fiLament

(ゆうれいれっしゃのいちりょうめにすわって)

幽霊列車の一両目に座って

(なぜのりこんだのかをしばらくじもんした)

何故乗り込んだのかを暫く自問した

(しょうがないだろうこうするしかなかったんだ)

仕様がないだろう　こうするしか無かったんだ

(きみのかおたしかめてようやくじとうした)

君の顔　確かめて漸く自答した

(つぎのえきでおりよう)

次の駅で降りよう

(ごめんねやっぱり)

ごめんね　やっぱり

(つれていけないよ)

連れていけないよ

(とてもこがれたあいをくべたから)

とても焦がれた愛を焚べたから

(とてもきれいなゆうやけになりました)

とても綺麗な夕焼けになりました

(これもわかっていたわかっていたけどわからなかっただろう)

これも解っていた　解っていたけど　解らなかっただろう

(とおざかるきみよこのそらをみてほしい)

遠ざかる君よ　この空を見て欲しい

(そして)

そして

(こんなせかいはわすれてしまえ)

こんな世界は忘れてしまえ

(さいしゅうれっしゃのいぶつになりはてていた)

最終列車の異物に成り果てていた

(ゆうれいみたいなのはぼくだろうきっとそうさ)

幽霊みたいなのは僕だろう　きっとそうさ

(おもいのうわずみがうちがわにたまっていったとしても)

思いの上澄みが　内側にたまっていったとしても

(こころのあなをうめてくれるはずもない)

心の穴を埋めてくれる筈もない

(めはあわせないように)

目は合わせないように

(したのに)

したのに

(だからいまも)

だから今も

(あざやかになくひとみが)

鮮やかに泣く瞳が

(けっしてきれいなあいではないから)

決して綺麗な愛ではないから

(けっしてきれいなきおくにはならないな)

決して綺麗な記憶にはならないな

(それはうそではないむじゅんではないしんじつでもないだろう)

それは嘘ではない　矛盾ではない　真実でもないだろう

(とおざかるきみよまだそらをみているかい)

遠ざかる君よ　まだ空を見ているかい

(ならば)

ならば

(せをむけたくてしかたないのだろう)

背を向けたくて仕方ないのだろう

(とてもこがれたあいをくべたから)

とても焦がれた愛を焚べたから

(これもわかっていたわかっていたけどわからなかっただろう)

これも解っていた　解っていたけど　解らなかっただろう

(このそらは)

この空は

(きみと)

君と

(わらいあえたことでなきあえたことで)

笑い合えたことで　泣き合えたことで

(きみにあえたことでみえなくもなりました)

君に会えたことで　見えなくもなりました

(これもわかっていたわからないふりをしていただけで)

これも解っていた　解らない振りをしていただけで

(そのゆうひはしずんでいた)

その夕陽は沈んでいた

(そして)

そして

(こんなせかいはわすれてしまおう)

こんな世界は忘れてしまおう

(こんなせかいをあいしていたのです)

こんな世界を愛していたのです