どどいつ!
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問題文
(ひとりでさしたるからかさなればかたそでぬれようはずがない)
一人でさしたる唐傘なれば 片袖濡れよう筈がない
(よそのゆめみるうわきなぬしにかしてくやしいひざまくら)
よその夢見る浮気な主に 貸して口惜しい膝枕
(あきらめましたよどうあきらめたあきらめきれぬとあきらめた)
諦めましたよ どう諦めた 諦めきれぬと諦めた
(うちわつかいもおきゃくによりてあおりだすのとまねくのと)
団扇使いもお客によりて あおり出すのと招くのと
(おなはもうさぬいちざのなかにいのちあげたいかたがいる)
お名は申さぬ一座の中に 命上げたい方がいる
(おもしろいときゃおまえとふたりくろうするときゃわしひとり)
面白いときゃお前と二人 苦労するときゃわしひとり
(おうてこころのくもりもはれてふたりながめるかやのつき)
逢うて心のくもりも晴れて 二人眺める蚊帳の月
(かわいいおかたになぞかけられてとかざぁなるまいしゅすのおび)
可愛いお方に謎かけられて 解かざぁなるまい しゅすの帯
(けんかしたときこのこをごらんなかのいいときできたこだ)
喧嘩したときこの子をご覧 仲の良い時出来た子だ
(しろだくろだとけんかはおよししろというじもすみでかく)
白だ黒だと喧嘩はおよし 白と言う字も墨で書く
(ぬしとわたしはたまごのなかよわたしゃしろみできみをだく)
主と私は玉子の仲よ わたしゃ白身できみを抱く
(あかいかおしておさけをのんでけさのかんじょうであおくなる)
赤い顔してお酒を飲んで 今朝の勘定で青くなる
(あのひとのどこがいいかとたずねるひとにどこがわるいとといかえす)
あの人のどこがいいかと尋ねる人に どこが悪いと問い返す
(いやなおかたのしんせつよりもすいたおかたのむりがいい)
嫌なお方の親切よりも 好いたお方の無理が良い
(いやなざしきにいるよのながさなぜかこよいのみじかさは)
いやな座敷にいる夜の長さ なぜか今宵の短さは
(いやなおかたのくるそのあさはみっかまえからねつがでる)
いやなお方の来るその朝は 三日前から熱が出る
(いやなざしきのつとめがふけりゃばちであくびのふたをする)
いやな座敷のつとめが更けりゃ 撥であくびのふたをする
(いまはさしすせむかしはいろはすたらぬはずだよいろのみち)
今はサシスセ昔はいろは すたらぬはずだよ色の道
(うめもきらいよさくらもいやよももとももとのあいがいい)
梅もきらいよ 桜もいやよ ももとももとの間が良い
(うわきうぐいすうめをばじらしわざととなりのももになく)
浮気うぐいす梅をばじらし わざととなりの桃に鳴く
(うどんなわたしにおまえのつらみながくそばにはおかれまい)
うどんな私にお前の辛み ながくそばにはおかれまい
(うえをおもえばかぎりがないとしたをみてさくゆりのはな)
上を思えば限りがないと 下を見て咲く百合の花
(おまえしんでもてらへはやらぬやいてこにしてさけでのむ)
お前死んでも寺へはやらぬ 焼いて粉にして酒で飲む
(おびもできたしたんすもできたそろそろだんなとわかれよか)
帯も出来たし箪笥もできた そろそろ旦那と別れよか
(おそいかえりをかれこれいわぬにょうぼのえがおのきみわるさ)
遅い帰りをかれこれ言わぬ 女房の笑顔の気味悪さ
(おろすわさびとこいじのいけんきけばきくほどなみだでる)
おろすわさびと恋路の意見 きけばきくほど涙出る
(おもいからだをみにひきうけてぬくにぬかれぬうでまくら)
重い体を身にひきうけて 抜くに抜かれぬ腕枕
(おまはんのこころひとつでこのかみそりがのどへいくやらまゆへやら)
おまはんの心ひとつでこの剃刀が 喉へ行くやら眉へやら
(おかぼれしたのはわたしがさきよてだししたのはぬしがさき)
岡惚れしたのは私が先よ 手出ししたのは主が先
(おもくなるとももつてはふたりかさにふれふれよるのゆき)
重くなるとも持つ手は二人 傘に降れ降れ夜の雪
