サウルの息子②
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問題文
(こんなよごれしごとをしてもかれらのいのちはかくじつにかくやくされたわけではなく、)
こんな汚れ仕事をしても彼らの命は確実に確約されたわけではなく、
(すうかげつごとに「たいりょうぎゃくさつ」のじじつをもらさぬよう、)
数ヶ月ごとに「大量虐殺」の事実を漏らさぬよう、
(またぞんだーこまんどがけっしゅうしてじょうほうこうかんやはんらんを)
またゾンダーコマンドが結集して情報交換や反乱を
(おこさないようにかれらもがすしつへおくりこまれるうんめいだった。)
起こさないように彼らもガス室へ送り込まれる運命だった。
(そんなことはかれらはいたいほどわかっていたが、)
そんなことは彼らは痛いほど分かっていたが、
(まいにちくりかえされる「ひにちじょう」にかんじょうもひょうじょうもきえさってしまった。)
毎日繰り返される「非日常」に感情も表情も消え去ってしまった。
(そんなあるひ、さうるはつみあがった「ぶひん」のなかからまだ)
そんなある日、サウルは積み上がった「部品」の中からまだ
(いきがあるおさないしょうねんをみつけた、それはかれのめをおおきくみひらかさせた、)
息がある幼い少年を見つけた、それは彼の目を大きく見開かさせた、
(かれがあいしたむすこにそっくりだったのだ。)
彼が愛した息子にそっくりだったのだ。
(さうるははじめてかんじょうをおもてにしたが、しょうねんはべっしつに)
サウルは初めて感情をおもてにしたが、少年は別室に
(つれていかれあらためてしがかくにんされた。)
連れていかれ改めて死が確認された。
(いのちをみとったいしはしょうねんをかいぼうたいしょうにしようとしたが、)
命を看取った医師は少年を解剖対象にしようとしたが、
(さうるはたのみこみなくなったこどものいたいをらび)
サウルは頼み込み亡くなった子供の遺体をラビ
((ゆだやきょうのしさい)にいのってもらいゆだやしきでまいそうしたいと)
(ユダヤ教の司祭)に祈ってもらいユダヤ式で埋葬したいと
(ねがうようになった、こどものいたいをこっそりしゅうようじょないに)
願うようになった、子供の遺体をこっそり収容所内に
(かくししゅうじんたちのなかかららびをみつけようとやっきになった。)
隠し囚人たちの中からラビを見つけようと躍起になった。
(ところがぞんだーこまんどというにくまれやくのさうるに)
ところがゾンダーコマンドという憎まれ役のサウルに
(きょうりょくしようというものはなかなかでてこない、かれがらびを)
協力しようという者はなかなか出てこない、彼がラビを
(さがそうとしたすいめんかでは、いつもしょうこうたちがぞんだーこまんどたちが)
探そうとした水面下では、いつも将校達がゾンダーコマンド達が
(れんけいしないようにみはっていたつもりが、かれらはじんしゅごとに)
連携しないように見張っていたつもりが、彼らは人種ごとに
(れんけいをしてぞんだーこまんどのたいちょうあぶらはむをはじめとして)
連携をしてゾンダーコマンドの隊長アブラハムを始めとして
(がすしつをばくはしはんらんをおこすためのじゅんびをはじめていた。)
ガス室を爆破し反乱を起こすための準備を始めていた。
(はんらんをけいかくするもののなかでも、ふたとおりのかんがえがあり)
反乱を計画するものの中でも、二通りの考えがあり
(「ぶきをてにいれみなでいっきにしぬかくごでそうどうをおこす」という)
「武器を手に入れ皆で一気に死ぬ覚悟で騒動を起こす」という
(あぶらはむはのものと「ひみつりにきょうせいしゅうようじょのさんじょうをかめらで)
アブラハム派のものと「秘密裏に強制収容所の残状をカメラで
(とりふぃるむをこくがいにながしせかいにたすけをもとめる」という)
撮りフィルムを国外に流し世界に助けを求める」という
(かぽおさのびーだーまんというおとこのあんだった。)
カポ長のビーダーマンという男の案だった。
(はんらんをしったさうるもさつえいのきょうりょくをもうしでるが、かれは)
反乱を知ったサウルも撮影の協力を申し出るが、彼は
(ほかのきょうりょくしゃとかくされたこやへいけといわれびーだーまんの)
他の協力者と隠された小屋へ行けと言われビーダーマンの
(ゆうじんやんくるとごうりゅうする。)
友人ヤンクルと合流する。