おいしい給食 6話のセリフ
タイトル「ワンタンスープと名前の長いパン」
レゾンデートル(仏: raison d'être)は、フランス語の哲学用語で、「存在意義」「存在理由」と訳される。(ウィキペディアより)
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問題文
(おおやまくん、ぎゅうにゅうきゃっぷはあらってからしまうようにしてください。)
大山君、牛乳キャップは洗ってからしまうようにして下さい。
(はあい。)
はあい。
(はいっうしろからはなくそがとんできます。)
はいっ後ろから鼻くそが飛んできます。
(そんなもんなげるわけねーだろ!)
そんなもん投げる訳ねーだろ!
(せんせいひどくないですか?)
先生酷くないですか?
(なんなんですか、きょうは)
何なんですか、今日は
(すいそうがくぶのあされんほとんどいってないってほんとうですか?)
吹奏楽部の朝練ほとんど行ってないって本当ですか?
(はい。)
はい。
(ほーむるーむでせきがえのあんがでましたけど、あれどうするんですか?)
ホームルームで席替えの案が出ましたけど、あれどうするんですか?
(せんせいがけんとうするんでしょう。)
先生が検討するんでしょう。
(けんとうしますよ!でもわたしはふくたんにんです。たんにんはせんせいじゃないですか!)
検討しますよ!でも私は副担任です。担任は先生じゃないですか!
(はい。)
はい。
(すいそうがくぶのこもんもせんせいですよねぇ!)
吹奏楽部の顧問も先生ですよねぇ!
(はい。)
はい。
(ちょっとむせきにんじゃないですか!?)
ちょっと無責任じゃないですか!?
(だって・・・だって・・・せんせい、やりたそうだったじゃないですか。)
だって・・・だって・・・先生、やりたそうだったじゃないですか。
(なにをですか!)
何をですか!
(なにかやってないとおちつかないんじゃないですか?)
何かやってないと落ち着かないんじゃないですか?
(だから、あえて、おまかせしてます。)
だから、あえて、お任せしてます。
(くぁみぃのぉぉぉ!!!)
くぁみぃのぉぉぉ!!!
(いただきます。)
いただきます。
(わんたんすーぷとしろみざかなのふらい。さいどめにゅーでぽてとさらだ。)
ワンタンスープと白身魚のフライ。サイドメニューでポテトサラダ。
(そしていつものこっぺぱんといつものぎゅうにゅう。)
そしていつものコッペパンといつもの牛乳。
(しろみざかなのふらいというばくぜんとしたひょうき。だが、わたしはしっている。)
白身魚のフライという漠然とした表記。だが、私は知っている。
(これはmerluzaというたらのなかま。しんかいぎょだ。)
これはMerluzaというタラの仲間。深海魚だ。
(なまえのひびきがなんとなくかっこいい。)
名前の響きが何となくカッコイイ。
(ろぼっとあにめにでてきそうななまえだ。)
ロボットアニメに出てきそうな名前だ。
(だが、おせじにもしょくよくがそそられるなまえではない。)
だが、お世辞にも食欲がそそられる名前ではない。
(めるるーさはきゅうしょくようにえらばれたあんかなゆにゅうざかなだ。)
メルルーサは給食用に選ばれた安価な輸入魚だ。
(そう、わたしは、このときをずっとまっていた。)
そう、私は、この時をずっと待っていた。
(たるたるそーす。)
タルタルソース。
(いぜん、やつがくじらのたつたあげのときにかけているのをみてから、)
以前、奴が鯨の竜田揚げの時にかけているのを見てから、
(わたしのあたまのかたすみには、いつもたるたるそーすがこびりついてはなれなかった。)
私の頭の片隅には、いつもタルタルソースがこびりついて離れなかった。
(だが、それもきょうまでだ。)
だが、それも今日までだ。
(くじらとはちがうしんぷるなあじわい。)
鯨とは違うシンプルな味わい。
(このびみなるせんりつもまたここちいい。)
この美味なる旋律もまた心地いい。
(くもをのみこむおゆ、とかいてわんたんすーぷ。)
雲を呑み込むお湯、と書いて雲呑湯。
(くもをたべるとえんぎがいいからとか、)
雲を食べると縁起がいいからとか、
(しょっかんがふわっとくもをつかむようだからだとか、)
食感がふわっと雲をつかむようだからだとか、
(しょせつあるが、さておき、うまい。)
諸説あるが、さておき、美味い。
(わん、たん。これがぐでなければ、このすーぷは)
ワン、タン。これが具でなければ、このスープは
(めるるーさにしゅやくのざをかんぜんにうばわれていたにちがいない。)
メルルーサに主役の座を完全に奪われていたに違いない。
(このほぼとけかかっているわんたん。こいつがだいじなんだ。)
このほぼ溶けかかっているワンタン。こいつが大事なんだ。
(さきわれすぷーんでこのぜいじゃくなわんたんをすくいあげるのは、きんちょうする。)
先割れスプーンでこの脆弱なワンタンをすくい上げるのは、緊張する。
(くちもとまできたらいっきにじゅるっと。)
口元まで来たら一気にじゅるっと。
(このしょっかんがまたここちいい。)
この食感がまた心地いい。
(いつものぱん、いつものぎゅうにゅう。そのあんしんかん。そのありがたみ。)
いつものパン、いつもの牛乳。その安心感。その有難み。
(あいてがだれであろうと、かたくなにくんりんする)
相手が誰であろうと、頑なに君臨する
