皇后の務め

(こうたいごうのおでましだ)

皇太后のお出ましだ

(こうごうはどこ)

皇后はどこ？

(まだおやすみでございます)

まだお休みでございます

(はやくおこすのです)

早く起こすのです！

(はい)

はい！

(まだわかすぎるわ)

まだ若すぎるわ

(たたきこまなくては)

叩き込まなくては

(あのこにひつようなのはしたがうということ)

あの子に必要なのは従うということ

(いなかものなのね)

田舎者なのね

(ほんと)

ほんと

(しつけがわるいわ)

しつけが悪いわ

(わるい)

悪い

(じぶんのことでせいいっぱい ぎむをわすれてる)

自分のことで精一杯 義務を忘れてる

(こうごうのつとめはじぶんをころして すべておうけにささげること)

皇后の務めは自分を殺して すべて王家に捧げること

(ごもっとも)

ごもっとも

(おはようございますなにか)

おはようございます　なにか？

(なんてねぼうなの)

なんて寝坊なの

(まだごじです)

まだ５時です

(なまけてはだめよ)

怠けてはだめよ

(つかれがとれなくて)

疲れが取れなくて

(まいあさごじきっかりにすべてはじめるのよ)

毎朝５時きっかりに全て始めるのよ

(へいかがいわれた ゆっくりおやすみと)

陛下が言われた ゆっくりお休みと

(ゆうべのあなたはぐっすりねこんだそうね)

夕べの貴女はぐっすり寝込んだそうね

(ちがいます)

違います

(きいたのよ)

聞いたのよ

(へいかがいうはずない)

陛下が言うはずない

(わたしにはかくさない)

私には隠さない

(うそだわ)

嘘だわ...

(つよいきずなで)

強い絆で

(まさか)

まさか...

(むすばれてる)

結ばれてる

(しんせつでいうのよ)

親切で言うのよ

(わかります)

分かります

(あらそいたくない)

争いたくない

(わたくしも)

私も

(しきたりにしたがいなさい すべてきょかがいるわ)

しきたりに従いなさい 全て許可がいるわ

(じょうばのおけいこを)

乗馬のお稽古を...！

(だめよ)

だめよ！

(あぶない)

危ない

(こうごうらしくない)

皇后らしくない

(そうです)

そうです

(なぜなの)

なぜなの？

(ふるいしきたりをまもらなくてはいけない)

古いしきたりを守らなくてはいけない

(こうごうのつとめはじぶんをころして すべておうけにささげること)

皇后の務めは自分を殺して 全て王家に捧げること

(かおはあらったの)

顔は洗ったの？

(これからします)

これからします

(はをみせて)

歯を見せて

(くちをあけて)

口を開けて

(きばんでいるわね)

黄ばんでいるわね

(みがきますわ)

磨きますわ！

(まっしろになるまで)

真っ白になるまで

(じょうばもゆるされずあらさがしばかり)

乗馬も許されず　粗探しばかり

(こうごうきょういくよ あまりにもぶさほう)

皇后教育よ あまりにも無作法

(わたしをねたんでる)

私を妬んでる！

(ばかげたこといわないで)

馬鹿げたこと言わないで

(わたし)

私...

(けんきょになるのよ)

謙虚になるのよ

(わたしは)

私は

(だめよ)

だめよ！

(ふらんつたすけてあなたがたよりよ)

フランツ助けて　あなたが頼りよ

(こうごうのつとめはじぶんをころして すべておうけにささげること)

皇后の務めは自分を殺して 全て王家に捧げること

(こうごうのぎむまなばなくては じぶんをおさえていきるのだ)

皇后の義務　学ばなくては 自分を抑えて生きるのだ

(ふらんつ)

フランツ...？

(ぼくはきみのみかただでもははのいけんは きみのためになるはずだ)

僕は君の味方だ　でも母の意見は 君のためになるはずだ

(わかったかい)

分かったかい？

(つよく)

強く

(わかったわ)

分かったわ...

(きびしく)

厳しく

(あなたはわたしを)

貴方は私を

(みごろしにするのね)

見殺しにするのね...

(ししぃ)

シシィ...

(ひとりにしてください)

一人にしてください