希う船

(ちいさなてでひろいあげたゆめのかけらすてられないままで)

小さな手で拾い上げた夢の欠片　捨てられないままで

(わすれていたむねのおくのふかいばしょをくもらせた)

忘れていた胸の奥の深い場所を曇らせた

(ねむりからさめてもみえないあすをめざすなら)

眠りから覚めても　見えない明日を目指すなら

(はしりぬけたくつのあとをふきはらうかぜのなかで)

疾り抜けた靴の跡を　吹き払う風の中で

(きぼうのひをむすうにのせたこのふねが)

希望の灯を無数に　乗せたこの船が

(たそがれのうみへこぎだすものがたり)

黄昏の海へ漕ぎ出す物語

(くれてゆくせかいでしかであえないいろがあると)

暮れてゆく世界でしか　出逢えない色があると

(ゆびさすあなたとならどんなけしきもさがしにゆけるよ)

指さす貴方となら　どんな景色も探しに行けるよ

(なりやまないきおくのおとまざりあっただれかのつぶやきが)

鳴りやまない記憶の雑音　混ざりあった誰かの呟きが

(もしもみみにのこったならきっといみがあるのだろう)

もしも耳に残ったなら　きっと意味があるのだろう

(とめどなくあふれるなみだがいまをぼかしても)

止め処なくあふれる　涙が現在を暈かしても

(みうしなったみちしるべはあこがれたはねのように)

見失った道標は　憧れた羽のように

(しずんでいたからだをかるくしてくれる)

沈んでいた身体を軽くしてくれる

(こぼれたおもいがえがきだすものがたり)

零れた想いが描き出す物語

(まっくらなよぞらでしかひからないほしとおなじ)

真暗な夜空でしか光らない星と同じ

(うつむくこころにしかさかないはなをわたしがまもるよ)

うつむく心にしか　咲かない花を　私が守るよ

(とおりすぎたときのあとをふりかえるゆめのなかで)

通り過ぎた刻の跡を　振り返る夢の中で

(さいごのひがきえてもみちはとぎれない)

最後の灯が消えても　路は途切れない

(わたしがみらいをえらびつづけるかぎり)

私が未来を選び続ける限り

(ひきかえになくしたもののぞまないわかれさえも)

引き替えに失くしたもの　望まない別れさえも

(いとしくおもえるひがいつかはくるとしんじているんだ)

愛しく思える日が　いつかは来ると信じているんだ

(ねがったのはただ)

願ったのは　ただ

(きぼうのひをふたたびともすこのふねが)

希望の灯を再び　ともすこの船が

(かがやけるちへとうごきだすものがたり)

輝ける地へと動き出す物語

(くれてゆくせかいだからきらめいたほしのしたで)

暮れてゆく世界だから　煌いた星の下で

(まぶしいあなたのせをみおくりながら)

眩しい貴方の背を見送りながら

(やくそくをつなげておわらないたびをする)

約束をつなげて　終わらない旅をする