サウルの息子①
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問題文
(1944ねん10がつ、どいつ、あうしゅびっつびるけなうきょうせいしゅうようじょ。)
1944年10月、ドイツ、アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所。
(ゆだやじんをぎゃくさつする「がすしつ」でもくもくとはたらくひょうじょうがないおとこが)
ユダヤ人を虐殺する「ガス室」で黙々と働く表情がない男が
(うつしだされる、かれはさうる。)
映し出される、彼はサウル。
(ゆだやじんをころすためによごれしごとをうけおう「ぞんだーこまんど」と)
ユダヤ人を殺すために汚れ仕事を請け負う「ゾンダーコマンド」と
(よばれるぶたいのひとりだった。さうるじしんもきょうせいてきにつれてこられた)
呼ばれる部隊の一人だった。サウル自身も強制的に連れてこられた
(しゅうじんのひとりであったが、いのちをたすけるというやくそくとしょうしょうのしょくりょうを)
囚人の一人であったが、命を助けるという約束と少々の食料を
(かてにどいつじんしょうこうからていあんされ、かれはりょうしょうした。)
糧にドイツ人将校から提案され、彼は了承した。
(かれとおなじようにぞんだーこまんどにいそしむおとこたちがまわりに)
彼と同じようにゾンダーコマンドに勤しむ男達が周りに
(ぼんやりとうつしだされる。)
ぼんやりと映し出される。
(そう、ここはさうるめせんでえいががすすんでいく、そのことを)
そう、ここはサウル目線で映画が進んでいく、そのことを
(まずごせつめいさせていただきたい。)
まずご説明させていただきたい。
(しょくがないせかいできょうもながいかもつれっしゃがあうしゅびっつへついた。)
色がない世界で今日も長い貨物列車がアウシュビッツへ着いた。
(なかにはろうにゃくなんにょのゆだやじんがつめこまれている。)
中には老若男女のユダヤ人が詰め込まれている。
(かれらはここでなにがあるのかわかっていない、さうるは)
彼らはここで何があるのか分かっていない、サウルは
(「いのちのせんべつ」をされがすしつでころされるひとびとをつめたくゆうどうする。)
「命の選別」をされガス室で殺される人々を冷たく誘導する。
(「しゃわーをあびるのだ」とうそをついて。ゆうどうされる)
「シャワーを浴びるのだ」と嘘をついて。誘導される
(ゆだやじんたちがいぶかしげにかれをみつめていく、まるで)
ユダヤ人達が訝しげに彼を見つめていく、まるで
(「それはうそなんだろう?」といいたげに。)
「それは嘘なんだろう?」と言いたげに。
(ようふくをぬがせ、がすしつにつめこみとびらをしめるとなちすしょうこうが)
洋服を脱がせ、ガス室に詰め込み扉を閉めるとナチス将校が
(さっちゅうざいをいれるすいっちをおし、ながいじかんをかけ)
殺虫剤を入れるスイッチを押し、長い時間を掛け
(ゆだやじんたちがころされます、なかからはひめいやくるしみのあまり)
ユダヤ人達が殺されます、中からは悲鳴や苦しみのあまり
(かべをつめでひっかくおとがきこえるがさうるはかんじょうを)
壁を爪でひっかく音が聞こえるがサウルは感情を
(まるであらわさずたんたんとしごとをすすめていった。)
まるで表さず淡々と仕事を進めていった。
(すっかりがすしつはしずかになり、ふたたびとびらをあけるとさきには)
すっかりガス室は静かになり、再び扉を開けると先には
(ぼんやりとしたにくたいたちがおりかさなっている、かれのめせんからは)
ぼんやりとした肉体達が折り重なっている、彼の目線からは
(はっきりとはみえずなんとなく「そこ」にあるものだった。)
はっきりとは見えずなんとなく「そこ」にあるものだった。
(それらは「ぶひん」とよばれ、とびちったちやふんにょうをしょりし)
それらは「部品」と呼ばれ、飛び散った血や糞尿を処理し
(かねめになりそうなはやとけいなどをとりあげなちすぐんに)
金目になりそうな歯や時計などをとりあげナチス軍に
(ていしゅつするしごともぞんだーこまんどのしごと。)
提出する仕事もゾンダーコマンドの仕事。