うるうびと

(ほんとみたいなうそばかり)

ホントみたいな嘘ばかり

(ほおばりつづけるせかいで)

頬張り続ける世界で

(うそみたいなほんとばかり)

嘘みたいなホントばかり

(かかえたきみはきゅうくつそうにわらった)

抱えた君は窮屈そうに　笑った

(げんきすぎるこのからだに)

元気すぎるこの身体に

(あきたころにねつがでると)

飽きた頃に熱が出ると

(なぜかみょうにうれしくてさ)

なぜか妙に嬉しくてさ

(おおきなこえでははのもとへとかけた)

大きな声で　母の元へと駆けた

(こころのいろかたちまるでちがう)

心の色、形　まるで違う

(ふたつのたましいがまざったとき)

二つの魂が混ざった時

(なにがおこるかな)

何が起こるかな

(あといくつしんぞうがあればぼくはきみのてをつかんで)

あといくつ心臓があれば僕は君の手を掴んで

(このむねのなかにさらえるだろう)

この胸の中に攫えるだろう

(いまやじんるいはこのちきゅうを)

今や人類はこの地球を

(とびだしかせいをめざす)

飛び出し火星を目指す

(なのにぼくはにじゅっせんちさきの)

なのに僕は20センチ先の

(きみのほうがとおい)

君の方が遠い

(ちいさすぎるそのせなかに)

小さすぎるその背中に

(おおきすぎるさだめせおい)

大きすぎる運命背負い

(ぼくももつよとてかそうにも)

「僕も持つよ」と手貸そうにも

(このてすりぬけ)

この手すり抜け

(あるじのもとへとかえる)

主の元へと帰る

(めをはなしたらすぐにまた)

目を離したらすぐにまた

(いびきをかきはじめるぼくの)

いびきをかきはじめる僕の

(さいぼうおこしたのは)

細胞起こしたのは

(あといくつしんぞうがあれば)

あといくつ心臓があれば

(きみにこのきもちを)

君にこの気持ちを

(かぶそくなくぼくは)

過不足なく僕は

(つたえられるのだろう)

伝えられるのだろう

(いまやじんるいをこえるちのうが)

今や人類を越える知能が

(うまれているのに)

生まれているのに

(ぼくのことばはあしぶみを)

僕の言葉は足踏みを

(ただくりかえす)

ただ繰り返す

(ぜんじんるいからじゅっぷんずつだけじゅみょうをもらい)

全人類から10分ずつだけ寿命をもらい

(きみのなかどうにか)

君の中どうにか

(うめこめやしないのかい)

埋め込めやしないのかい

(それかぼくののこりの)

それか僕の残りの

(いのちをにとうぶんして)

命を二等分して

(かたっぽをあなたに)

片っぽをあなたに

(わたせやしないのかい)

渡せやしないのかい

(そしたらせーので)

そしたら「せーの」で

(らいせにのれる)

来世に乗れる

(あといくつしんぞうがあれば)

あといくつ心臓があれば

(ぼくはきみのてをつかんで)

僕は君の手を掴んで

(このむねのなかにさらえるだろう)

この胸の中に攫えるだろう

(いまやじんるいはこのちきゅうを)

今や人類はこの地球を

(とびだしかせいをめざす)

飛び出し火星を目指す

(だけどぼくはにじゅっせんちさきの)

だけど僕は20センチ先の

(きみだけをめざす)

君だけを目指す

(このひとつのしんぞうが)

この一つの心臓が

(こえのかぎりにさけぶよ)

声の限りに叫ぶよ

(あなたはわたしがこのせかいに)

「あなたは私がこの世界に

(いきたいみでした)

生きた意味でした」