煙草の害について 最終章

問題文
(わたしがどうしてずっとあなたのはなしをきにしていたのかわかりました、でもあなたは・・・)
私がどうしてずっと貴方の話を気にしていたのか判りました、でも貴方は・・・
(あなたはそこでこうおもっているんでしょう?わたしは、わたしのかないをころせない、と・・・)
貴方はそこでこう思っているんでしょう?私は、私の家内を殺せない、と・・・
(だったらどうしてそこでわらってるんですわたしをみながら。わらってるじゃありません)
だったらどうして其処で笑ってるんです私を見ながら。笑ってるじゃありません
(か、そうやってたばこをくわえながらにたにたと。だったらわらうのをやめなさい。)
か、そうやって煙草を咥えながらニタニタと。だったら笑うのをやめなさい。
(いますぐやめなさい、いいですかわたしはこうみえても・・やめろといってるんだ!)
今すぐやめなさい、いいですか私はこう見えても・・やめろと言ってるんだ!
(いや、いいんです、いいんですよ。ごさっしのとおりあなたみたいにわたしはかないをころすこと)
いや、いいんです、いいんですよ。ご察しの通り貴方みたいに私は家内を殺す事
(なんてできやしないんですから、どうせ、ええきずつけることだってできやしない)
なんて出来やしないんですから、どうせ、ええ傷つける事だって出来やしない
(こんなにしずかなせいかつをほしがっているのに・・ええ、このこうわがおわったらわたしは)
こんなに静かな生活を欲しがっているのに・・ええ、この講話が終わったら私は
(またあのふきげんなかおにつきあわなければならないんです。ほら、もうがくやにきて)
またあの不機嫌な顔に付き合わなければならないんです。ほら、もう楽屋に来て
(かないがたっています。そこへきてわたしをまっているのですよ。このだんじょうをおりて)
家内が立っています。そこへ来て私を待っているのですよ。この壇上を降りて
(あそこへいってわたしがきょうのこうわのしゃれいをさしだすとかないはそれをむしりとり)
あそこへ行って私が今日の講話の謝礼を差し出すと家内はそれをむしり取り
(そしてれいによってこういいだすでしょう。あなたは、あなたはどうしていつもそう)
そして例によってこう言い出すでしょう。貴方は、貴方はどうしていつもそう
(やってにがむしをかみつぶしたようなかおをしているのよ。どうしてもっとすなおなわらったかお)
やって苦虫を噛み潰した様な顔をしているのよ。どうしてもっと素直な笑った顔
(でおかねをわたすことができないのよ。わたしはあなたのつまなんですのよ。おまえはかんちがいして)
でお金を渡す事が出来ないのよ。私は貴方の妻なんですのよ。お前は勘違いして
(いる。わたしだって、いいかわたしだっておまえがそんなふきげんなつらじゃなくて、ちょっと)
いる。私だって、いいか私だってお前がそんな不機嫌な面じゃなくて、ちょっと
(でもうれしそうなかおをみせてくれたらこんなかおににがむしをつぶしたようなかおにならなくて)
でも嬉しそうな顔を見せてくれたらこんな顔に苦虫を潰した様な顔にならなくて
(すむんだ!いえけっしてくちにはだしません。くちにはだしませんがわたしだっていつも)
済むんだ!いえ決して口には出しません。口には出しませんが私だっていつも
(そういいたいんです。せめてわたしからおっとたるものからおかねをうけとるときくらい)
そう言いたいんです。せめて私から夫たる者からお金を受け取る時くらい
(そうしてほしいとおもうからです。そうすれば・・いやもうよしましょう。どうせ)
そうして欲しいと思うからです。そうすれば・・いやもうよしましょう。どうせ
(わたしはあいつのもとへかえっていかなければならないんです。ざんねんながらほかにいくところな)
私はアイツの元へ帰って行かなければならないんです。残念ながら他に行く所な
(どありやしないんですから、あいつをころすゆうきなどわたしはすこしももちあわせていな)
どありやしないんですから、アイツを殺す勇気など私は少しも持ち合わせていな
(いんですから。ところでがくやにかないがたってます、あそこへきてわたしをまってるん)
いんですから。ところで楽屋に家内が立ってます、あそこへ来て私を待ってるん
(ですよ。もうじかんですね、もしかないがなにかたずねたらおねがいですからこういってく)
ですよ。もう時間ですね、もし家内が何か訊ねたらお願いですからこう言ってく
(れませんか、いいこうえんだったしかかしんぼ、つまりわたしのたいどもなかなかりっぱ)
れませんか、いい講演だったしカカシンボ、つまり私の態度もなかなか立派
(だったって。こっちをみてますよ。ただいまもうしあげましたようにたばこにはおそろしいどく)
だったって。こっちを見てますよ。只今申し上げました様に煙草には恐ろしい毒
(がふくまれているというじじょうからみてどんなことがあってもきつえんなどいたすべきではな)
が含まれていると言う事情から見てどんな事があっても喫煙など致すべきではな
(いのであります。わたくしといたしましてはたばこのがいについてというほんじつのこうえんが)
いのであります。わたくしと致しましては煙草の害についてという本日の講演が
(かならずせけんにえきをもたらしてくれるものとかんがえるしだいであります。これをもちまし)
必ず世間に益をもたらしてくれるものと考える次第であります。これを持ちまし
(てわたくしのはなしをおわります。)
てわたくしの話を終わります。
(・・・おもっていたことをすべてくちにだしたのできもちがすっきりしました。)
・・・思っていた事を全て口に出したので気持ちがスッキリしました。 終