絵Ⅰ -2-
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
cicciさんのアカウント
https://typing.twi1.me/profile/userId/130158
全部手打ちのため、読みなどによく間違いがあります。いつも修正ありがとうございます。
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| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | berry | 8423 | 神 | 8.5 | 98.9% | 383.8 | 3266 | 33 | 63 | 2026/09/11 |
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問題文
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(びじゅつとうはよるはとじまりされ、はいれなくなるのだががくせいたちはどくじに)
美術棟は夜は戸締りされ、入れなくなるのだが学生たちは独自に
(しんにゅうろをもっていて、なかまでしのびこんではこっそりよるのかいごうを)
侵入路を持っていて、仲間で忍び込んではこっそり夜の会合を
(ひらいたりしているらしい。)
開いたりしているらしい。
(おもしろそうなのでさっそくついていった。)
面白そうなのでさっそくついて行った。
(しんや、あかりひとつないびじゅつとうのまえにたつとかのじょは、するするとなれたようすで)
深夜、明かり一つない美術棟の前に立つと彼女は、スルスルと慣れた様子で
(あしばをたどってかべをよじのぼり、まどのひとつにきえていった。)
足場を辿って壁をよじ登り、窓のひとつに消えていった。
(やがてがちゃりとおとがしてうらぐちがあいた。)
やがてガチャリと音がして裏口が開いた。
(びじゅつとうじたいはじめてはいったのだが、なかはそうぞういじょうにいろいろなものが)
美術棟自体初めて入ったのだが、中は想像以上に色々なものが
(はんざつにころがっていて、おもわず「きったねえなあ」といってしまった。)
煩雑に転がっていて、思わず「きったねえなあ」と言ってしまった。
(それにはかのじょもどういしたようにうなずいた。)
それには彼女も同意したように頷いた。
(じさんしたかいちゅうでんとうであしもとをてらしながら、かきかけのえやら)
持参した懐中電灯で足元を照らしながら、描きかけの絵やら
(もっこうひんといったがくせいたちのそうさくぶつのなかをかきわけるようにろうかをすすみ、)
木工品といった学生たちの創作物の中をかき分ける様に廊下を進み、
(さんかいのひとつのへやにはいった。)
三階の一つの部屋に入った。
(「ここ、わたしのさくひんをおかせてもらってるものおき」)
「ここ、私の作品を置かせてもらってる物置」
(たしかにそのへやのいちかくには、みおぼえのあるさくふうのえがところせましとならんでいる。)
たしかにその部屋の一角には、見覚えのある作風の絵が所狭しと並んでいる。
(よる、こんなふうにわずかなあかりのなかであらためてみると、)
夜、こんな風にわずかな明かりの中で改めて見ると、
(いいようのないぶきみなふんいきだった。)
言い様のない不気味な雰囲気だった。
(「まえからきになってたんだけど、)
「前から気になってたんだけど、
(どうしてこういういちぶだけがでかいひとをかくの?」)
どうしてこういう一部だけがデカイ人を描くの?」
(いままでなんとなくきけなかったことをいきおいできいてしまった。)
今までなんとなく訊けなかったことを勢いで訊いてしまった。
など
(かのじょはみぎめだけがいようにおおきいじんぶつがをかいちゅうでんとうでてらしながらこたえた。)
彼女は右目だけが異様に大きい人物画を懐中電灯で照らしながら答えた。
(「わたしね。こどものころ、かぞくでみなみのしまにいったの。ぽりねしあのほう。)
「私ね。子どものころ、家族で南の島に行ったの。ポリネシアのほう。
(そこでこんなみんわをきいたの。むかしにんげんがいまよりもっとおおきくて)
そこでこんな民話を聞いたの。むかし人間が今よりもっと大きくて
(そんだいだったとき、そのおこないにおこったせいれいがのろいをかけてにんげんたちのからだを)
尊大だった時、その行いに怒った精霊が呪いをかけて人間たちの体を
(ちいさくしてしまった。)
小さくしてしまった。
(にんげんたちはなげきかなしみ、このよのすべてをつかさどるいだいなしょうりょうにこころからあやまったわ。)
人間たちは嘆き悲しみ、この世のすべてを司る偉大な精霊に心から謝ったわ。
(せいれいはなさけをかけて、にんげんのからだのいちぶだけはしたのままのこしてくれた。)
精霊は情けをかけて、人間の身体の一部だけは下のまま残してくれた。
