命ばっかり-セリフ部分

(あなたはりかいしている。)

あなたは理解している。

(あなたはどこへだっていける。)

あなたはどこへだって行ける。

(あなたはふせいかいをえらんでいる。)

あなたは不正解を選んでいる。

(ここにじごくはない。)

ここに地獄はない。

(あなたはすみかも、たべものも、ただしいきこうも、)

あなたは住みかも、食べ物も、正しい気候も、

(せんたくすることもすべてあたえられている。)

選択することもすべて与えられている。

(あなたはそれをりかいしている。)

あなたはそれを理解している。

(あなたはさっかくしているの。)

あなたは錯覚しているの。

(あなたはそれをりかいしている。)

あなたはそれを理解している。

(あなたはそのうえでりかいできない。)

あなたはその上で理解できない。

(ここにじごくはない。)

ここに地獄はない。

(さーどぱーそんがとおのく。)

サードパーソンが遠のく。

(まぢかでみえていたわたしの)

間近で見えていたわたしの

(あたまからしてんがはなれていく。)

頭から視点が離れていく。

(はなれていくわたしの)

離れていくわたしの

(あたまのまわりになにがあったか)

頭の周りに何があったか

(だんだんとわかっていく。)

だんだんとわかっていく。

(わたしのすがたは)

わたしの姿は

(どんどんちいさく)

どんどん小さく

(なっていく。)

なっていく。

(わたしがちいさくなっていくたびに)

わたしが小さくなっていく度に

(しかいがひろく)

視界が広く

(なっていく。)

なっていく。

(わたしは)

わたしは

(どんどん)

どんどん

(ちいさく)

小さく

(なっていく。)

なっていく。

(ひとつもあなたにはなしたいことがない。)

一つもあなたに話したいことがない。

(よるにあきている。)

夜に飽きている。

(しんせんなしあわせを)

新鮮な幸せを

(くいつぶしている。)

食いつぶしている。

(ふるくなったら)

古くなったら

(すてている。)

捨てている。

(ふりかえると)

振り返ると

(ふはいぶつでできた)

腐敗物でできた

(みちができていて)

道ができていて

(ぐずぐずに)

ぐずぐずに

(ありがたかっている。)

蟻がたかっている。

(それはふはいぶつなはずなんだけど、)

それは腐敗物なはずなんだけど、

(どうしてかありがたがってすすっている。)

どうしてか有難がって啜っている。

(わたしは、わたしがすてたものにかちをかんじずに)

わたしは、わたしが捨てたものに価値を感じずに

(またあたらしいものをすてていく。)

また新しいものを捨てていく。

(すなをかむようであじけないしあわせをなんかいもすてて、)

砂を嚙むようで味気ない幸せを何回も捨てて、

(それがなくなるのをただおそれている。)

それが無くなるのをただ恐れている。

(あたまのひきだしにげんかいをかんじる。)

頭の引き出しに限界を感じる。

(ひとついれて、またあけようとする)

一つ入れて、また開けようとする

(もうひらかなかったり、なかみがすりかわっていたり、)

もう開かなかったり、中身がすり替わっていたり、

(もうとりだせずにこびりついていたりする。)

もう取り出せずにこびりついていたりする。

(なんだかもやがかかったようでうまくはなせない。)

なんだかもやがかかったようでうまく話せない。

(ぼんやりとしかおもいだせない。)

ぼんやりとしか思い出せない。

(これを「あたまのびょうきでなんらかのせいげんがかかったじょうたい」だとおもえれば)

これを「頭の病気でなんらかの制限がかかった状態」だと思えれば

(「あたまのびょうきをなおしてすっきりあたらしいじんせいをはじめるきぶんになるんだろうけど、)

「頭の病気を直してすっきり新しい人生を始める気分になるんだろうけど、

(「のうがすっかりしんでしまっているのでもうこれいじょうはよくならないじょうたい」)

「脳がすっかり死んでしまっているのでもうこれ以上は良くならない状態」

(だったらとおもうと)

だったらと思うと

(どうしていいかわからない。)

どうしていいかわからない。

(いままでできたことをくりかえしなぞっていくのはたいへんにきゅうくつで、)

今まで出来たことを繰り返しなぞっていくのは大変に窮屈で、

(またくつじょくで、)

また屈辱で、

(きっとわたしにはたえられない。)

きっと私には耐えられない。

(すっかりころしてしまったのはたぶん)

すっかり殺してしまったのは多分

(わたしだからだれもきっとせめれない。)

わたしだからだれもきっと責めれない。

(こんなにわかれないじんせいだとおもっていきていなかったでしょう。)

こんなに分かれない人生だと思って生きていなかったでしょう。

(これからさきあなたのじんせいはなにがたいせつだったかわからないし)

これから先あなたの人生は何が大切だったかわからないし

(みんながなににひかれていきているのかわからないし)

みんなが何に惹かれて生きているのかわからないし

(そのじぶんをきっとたいせつなそんざいだとおもっていきるでしょう。)

その自分をきっと大切な存在だと思って生きるでしょう。

(でもそれはあなたにほじったしてんをあたえられたのではなく、)

でもそれはあなたに穿った視点を与えられたのではなく、

(ただあなたがなにもわかれないだけなのに。)

ただあなたが何も分かれないだけなのに。

(いのちばっかり)

命ばっかり