白い泥　上白石萌音

(あなたにみせたいけしきがある)

あなたに見せたい景色がある

(よかぜがなでるのは)

夜風が撫でるのは

(あなたのくしゃくしゃのかみのけ)

あなたのくしゃくしゃの髪の毛

(いつもよりつよくせんさいな)

いつもより強く繊細な

(えふででかいたなみのよう)

絵筆で描いた波のよう

(またあしたねとかえるのは)

また明日ねと帰るのは

(わたしのなかのきまりごと)

私の中の決まりごと

(ひとりひとりのきょうが)

ひとりひとりの今日が

(つながっておわるきがするから)

繋がって終わる気がするから

(わかっているよきげんつきのせかい)

わかっているよ　期限付きの世界

(でもしりたいのきげんぎれのさきを)

でも知りたいの　期限切れの先を

(あなたにみせたいけしきがある)

あなたに見せたい景色がある

(いっしょうにいちどのきもちをこめて)

一生に一度の気持ちを込めて

(すぽっとらいとにさえそまらない)

スポットライトにさえ染まらない

(わたしだけのどろのうえで)

私だけの泥の上で

(あさやけにまぎれるのはわたしのふわふわのあしもと)

朝焼けに紛れるのは　私のふわふわの足元

(いつもよりはやいしんぞうがまちにまったひだとつげる)

いつもより速い心臓が　待ちに待った日だと告げる

(とくべつなことをいわないのはわたしのなかのきまりごと)

特別なことを言わないのは　私の中の決まりごと

(ひとりひとりのきのうがぜんぶむくわれるきがするから)

ひとりひとりの昨日が　全部報われる気がするから

(わかっているよしょうはいはかんけいない)

わかっているよ　勝敗は関係ない

(でもしりたいのほんとうにわかっているか)

でも知りたいの　本当にわかっているか

(あなたにみせたいけしきがあるいっしょうにいちどのきもちをこめて)

あなたに見せたい景色がある　一生に一度の気持ちを込めて

(すぽっとらいとにさえそまらないわたしだけのどろのうえで)

スポットライトにさえ染まらない　私だけの泥の上で

(わたしをつれていってほしいいっしょうにいちどのたびにしよう)

私を連れて行って欲しい　一生に一度の旅にしよう

(すぽっとらいとにさえおいつけないあなただけのはやさで)

スポットライトにさえ追いつけない　あなただけの速さで