吸血鬼/カンザキイオリ

(おれはきゅうけつきさ)

俺は吸血鬼さ

(いつからいきているのかすらわすれた)

いつから生きているのかすら忘れた

(ちをすったらすったぶんだけながくいきれるのさ)

血を吸ったら吸った分だけ長く生きれるのさ

(だけどにんげんがすきだから)

だけど人間が好きだから

(ねずみやのらいぬのちでしのいで)

ネズミや野良犬の血で凌いで

(よるのせかいにまぎれてあそんでるのさ)

夜の世界に紛れて遊んでるのさ

(おれはきゅうけつきさ)

俺は吸血鬼さ

(きまぐれでできたこのまちはここちいい)

気まぐれで出来たこの街は心地いい

(だれもかれもねむらないまち)

誰も彼も眠らない街

(まるでおれのようだ)

まるで俺のようだ

(ぼったくりのばーをけいえいして)

ボッタクリのバーを経営して

(おれはせいけいをたてている)

俺は生計を立てている

(にんげんのなかまもできたんだ)

人間の仲間も出来たんだ

(なんどはらをみたしてもかねをかせいでも)

何度腹を満たしても金を稼いでも

(なにもきもちよくない)

何も気持ち良くない

(ああなぜなんだ？)

ああなぜなんだ？

(ちもすったさけもあびるほどのんでいるのに)

血も吸った酒も浴びるほど飲んでいるのに

(はらをみたしたりかねをかせいだりそれのくりかえし)

腹を満たしたり金を稼いだりそれの繰り返し

(ああここらでしおどきなんだろうか)

ああここらで潮時なんだろうか

(きゅうけつきのせいは)

吸血鬼の生は

(おれはきゅうけつきさ)

俺は吸血鬼さ

(こうなりゃいちねんほっきだ)

こうなりゃ一念発起だ

(すべてすててあらたなよるをおどってやるのさ)

全て捨てて新たな夜を踊ってやるのさ

(あるひであったきみのことが)

ある日出会った君のことが

(すっかりあたまからはなれない)

すっかり頭から離れない

(なんだかあたまがぼーっとするんだ)

なんだか頭がぼーっとするんだ

(うぶなめ)

ウブな眼

(ほそいからだの)

細い体の

(くびすじがけつみゃくがおれのなまえをよんでる)

首筋が血脈が俺の名前を呼んでる

(なんどはらをみたしてもかねをかせいでもきみをおもいだす)

何度腹を満たしても金を稼いでも君を思い出す

(ああちをすいたいきみののどもとにかぶりついて)

ああ血を吸いたい君の喉元にかぶりついて

(むしゃぶりつくしたい)

むしゃぶりつくしたい

(はらがほてってよだれがつたって)

腹が火照ってヨダレが伝って

(ああそうだおれはかいぶつだった)

ああそうだ俺は怪物だった

(きゅうけつきというなの)

吸血鬼と言う名の

(いつもいくいざかやのかうんたーせきにきみはいる)

いつも行く居酒屋のカウンター席に君はいる

(しぜんにとなりにすわっててきとうなさけをちゅうもんして)

自然に隣に座って適当な酒を注文して

(きみはきれいだみずみずしいくびもとが)

君は綺麗だ水々しい首元が

(ああやばいやばいやばい)

ああ　ヤバイ　ヤバイ　ヤバイ

(いまだいまだいまだかぶりつけ)

今だ　今だ　今だかぶりつけ

(おじょうさんひとりかい？)

お嬢さん一人かい？

(ちょっとこっちはみないでくれ)

ちょっとこっちは見ないでくれ

(みにくいんだ)

醜いんだ

(なぜかきみにはばれたくないんだ)

なぜか君にはばれたくないんだ

(よくぼうまるだしに)

欲望丸出しに

(きばのはえたおれを)

牙の生えた俺を

(よこめにみたきみはただわらった)

横目に見た君はただ笑った

(はらがほてってのどがかわいてきみがきすをする)

腹が火照って喉が渇いて君がキスをする

(あああじがするにおいがするきみをからだぜんぶでもとめている)

ああ味がする匂いがする君を体全部で求めている

(あびきょうかんのてんないでただおれときみだけがわらっていた)

阿鼻叫喚の店内でただ俺と君だけが笑っていた

(ああそうかきみもかいぶつだった)

ああそうか君も怪物だった

(きゅうけつきというなの)

吸血鬼と言う名の