ハイネとクライネ

(ｈａｉｎｅｋｌｅｉｎｅ)

Haine Kleine

(このせかいがそうだよずっとねえずっと)

この世界がそうだよずっと　ねえずっと

(あまいものにこがれていたのは)

甘いものに焦がれていたのは

(ｈａｉｎｅｋｌｅｉｎｅ)

Haine Kleine

(うまれおちてきてからずっと)

産まれ落ちてきてからずっと

(もうすいせいかつを)

もう酸い生活を

(あじわっていたくはないから)

味わっていたくは無いから

(きたないみずべですむとりは)

汚い水辺で住む鳥は

(きれいなみずべのえさはとらないとしって)

綺麗な水辺の餌は取らないと知って

(たしょうなりともくちょうにみのふりかたと)

多少なりとも口調に身の振り方と

(とりつくしまだけはかんがえてきた)

取り付く島だけは考えてきた

(こがねいろのまひどくをのみほしみせをあとにした)

黄金色の麻痺毒を飲み乾し　店を後にした

(こよいはぼさつになろうか)

今宵は菩薩に成ろうか

(はたまたふろうしゃにでもおちようか)

はたまた浮浪者にでも堕ちようか

(ずいぶんおはやいおでむかえねべるぼーい)

随分お早いお出迎えね　ベルボーイ

(かれは「てぐすねひいてまってました」と)

彼は『手薬煉引いて待ってました』と

(くすり、わらう)

くすり、嗤う

(ｈａｉｎｅｋｌｅｉｎｅ)

Haine Kleine

(このせかいがそうだよずっとねえずっと)

この世界がそうだよずっと　ねえずっと

(くさいものにふたしてきたのは)

臭いものに蓋してきたのは

(ｈａｉｎｅｋｌｅｉｎｅ)

Haine Kleine

(みなあなだらけのこころをみすかされないように)

皆穴だらけの心を見透かされないように

(いきぬいていくしかないからさ)

生き抜いていくしか無いからさ

(せいかつのためついにはぞうきをうって)

生活の為　遂には臓器を売って

(かねにしたせいねんそれをあざける)

金にした青年　それを嘲る

(むしょうむりょうどれいしょうにんとも)

無償無料　奴隷商人共

(どちらがおろかかはめいかくだもの)

どちらが愚かかは明確だもの

(だがどちらがあわれかととわれてさ)

だがどちらが哀れかと問われてさ

(ことばがのどにつまった)

言葉が喉に詰まった

(ぶどういろのがんそうざいでくちをすすぎ)

葡萄色の含嗽剤で口を濯ぎ

(ながしこんだんだ)

流し込んだんだ

(ｈａｉｎｅｋｌｅｉｎｅ)

Haine Kleine

(ほんとうのあいはきっとさあると)

本当の愛はきっとさ在ると

(そうぜったいあるととなえていたのは)

そう絶対在ると　唱えていたのは

(ｈａｉｎｅｋｌｅｉｎｅ)

Haine Kleine

(いまじぶんがひとりだってことを)

今自分が独りだってことを

(もうずっといっしょうみとめたくはないから)

もうずっと一生　認めたくはないから

(ちぇっくあうとするよそろそろさ)

チェックアウトするよ　そろそろさ

(それはゆるされませんとべるぼーい)

それは赦されません　とベルボーイ

(「あなたはひびれっとうかんにたちむかうせんしだ)

『貴方は日々　劣等感に立ち向かう戦士だ

(どうぞごゆるりと」)

どうぞごゆるりと』

(ぞうきをうったせいねんはじつは)

臓器を売った青年は実は

(えたかねでくるまをかっていたらしい)

得た金で車を買っていたらしい

(しんそうはそんなもんだよとみとめたくはないな)

真相はそんなもんだよと　認めたくはないな

(「おまえよりじゃくしゃはいない」といわれてるようでさ)

「お前より弱者はいない」と　言われてるようでさ

(わいくなはいね)

矮躯なハイネ

(このへやがそうだよずっとねえずっと)

この部屋がそうだよずっと　ねえずっと

(からいものであふれすぎてんのは)

辛いもので溢れ過ぎてんのは

(ふらちなはいね)

不埒なハイネ

(うまれおちてきてからずっと)

産まれ落ちてきてからずっと

(ぼくのながしたなみだにつかっていたから)

僕の流した涙に浸かっていたから

(はいね、くらいね)

ハイネ、クライネ

(あしたなんかにいかなくていいよ)

明日なんかに行かなくていいよ

(ねえずっとぎゅっと)

ねえずっと　ぎゅっと

(しんぞうをおしつけあった)

心臓を押し付け合った

(きれいになんかならなくていい)

綺麗になんかならなくて良い

(いまよりずっとこのせかいが)

今よりずっと　この世界が

(うんとよごれていきますように)

うんと汚れていきますように

(そしたらなじめるのかな)

そしたら馴染めるのかな