建築作品集(法隆寺)

問題文
(ほうりゅうじはしょうとくたいしがこんりゅうしたじいんであり、ぶっきょうぶんかのほうこである。)
法隆寺は聖徳太子が建立した寺院であり、仏教文化の宝庫である。
(こくほう・じゅうようぶんかざいにしていされたものは190けん。にほんさいしょのせかいいさん。)
国宝・重要文化財に指定されたものは190件。日本最初の世界遺産。
(さいいんがらんとは、7せいきこうはんから8せいきはじめでかんせい。あすかようしき。)
西院伽藍とは、7世紀後半〜8世紀初めで完成。飛鳥様式。
(そうけんとうじのさいいんがらんは、こんどうとごじゅうのとうがとうざいにならんで、)
創建当時の西院伽藍は、金堂と五重塔が東西に並んで、
(がらんのないぶは、ほんらいはせいなるくうかんである。)
伽藍の内部は、本来は聖なる空間である。
(そのしゅうへんをかいろうがくけいにとじてとりかこみ、みなみのしょうめんにちゅうもんがあった。)
その周辺を回廊が矩形に閉じて取り囲み、南の正面に中門があった。
(こんどうがわのかいろうは、ひだりのかいろうよりもはしらまひとつぶんながくなっており、)
金堂側の回廊は、左の回廊よりも柱間一つ分長くなっており、
(こんどうのへいめんがごじゅうのとうよりもおおきくなっていることにたいおうしているともいわれる。)
金堂の平面が五重塔よりも大きくなっていることに対応しているとも言われる。
(こんどうとは、あすかじだいのさいこのもくぞうけんちく。こくほう。)
金堂とは、飛鳥時代最古の木造建築。国宝。
(けたゆきごけん、はりまよんけん、じゅうそういりもやづくり、ほんがわらぶき。)
桁行五間、梁間四間、重層入母屋造り、本瓦葺き。
(しょそうには、もこしとよばれるひさしのようなこうぞうぶがついており、)
初層には、裳階と呼ばれる庇のような構造部がついており、
(にかいだてにみえるが、いっそうのけんちく。)
二階建てに見えるが、一層の建築。
(これはどうほんたいより、あとにつけられたとかんがえられている。)
これは堂本体より、後につけられたと考えられている。
(ないぶには、たまむしのずしなどのこくほうがあんちされている。)
内部には、玉虫厨子などの国宝が安置されている。
(かくぶざいはおおがらかつかんめいで、つよいそんざいかんをもっている。)
各部材は大柄かつ簡明で、強い存在感を持っている。
(ごじゅうのとうとは、あすかじだいのさいこのもくぞうのとう。こくほう。)
五重塔とは、飛鳥時代の最古の木造の塔。国宝。
(こんりゅうねんだいは、こんどうよりややおくれているとされる。)
建立年代は、金堂よりやや遅れているとされる。
(じょうそうにいくにしたがっておおきさがしゅくしょうされている。)
上層に行くにしたがって大きさが縮小されている。
(さいぶのけいしきは、こんどうとほぼおなじ。)
細部の形式は、金堂とほぼ同じ。
(といんがらんとは、8せいきなかばでかんせい。)
東院伽藍とは、8世紀半ばで完成。
(そうけんとうじのといんがらんは、ゆめどのをちゅうしんとして、かいろうがとりまき、きたにほうぞう、)
創建当時の東院伽藍は、夢殿を中心として、回廊が取り巻き、北に宝蔵、
(こうどうにあたるでんぽうどうがあった。さいいんがらんよりもしょうきぼ。)
講堂にあたる伝法堂があった。西院伽藍よりも小規模。
(しょうとくたいしをまつるためにたいしのじゅうきょであったいかるがのみやのあとちにぞうえいされたてらである。)
聖徳太子を祀るために太子の住居であった斑鳩宮の跡地に造営された寺である。
(ゆめどのとは、ならじだい。こくほう。)
夢殿とは、奈良時代。国宝。
(しょうとくたいしのついぼのためにつくられた。とういんのせいどう。)
聖徳太子の追慕のためにつくられた。東院の正堂。
(いわゆるはっかくえんどうで、せいはっかっけいへいめんのぶつどうである。)
いわゆる八角円堂で、正八角形平面の仏堂である。
(やねは、ちゅうせいのかいしゅうによってそうけんとうじよりもおおきくなっているが、)
屋根は、中世の改修によって創建当時よりも大きくなっているが、
(わずかなてりむくりがくわえられ、がらんのなかでつよいそんざいかんをはなちながら、)
わずかな照り起りが加えられ、伽藍の中で強い存在感を放ちながら、
(おちつきをたもっている。)
落ち着きを保っている。
(でんぽうどうとは、ならじだい。こくほう。)
伝法堂とは、奈良時代。国宝。
(きりづまづくり、ほんがわらぶきのぶつどう。といんそうけんじに、いちくされた。)
切妻造、本瓦葺の仏堂。東院創建時に、移築された。
(しょうむてんのうのたちばなふじんのじゅうたくをぶつどうにかいぞうしたもの。)
聖武天皇の橘夫人の住宅を仏堂に改造したもの。
(739ねんごろ、いちくされてとうしょのごけんからななけんにかいちくされている。)
739年頃、移築されて当初の五間から七間に改築されている。
(ならじだいのじゅうたくが、そのままのこっているのはひとつもないが、)
奈良時代の住宅が、そのまま残っているのは一つもないが、
(げんぞんするゆいいつのこだいきぞくていのけんちくとみられる。)
現存する唯一の古代貴族邸の建築とみられる。
(ほうりゅうじにはさいこのうんけいのくみものがある。)
法隆寺には最古の雲形の組物がある。
(くみもの:はしらのうえにあって、のきのでをささえるこうぞうぶざいをくみあわせたそうち。)
組物:柱の上にあって、軒の出を支える構造部材を組み合わせた装置。
(くもと:はりをしじするうんけいのこうぞうぶざい。)
雲斗:梁を支持する雲形の構造部材。
(くもひじき:おだるきをしじするうんけいのこうぞうぶざい。)
雲肘木:尾垂木を支持する雲形の構造部材。
(そして、ほうりゅうじこんどうのおだるきは、のきさきとうちがわで、)
そして、法隆寺金堂の尾垂木は、軒先と内側で、
(やねのかじゅうをうけてばらんすをとるてんびんこうぞうになっている。)
屋根の荷重を受けてバランスをとる天秤構造になっている。
(あすかようしき:はしらにふくらみがあり、うんけいのくみもののしようなどがとくちょう。)
飛鳥様式:柱にふくらみがあり、雲形の組物の使用等が特徴。
(がらん:そうたちが、きょうどうせいかつをしながらしゅぎょうするぶっきょうじいんけんちくぐんのこと。)
伽藍:僧たちが、共同生活をしながら修行する仏教寺院建築群のこと。
(とう、こんどう、こうどう、じきどう、そうぼう、きょうどう、しょうろうなどからなる。)
塔、金堂、講堂、食堂、僧坊、経堂、鐘楼などからなる。
(れんじまど:ほそいきをてきとうなかんかくでならべたまど。)
連子窓:細い木を適当な間隔でならべた窓。