イビル

(あなぐらにさしたひかりのしたいびつないしころ)

穴倉に差した光の下　歪な石ころ

(まぶしくてうつくしくてすいこまれるように)

眩しくて美しくて吸い込まれる様に

(ひかりのさすほうへ)

光りの差す方へ

(くずれるあしばきにせずてをのばしたつかむように)

崩れる足場気にせず　手を伸ばした掴む様に

(くずれてくおとひろがるあお)

崩れてく音、広がる青

(まんまるにめをみひらいて)

真ん丸に目を見開いて

(しんだひこうきからとうとつにつきでたじょうたいのさき)

死んだ飛行機から唐突に　突き出た上体の先、

(かんしとうくわんばかりのおおきなくちが)

監視塔食わんばかりの大きな口が

(こうようをあらわしているかぜにおよぐかみ)

高揚を表している　風に泳ぐ髪

(どうやらわたしはいきているようだ)

どうやら私は生きている様だ

(かんしとうかこむまち)

監視塔囲む町

(にぎわういちばをみていた)

賑わう市場を見ていた

(くらくなったらそらにきらきらかがやくほしがきれいで)

暗くなったら空に　キラキラ輝く星が綺麗で

(ずっとこうやってこのうつくしいせかいみていたい)

ずっとこうやって　この美しい世界見ていたい

(かぜにまうはなとあおいそら)

風に舞う花と青い空

(かわまたぐとりのさえずりも)

川跨ぐ鳥の囀りも

(わたしのめわたしのみみ)

私の目　私の耳

(すべてこのみのおかげなのなら)

すべてこの身のおかげなのなら

(うみおとしてくれてありがとう)

産み落としてくれてありがとう

(がらくただらけのひこうき)

ガラクタだらけの飛行機

(すこしだけでもきれいにとかたづける)

少しだけでも綺麗にと片付ける

(なんだろうこれ)

「何だろうこれ…？」

(せにつながったこーど)

背に繋がったコード

(はいとしんぞうはぷらすちっくだ)

肺と心臓はプラスチックだ

(とまどいながらもやまない)

戸惑いながらも止まない

(ぺーじのおと)

ページの音

(わたしはなにものなの)

「私は何者なの…？」

(はさまったなにかのめんきょしょうが)

挟まった何かの免許証が

(あなたがつくったの)

「あなたが作ったの…？」

(どるみあまたたびをしよう)

『ドルミア、また旅をしよう』

(またわらったかおみせておくれ)

『また笑った顔見せておくれ』

(すみにうすらかかれていたもじに)

隅に薄ら書かれていた文字に

(かすかおぼえているこえ)

微か覚えている声

(ねそべるてんまどないてた)

寝そべる天窓、泣いてた

(わたしがなんであろうとも)

私が何であろうとも

(ほしはきれいでいたってひかっていた)

星は綺麗で至って光っていた

(このせかいをありがとう)

この世界をありがとう

(わたしはなんだってよかったんだ)

私は何だってよかったんだ

(はなしたいこともやまづみになった)

話したい事も山積みになった

(きょうわたしはきょうあなたをさがすたびにでる)

今日、私は今日あなたを探す旅に出る