死滅回遊 -5-(完)

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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全部手打ちのため、読みなどによく間違いがあります。いつも修正ありがとうございます。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7480 7.6 97.5% 289.4 2220 55 51 2026/09/08
2 Jyo 6320 S 6.5 97.1% 341.1 2221 65 51 2026/09/09

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問題文

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(「みたことがあるんだ。ほんのさっきまで、とるにたりない、) 「見たことがあるんだ。ほんのさっきまで、取るに足りない、 (しょうめつをまつだだったれいが、きゅうにぼうちょうするところを。) 消滅を待つだだった例が、急に膨張するところを。 (やつらはたねだ。いつかまったくかんけいのないとちで、) やつらは種(たね)だ。いつかまったく関係のない土地で、 (おそろしいてきごうをはたすこともある」) 恐ろしい適合を果たすこともある」 (ひた、ひた) ひた、ひた (ひとだ。ひとかげだ。まっくらなみずのながれるかわのかみをひとかげがあるいてくる。) 人だ。人影だ。真っ暗な水の流れる川の上を人影が歩いて来る。 (おとこかおんなかもわからない。) 男か女かも分からない。 (ただ、ぼくのしんぞうをおしのけようとするようなあつりょくを、ぜんぽうからかんじる。) ただ、僕の心臓を押しのけようとするような圧力を、前方から感じる。 (そしてそれはこくいっこくとつよくなっていく。) そしてそれは刻一刻と強くなっていく。 (「ひっ」) 「ひっ」 (さらりーまんがうめくようなこえをあげ、じてんしゃにとびのったかとおもうと) サラリーマンが呻くような声を上げ、自転車に飛び乗ったかと思うと (すぐさまにげだした。) すぐさま逃げ出した。 (ぼくらのうしろを、きたときのばいのすぴーどでかぜがかけぬけていった。) 僕らの後ろを、来た時の倍のスピードで風が駆け抜けていった。 (「かわってのは、さかいだ。さととさとの。むらとむらの。さかいのむこうはいかいだ。) 「川ってのは、境だ。サトとサトの。ムラとムラの。堺の向こうは異界だ。 (そこからやってくるものは、へんかとたようせいとそしてさいわいとをもたらす) そこからやって来るものは、変化と多様性とそして幸いとをもたらす (まれびとか、あるいはまか。) まれびとか、あるいは魔か。 (おにはそと、ふくはうちってな。) 鬼は外、福は内ってな。 (こういうさととさとのさかいには、えたいのしれないいぶつのしんにゅうをふせぐための、) こういうサトとサトの境には、得体の知れない異物の侵入を防ぐための、 (まもりがみがあるものだがな。) 守り神があるものだがな。 (いっさくねんだったか、ごがんこうじのとき、ふるいつかをこわしちまったんだよ。) 一昨年だったか、護岸工事の時、古い塚を壊しちまったんだよ。
など
(かわりに、そっちのどてのすみのほうにちいさいじぞうをすえたみたいだけどな。) かわりに、そっちの土手の隅の方に小さい地蔵を据えたみたいだけどな。 (やくわりがちがうんだよ。やくわりが。だからこういうことになってしまう」) 役割が違うんだよ。役割が。だからこういうことになってしまう」 (ししょうのこえがかすかにふるえている。) 師匠の声がかすかに震えている。 (ぼくはどうしようもなくおそろしくなり、ししょうのてをにぎった。) 僕はどうしようもなく恐ろしくなり、師匠の手を握った。 (「いきましょう」) 「行きましょう」 (このばをはなれなくてはならない。はやく。すぐに。) この場を離れなくてはならない。早く。すぐに。 (ひとかげはもうかわのはんぶんをこえてちかづいてきている。) 人影はもう川の半分を超えて近づいて来ている。 (しかしししょうはねつにうかされたようにつづける。) しかし師匠は熱に浮かされたように続ける。 (「さかいをこえてやってくるまねかれざるま、いぶつのうち、) 「境を超えてやって来る招かれざる魔、異物のうち、 (わざわいをもたらすひとのれいのことをなんていうかしってるか」) 災いをもたらすヒトの霊のことを何て言うか知ってるか」 (そういってししょうはぼくのほうをみた。) そう言って師匠は僕の方を見た。 (そのかおにはうっすらとあせがにじんでいるようにみえた。) その顔には薄っすらと汗がにじんでいるように見えた。 (「あくりょうだ」) 「悪霊だ」 (ししょうがそういったしゅんかん、ていぼうのみぎてがわにいたもうひとつのひとかげが、うごいた。) 師匠がそう言った瞬間、堤防の右手側にいたもう一つの人影が、動いた。 (なにかそのてもとに、とおくのがいとうのあかりがぎらりとはんしゃしたようにみえた。) なにかその手元に、遠くの街灯の明かりがギラリと反射したように見えた。 (そのうごきにきづいたししょうがすぐさまふりむき、「やめろ」とみじかくさけんだ。) その動きに気づいた師匠がすぐさま振り向き、「やめろ」と短く叫んだ。 (「いったいじゃない」) 「一体じゃない」 (ていぼうのひとかげは、ぴたりとうごきをとめた。) 堤防の人影は、ピタリと動きを止めた。 (ぼくもおもわずかわのほうをみる。) 僕も思わず川の方を見る。 (ぜんしんにこうちょくがはしった。) 全身に硬直が走った。 (かわをわたってくるそのなにかのうしろに、おなじようなかげがいるのにきづいたのだ。) 川を渡って来るそのなにかの後ろに、同じような影がいるのに気づいたのだ。 (それもひとつではない。ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ・・・・・) それも一つではない。二つ、三つ、四つ、五つ・・・・・ (「にげましょう」) 「逃げましょう」 (ぼくはひっしに、ししょうのうでをつかんだ。) 僕は必死に、師匠の腕をつかんだ。 (むっつ、ななつ、やっつ、ここのつ・・・・・) 六つ、七つ、八つ、九つ・・・・・ (むりやりししょうのてをひっぱり、ていぼうからひきはがした。) 無理やり師匠の手を引っ張り、堤防から引き剥がした。 (そしてとめてあったくるまのほうへあしをふみだす。) そして停めてあった車の方へ足を踏み出す。 (ししょうもようやくわれにかえったように、「わかった」といったが、) 師匠もようやく我に返ったように、「分かった」と言ったが、 (それでもまたたちどまり、すいめんをあるくあくりょうのむれをぼうぜんとしためでながめた。) それでもまた立ち止まり、水面を歩く悪霊の群れを呆然とした目で眺めた。 (「いったい、なにがおこってんだ。このまちで」) 「いったい、なにが起こってんだ。この街で」 (そうつぶやいて。) そう呟いて。
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