(かおみりゃくろうをわすれるようなひとがありゃこそくろうする)
顔見りゃ苦労を忘れるような 人がありゃこそ苦労する
(かさをわすれてもどったわかさかえりにかばんをおいてくる)
傘を忘れて戻った若さ 帰りにカバンを置いてくる
(きみはよしののせんぼんざくらいろかよけれどきがおおい)
君は吉野の千本桜 色香よけれどきが多い
(きみはのにさくあざみのはなよみればやさしやよればさす)
君は野に咲くあざみの花よ 見ればやさしや寄れば刺す
(きざなおきゃくといにわくみずはかねけなくなりゃちゃにされる)
気障なお客と井に沸く水は 金気なくなりゃ茶にされる
(きんのびょうぶにすみえのぼたんなかにふたりのくるいじし)
金の屏風に墨絵の牡丹 中に二人の狂い獅子
(くちでけなしてこころでほめてひとめしのんでみるしゃしん)
口でけなして心で褒めて 人目しのんで見る写真
(くじもあたらすしゅっせもなくてきょうをいきてるうんのよさ)
くじも当たらす出世もなくて 今日を生きてる運のよさ
(くろうするみはなにいとはねどくろうしがいのあるように)
苦労する身は何いとわねど 苦労し甲斐のあるように
(こいにこがれてなくせみよりもなかぬほたるがみをこがす)
恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす
(こいというじをぶんせきすればいとしいとしというこころ)
戀という字を分析すれば 糸し糸しと言う心
(こうしてこうすりゃこうなるものとしりつつこうしてこうなった)
こうしてこうすりゃこうなるものと 知りつつこうしてこうなった
(これほどほれたるそぶりをするにあんなさとりのわるいひと)
これほど惚れたる素振りをするに あんな悟りの悪い人
(こばむきはないひとことばかとかたへまわしたてをしかる)
拒む気はない一言馬鹿と 肩へ廻した手を叱る
(さけのさかなにしんぶんだされみればせけんのあらばかり)
酒の肴に新聞出され 見れば世間のアラばかり
(さんぜんせかいのからすをころしぬしとあさねがしてみたい)
三千世界のカラスを殺し 主と朝寝がしてみたい
(さとでくろうをつんだるやぐにまさるせたいのうすぶとん)
廓で苦労を積んだる夜具に まさる世帯の薄布団
(さっしておくれよはなならつぼみさかぬところにあじがある)
察しておくれよ花ならつぼみ 咲かぬところに味がある
(さんぎりあたまをたたいてみればぶんめいかいかのおとがする)
ざんぎり頭を叩いてみれば 文明開花の音がする
(しんしゅうしなののしんそばよりもわたしゃおまえのそばがいい)
信州信濃の新ソバよりも わたしゃお前のそばが良い
(すねてかたよるふとんのはずれほれたほうからきげんとる)
すねてかたよる布団のはずれ 惚れた方から機嫌とる
(そうてくろうはかくごだけれどそわぬさきからこのくろう)
添うて苦労は覚悟だけれど 添わぬ先からこの苦労
(たったいちどのちゅうしゃがきいてこうもあいたくなるものか)
たった一度の注射が効いて こうも逢いたくなるものか
(たてばしゃくやくすわればぼたんあるくすがたはゆりのはな)
立てば芍薬座れば牡丹 歩く姿は百合の花
(たんとうれてもうれないひでもおなじきげんのかざぐるま)
たんと売れても売れない日でも 同じ機嫌の風車
(たよりあるかときかれるたびにわかれましたというつらさ)
便りあるかと聞かれる度に 別れましたと言うつらさ
(たまのこしよりみそこしもってつとめうれしいともかせぎ)
玉の輿より味噌漉し持って つとめ嬉しい共稼ぎ
(ちょくちょくあうよをひとつにまとめとっくりはなしがしてみたい)
猪口々々逢う夜をひとつにまとめ 徳利話がしてみたい
(ちょうとはらんせもしはんでたらわしをうらんせよしわらへ)
丁と張らんせもし半 出たら わしを売らんせ吉原へ
(ちらりちらりとふるゆきさえもつもりつもりてふかくなる)
ちらりちらりと降る雪さえも 積もり積もりて深くなる
(つもるおもいにいつしかもんのゆきがかくしたげたのあと)