(ぱんとぎゅうにゅうのれぞんでーとるは、すなわち、こみゅにけーしょんしゅだんなのだ。)
パンと牛乳のレゾンデートルは、即ち、コミュニケーション手段なのだ。
(じぶんしらべだが、どうそうかいにおけるきゅうしょくのわだいべすとすりーは)
自分調べだが、同窓会における給食の話題ベストスリーは
(ぎゅうにゅうのめないやつがいた。)
牛乳飲めない奴がいた。
(ぎゅうにゅうふいたぞうきんがくさい。)
牛乳拭いた雑巾が臭い。
(ぱんがたべきれない。)
パンが食べきれない。
(の3つ。)
の3つ。
(それほどこのつーあいてむはがっこうきゅうしょくのおもいであいこんなのだ。)
それほどこのツーアイテムは学校給食の思い出アイコンなのだ。
(あさ、こんだてをみたときからわたしはきになっていた。)
朝、献立を見た時から私は気になっていた。
(やつはきょう、どうでるのかと。)
奴は今日、どう出るのかと。
(ふつうにかんがえたら、くじらのたつたあげのときのように)
普通に考えたら、鯨の竜田揚げの時のように
(めるるーさをぱんにはさみこむほうほうだ。)
メルルーサをパンに挟み込む方法だ。
(だが、やつにかぎってそんなにばんせんじをしてくるとはおもえない。)
だが、奴に限ってそんな二番煎じをしてくるとは思えない。
(かならずもうひとひねりしてくるはずだ。)
必ずもう一ひねりして来る筈だ。
(あっいやっだめだ。やつにきをとられてきゅうしょくをたのしめなかったらほんまつてんとうだ。)
あっいやっだめだ。奴に気をとられて給食を楽しめなかったら本末転倒だ。
(ごちそうさまでした。)
ごちそうさまでした。
(ぜんっぜんっひとひねりしてねぇっ!)
ぜんっぜんっ一ひねりしてねぇっ!
(それだったらわたしもすぐっおいついたぞ!)
それだったら私もすぐっ追いついたぞ!
(おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!)
オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ!
(それでいいのか、おまえ!えっ!?)
それでいいのか、お前!えっ!?
(どうした!?おい!)
どうした!?オイ!
(おまえはこんなものじゃないはずだ。)
お前はこんなものじゃないはずだ。
(みてないぞ。おまえのことなんかちっともみてないぞ。)
見てないぞ。お前の事なんかちっとも見てないぞ。
(ひっひっふぅーひっひっふぅー、あれは、あれはっ)
ひっひっふぅーひっひっふぅー、あれは、あれはっ
(さかなといもでつくったたねをぱんにいれて)
魚と芋で作った種をパンに入れて
(ぽてとめるるーささんどをつくったというのか。)
ポテトメルルーササンドを作ったというのか。
(ながい!!)
長い!!
(なまえはながいが、・・・うまそうだ。)
名前は長いが、・・・美味そうだ。
(そざいのあじをじゅうぶんにいかし、あげためるるーさのしょっかんも)
素材の味を十分に生かし、揚げたメルルーサの食感も
(たのしめるしんぷるめるるーささんどと)
楽しめるシンプルメルルーササンドと
(ぽてとさらだ、たるたるそーす、めるるーさをあえてたべる)
ポテトサラダ、タルタルソース、メルルーサを和えて食べる
(ぽてとめるるーささんど。)
ポテトメルルーササンド。
(ぁいや、ぽてさらにはいっているたまごやたまねぎもけいさんにいれてるはずだ。)
ぁいや、ポテサラに入っている卵や玉ねぎも計算に入れてるはずだ。
(いうなれば、)
言うなれば、
(えっぐぽてとめるるーささんど。ではないか。)
エッグポテトメルルーササンド。ではないか。
(なんてながくてうまそうななまえなんだ。)
何て長くて美味そうな名前なんだ。
(その、そのえっぐぽて・・・うぉれろぇっおさっぬぇっな、なんだっけ。)
その、そのエッグポテ・・・ウォレロェッオサッヌェッな、なんだっけ。
(あぁ、さいどめにゅーをだいたんにしようしてくるとは。)
あぁ、サイドメニューを大胆に使用してくるとは。
(まだまだ、わたしはぜんたいをふかんでみれていないということか。)
まだまだ、私は全体を俯瞰で見れていないということか。
(せんせい、がんばりすぎです。)
先生、頑張りすぎです。
(それはだめだし、ではないですね。)
それはダメ出し、ではないですね。
(わたしもかみのもだめをだしてるんじゃないです。)
私も神野もダメを出してるんじゃないです。
(むしろ、われわれのほうがいっしょうけんめいさにかけるだめにんげんです。)
むしろ、我々の方が一生懸命さに欠けるダメ人間です。
(がんばってるひとがだめにんげんのいうことをまにうけるひつようは、ない。)
頑張ってる人がダメ人間の言うことを真に受ける必要は、ない。
(ただ、せんせいはたのしんでいない。)
ただ、先生は楽しんでいない。
(それだけです。)
それだけです。
(わらっていいんです。)
笑っていいんです。
(そう、やつはむりはしない。)
そう、奴は無理はしない。
(あたえられたかんきょうのなかで、かのうなかぎりべすとなものをうみだし)
与えられた環境の中で、可能な限りベストなものを生み出し
(たのしんでいる。)
楽しんでいる。
(そしてわたしはやつのそういうところがたまらなく・・・・・・)
そして私は奴のそういう所がたまらなく・・・・・・
(いまいましい!)
忌々しい!
(やつとのたたかいはまだまだつづく。)
奴との戦いはまだまだ続く。