかしいはなしを、)
自分を前にして繰り広げられるなにやら小難しい話を、
(あきちゃんはふんふんとうなずきながらきいている。)
アキちゃんはふんふんと頷きながら聴いている。
(あれほどれいかんのつよいししょうにもみえないれいを、このこはみているというのか。)
あれほど霊感の強い師匠にも見えない霊を、この子は見ているというのか。
(そういわれてもしんじられないきもちだった。)
そう言われても信じられない気持ちだった。