積もる思いにいつしか門の 雪が隠した下駄の跡
(つねりゃむらさきくいつきゃべによいろでかためたこのからだ)
つねりゃ紫喰いつきゃ紅よ 色で固めたこの体
(どこでかりたとこころもじゃのめかさのでどこをきいてみる)
どこで借りたと心も蛇の目 傘の出どこをきいてみる
(どうせたがいのみはさびがたなきるにきられぬくされえん)
どうせ互いの身は錆び刀 切るに切られぬくされ縁
(ないたひょうしにさめたがくやしいゆめとしったらなかぬのに)
泣いた拍子に覚めたが悔しい 夢と知ったら泣かぬのに
(ながいはなしをつづめていえばひかるげんじがいきてしぬ)
ながい話をつづめていへば 光源氏が生きて死ぬ
(なんのいんがでたにんがいとしそだてられたるおやよりも)
なんの因果で他人がいとし 育てられたる親よりも
(なんどふいてもおんなじがらすくもりはじぶんのかおにある)
何度拭いてもおんなじガラス 曇りは自分の顔にある
(にわのまつむしねをとめてさえもしやきたかとむなさわぎ)
庭の松虫音をとめてさえ もしや来たかと胸さわぎ
(ねこにゃだまされきつねにゃふられにゃんでこんなにへまだろう)
猫にゃだまされ狐にゃふられ ニャンでコンなにへまだろう
(はるのひとひをついのみたおれはなとふたりねしてもどる)
春のひと日をつい飲みたおれ 花とふたり寝して戻る
(ばちをもつてにきょうひふきだけなれぬかってのいそがしさ)
撥を持つ手に今日火吹き竹 なれぬ勝手の忙しさ
(ひとりわろうてくらそうよりもふたりなみだでくらしたい)
一人笑うて暮らそうよりも 二人涙で暮らしたい
(ひさしぶりだよいちばんやろうはやくだしなよしょうぎばん)
久しぶりだよ一番やろう 早く出しなよ将棋板
(ひとのくちにはとはたてながらもんをほそめにあけてまつ)
人の口には戸は立てながら 門を細めに開けて待つ
(ふじのゆきさえとけるというにこころひとつがとけぬとは)
不二の雪さえとけるというに 心ひとつがとけぬとは
(ほれたかずからふられたかずをひけばにょうぼがのこるだけ)
惚れた数からふられた数を 引けば女房が残るだけ
(ほれたしょうこはおまえのくせがいつかわたしのくせになる)
ほれた証拠はお前の癖が いつか私のくせになる
(ほれてかよえばせんりもいちりあわでかえればまたせんり)
惚れて通えば千里も一里 逢わで帰ればまた千里
(ほんにうれしいめのしょうがつよねんしのとちゅうでぬしにあう)
ほんにうれしい目の正月よ 年始の途中で主に遭う
(ほれさせじょうずなあなたのくせにあきらめさせるのへたなほう)
惚れさせ上手なあなたのくせに あきらめさせるの下手な方
(まくらだせとはつれないことばそばにあるひざしりながら)
枕出せとはつれない言葉 そばにある膝知りながら
(まるいたまごもきりよでしかくものもいいようでかどがたつ)
丸い玉子も切りよで四角 ものも言いようで角がたつ
(むかしなじみとつまずくいしはにくいながらもあとをみる)
昔馴染みとつまずく石は 憎いながらもあとを見る
(むねにあるだけいわせておくれぬしのいいわけあとできく)
胸にあるだけ言わせておくれ 主の言いわけあとで聞く
(もしもこのままこがれてしねばこわくないよにばけてでる)
もしもこのままこがれて死ねば こわくないよに化けて出る
(ゆうべたまごをつぶしたむくいきみをかえせとにわとりがなく)
昨夜玉子をつぶした報い きみをかえせと鶏がなく
(ゆきがつもればおもいもつもるきみのあしあとまつほどに)
雪がつもれば思ひもつもる きみの足跡待つほどに
(よこにねかせてまくらをさせてゆびでたのしむことのいと)
横に寝かせて枕をさせて 指で楽しむ琴の糸
(らいのひかりでにげこむかやのなかでとらるるへそのした)
雷の光で逃げ込む蚊帳の 中でとらるるへその下
(らくはくのたねくはらくのたねふたりしてするひとのたね)
楽は苦の種苦は楽の種 二人してする人の種
(わけりゃふたつのあさがおなれどひとつにからんではながさく)
わけりゃ二つの朝顔なれど 一つにからんで花が咲く