(おおきいて。おおきいはな。おおきいめ。おおきいみみ。おおきいあし・・・・・)
大きい手。大きい鼻。大きい目。大きい耳。大きい足・・・・・
(でもにんげんたちはおおきいめやて、はなやみみをやがてうとましくおもうようになった。)
でも人間たちは大きい目や手、鼻や耳をやがてうとましく思う様になった。
(そしてせいれいにおねがいしたのよ。どうかのこりのからだもちいさくしてくださいって」)
そして精霊にお願いしたのよ。どうか残りの身体も小さくして下さいって」
(おもわずまじまじとえをみつめた。)
思わずまじまじと絵を見つめた。
(「つまりね、これはちいさくなってしまったきょじんなのよ。)
「つまりね、これは小さくなってしまった巨人なのよ。
(かれはこのおおきなみぎめだけでしんじつのせかいをみている。)
彼はこの大きな右目だけで真実の世界を見ている。
(でもそれはいまのせかいをいきるにはむしろじゃまだったのね。)
でもそれは今の世界を生きるにはむしろ邪魔だったのね。
(にんげんはそうしておろかでわいしょうないきものになることをみずからえらんだと、)
人間はそうして愚かで矮小な生き物になることを自ら選んだと、
(そういうおはなしだった。すごくおもしろいもちーふだとおもったから・・・・・」)
そういうお話だった。すごく面白いモチーフだと思ったから・・・・・」
(そういうかのじょのかおにはかすかなかげりがあった。)
そういう彼女の顔にはかすかな翳りがあった。
(「わたしね。しんじられないかもしれないけど、ほんとうにみたのよ。)
「私ね。信じられないかもしれないけど、本当に見たのよ。
(そのしまのいたるところで、このえみたいなひと。みえていたのはわたしだけだった。)
その島の至る所で、この絵みたいな人。見えていたのは私だけだった。
(それからにほんにかえってからもみた。まわりにいるの。)
それから日本に帰ってからも見た。周りにいるの。
(みえなくなっちゃえっておもった。でもそうはならなかった。)
見えなくなっちゃえって思った。でもそうはならなかった。
(げげげのきたろうだったかな。まんがにでてくるの。めにみえないおばけを)
ゲゲゲの鬼太郎だったかな。漫画に出てくるの。目に見えないお化けを
(たいじするほうほう。とりつかれたひとにしつもんをしながら、)
退治する方法。とり憑かれた人に質問をしながら、
(いしにかいたてんせんをむすぶとおばけのしょうたいがあらわれてそのいしに)
石に描いた点線を結ぶとお化けの正体が現れてその石に
(とじこめることができるっていうおはなし。)
閉じ込めることができるっていうお話。
(しょうがっこうのとき、それよんで、かいたの。こんなえを」)
小学校のとき、それ読んで、描いたの。こんな絵を」
(かのじょはゆっくりとえのひょうめんをなぞるようにゆびをうごかす。)
彼女はゆっくりと絵の表面をなぞるように指を動かす。
(ぼくはそのうごきをじっとみていた。)
僕はその動きをじっと見ていた。
(「そしたらみえなくなったのよ。からだのいちぶがおおきいひと。)
「そしたら見えなくなったのよ。身体の一部が大きい人。
(でもそれからふしぎなものをたくさんみるようになったわ。)
でもそれから不思議なものをたくさん見るようになったわ。
(え?いってもしんじないよ。とにかくわたしはそんなものみたくなかった。)
え?言っても信じないよ。とにかく私はそんなもの見たくなかった。
(ね、あのみんわみたいでしょう。ふつうのせいかつがしたいから、)
ね、あの民話みたいでしょう。普通の生活がしたいから、
(しんじつかもしれないものをすてるの。そうしてみたものを)
真実かもしれないものを捨てるの。そうして見たものを
(もうえにはかかなくなった。ただみないふりをするだけ。)
もう絵には描かなくなった。ただ見ないふりをするだけ。
(まだこんなえをかきつづけているのはたんじゅんに、)
まだこんな絵を描き続けているのは単純に、
(ほんとうにおもしろいもちーふだとおもったから」)
本当に面白いモチーフだと思ったから」
(ばかばかしいはなしだとおもう?)
バカバカしい話だと思う?
(かのじょはいつものこまったようなかおをしていた。)
彼女はいつもの困ったような顔をしていた。
(しんじられないはなしだ。こうとうむけいともいえる。)
信じられない話だ。荒唐無稽とも言える。
(しかしぼくはいきをのんで、ふるえるひざをひっしでおさえつけていた。)
しかし僕は息を飲んで、震える膝を必死で押さえつけていた。
(かのじょのはなしのとちゅうから、みてしまっていたのだ。)
彼女の話の途中から、見てしまっていたのだ。
(そのせなかのうしろにならぶたなの、いちばんおくまったところにあるえを。)
その背中の後ろに並ぶ棚の、一番奥まったところにある絵を。
(それはゆめにでてくるあのふくろのえだった。)
それは夢に出てくるあの袋の絵だった。