行間に花ひとつ

(つたえられないことがいくつもあって)

伝えられないコトが幾つもあって

(それがふえるたびにきずもふやした)

それが増える度に傷も増やした

(たとえるならばそれはにっきのようで)

喩えるならばそれは日記のようで

(だれかによまれるのもうとましくなって)

誰かに読まれるのも疎ましくなって

(あなたにいいわすれたこともあって)

あなたに言い忘れたコトもあって

(それをおもいだすたびにまつげしめらせた)

それを思い出す度に睫毛湿らせた

(あかいあかいきずからはなをさかせて)

紅い紅い傷から花を咲かせて

(あたたかいはなびらをあなたはなでて)

温かい花びらをあなたは撫でて

(あかいあかいうそをつく)

紅い紅い嘘をつく

(かんたんなかんたんなよろこびから)

簡単な　簡単な　喜びから

(ふくざつなふくざつなほしがりまで)

複雑な　複雑な　欲しがりまで

(いみじくないみじくなかなしみから)

いみじくな　いみじくな　悲しみから

(しょぼくれたしょぼくれたふんがいまで)

しょぼくれた　しょぼくれた　憤慨まで

(すべてうつったこのしゃしんあなたがとってくれたから)

全て写ったこの写真　あなたが撮ってくれたから

(さよならじゃさいごにできないこともあって)

「サヨナラ」じゃ最後にできないこともあって

(それがあったかずだけさよならしてた)

それがあった数だけ「サヨナラ」してた

(こんにちはのかずはおぼえてなくて)

「コンニチハ」の数は覚えてなくて

(きになればきになるほどしたがしびれた)

気になれば気になるほど舌が痺れた

(そのしたでまたうそをつく)

その舌でまた嘘をつく

(これからはこれからはなにをしよう)

これからは　これからは　何をしよう

(これまではこれまではなにをしてた)

これまでは　これまでは　何をしてた？

(いつからかいつからかわからぬまま)

いつからか　いつからか　分からぬまま

(これからもこれからもあなたをとる)

これからも　これからも　あなたを録る

(すべてぼやけたそうぞうもほんとにするといったから)

「全てぼやけた想像もホントにする」　と言ったから

(このはなびらはやがてとけるたとえぞうかだったとしても)

この花びらはやがて溶ける　たとえ造花だったとしても

(ぼくもきづいていたんだろうこのこいのからくりに)

僕も気づいていたんだろう　この恋のカラクリに

(こんにちはこんにちはからさよならへ)

「コンニチハ」「コンニチハ」からサヨナラへ

(かんけつにかんけつにさとったふりして)

簡潔に　簡潔に　悟ったフリして

(いつからかいつからかわからぬまま)

いつからか　いつからか　分からぬまま

(いずれまたいずれまたこれをうたう)

いずれまた　いずれまた　これを歌う

(ばからしくなったときにでも)

馬鹿らしくなった時にでも

(これをうたってみてくれよ)

これを歌ってみてくれよ