こころ

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問題文
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(せいしんてきにこうじょうしんがないものはばかだといって、)
精神的に向上心がないものは馬鹿だといって、
(なんだかわたしをさもけいはくもののようにやりこめるのです。)
何だか私をさも軽薄もののようにやり込めるのです。
(ところがわたしのむねにはおじょうさんのことがわだかまっていますから、)
ところが私の胸にはお嬢さんの事が蟠っていますから、
(かれのぶべつにちかいことばをただわらってうけとるわけにいきません。)
彼の侮蔑に近い言葉をただ笑って受け取る訳にいきません。
(わたしはわたしでべんかいをはじめたのです。)
私は私で弁解を始めたのです。
(そのときわたしはしきりににんげんらしいということばをつかいました。)
その時私はしきりに人間らしいという言葉を使いました。
(kはこのにんげんらしいということばのうちに、)
Kはこの人間らしいという言葉のうちに、
(わたしがじぶんのじゃくてんのすべてをかくしているというのです。)
私が自分の弱点のすべてを隠しているというのです。
(なるほどあとからかんがえれば、kのいうとおりでした。)
なるほど後から考えれば、Kのいう通りでした。
(しかしにんげんらしくないいみをkになっとくさせるためにそのことばをつかいだしたわたしには)
しかし人間らしくない意味をKに納得させるためにその言葉を使い出した私には
(しゅったちてんがすでにはんこうてきでしたからそれをはんせいするようなよゆうはありません。)
出立点がすでに反抗的でしたからそれを反省するような余裕はありません。
(わたしはなおのことじせつをしゅちょうしました。)
私はなおの事自説を主張しました。