空中懺悔

(とうさまかあさまにいさまおじいさま)

父さま母さま兄さまお祖父さま

(さきだつふこうをおゆるしください。)

先立つ不幸をお許し下さい。

(わたくし、とんでもないおもいちがいをしておりました)

私、とんでもない思い違いをしておりました

(いまおもえばまるでえぞらごとのようなもので。)

今思えばまるで絵空事の様なもので。

(しゃかいにでてせけんさまのためにはたらき)

社会に出て世間様の為に働き

(それなりにやさしいだんなさまと)

それなりに優しい旦那様と

(つつましいかていをきずくものだとおもっておりました)

慎ましい家庭を築くものだと思っておりました

(それがしあわせなことだとおしえこまれてきました)

それが幸せな事だと教え込まれてきました

(でもちがった。ぜんぜんちがいました。)

でも違った。全然違いました。

(こいとはれんごくのたに)

恋とは煉獄の谷

(ひゃっぺんみをやかれてもおさまらない)

百篇身を焼かれても収まらない

(ほのおにつつまれていく)

炎に包まれていく

(ごめんなさい)

ごめんなさい

(とざされたしかいからみひらくひかりのこうずい)

閉ざされた視界から見開く光の洪水

(ふかしのつばさでとびたつようにまっさかさまに)

不可視の翼で飛び立つ様に真っ逆様に

(このちじょうにうまれおちひとつだけまちがいが)

この地上に産まれ落ち一つだけ間違いが

(あったとしたらそれはあなたをあいしてしまったこと。)

あったとしたらそれは貴女を愛してしまった事。

(とうさまかあさまにいさまおじいさま)

父さま母さま兄さまお祖父さま

(さきだつふこうをおゆるしください。)

先立つ不幸をお許しください。

(なかよくしてくださったくらすのみなさんもせんせいも)

仲良くしてくださったクラスの皆さんも先生も

(わたしをおかたづけしなくてはいけないかたもみんな。)

私をお片付けしなくてはいけない方も皆。

(なによりもとうめいでとうといきもちも)

何よりも透明で尊い気持ちも

(けっしててばなしたくはない、)

決して手放したくはない、

(かたくかたくとざしはこにしまって)

堅く堅く閉ざし箱に閉まって

(このみとともにまいりますわ)

この身と共に参りますわ

(ごめんなさい)

ごめんなさい

(じゅうりょくにしたがってあおいほしのまんなかへと)

重力に従って蒼い星の真中へと

(しせんがこくうにとどまる１びょうあなたがみえた)

視線が虚空に留まる1秒貴女が見えた

(いとしいうつくしいあなたのうかぶけしき)

愛しい美しい貴女の浮かぶ景色

(ひとみにうつるあざやかないまがさいごのおくりもの)

瞳に映る鮮やかな瞬間が最期の贈物

(とざされたしかいからみひらくひかりのこうずい)

閉ざされた視界から見開く光の洪水

(ふかしのつばさでとびたつようにまっさかさまに)

不可視の翼で飛び立つ様に真っ逆様に

(このちじょうにうまれおちひとつだけきせきが)

この地上に産まれ堕ち一つだけ奇跡が

(あったとしたらそれはあなたにであってしまったこと。)

あったとしたらそれは貴女に出会ってしまったこと。