人でなしの恋5

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問題文
(ほんとうにせかいがいっぺんしたのでございます。ふたおやのもとでそだてられていた)
ほんとうに世界が一変したのでございます。二た親のもとで育てられていた
(じゅうくねんをげんじつせかいにたとえますなら、ごこんれいのあとの、それがふこうにもたったはんとし)
十九年を現実世界にたとえますなら、御婚礼の後の、それが不幸にもたった半年
(ばかりのあいだではありましたけれど、そのあいだはまるでゆめのせかいか、おとぎばなしのせかいに)
ばかりの間ではありましたけれど、その間はまるで夢の世界か、お伽噺の世界に
(すんでいるきもちでございました。おおげさにもうしますれば、うらしまたろうがおとひめさまの)
住んでいる気持でございました。大げさに申しますれば、浦島太郎が乙姫様の
(ごちょうあいをうけたというりゅうぐうせかい、あれでございますわ、いまからかんがえますと、)
御寵愛を受けたという龍宮世界、あれでございますわ、今から考えますと、
(そのじぶんのわたしは、ほんとうにうらしまたろうのようにこうふくだったのでございますわ。)
その時分の私は、本当に浦島太郎の様に幸福だったのでございますわ。
(せけんでは、およめいりはつらいものとなっていますのに、わたしのはまるでせいはんたい)
世間では、お嫁入りはつらいものとなっていますのに、私のはまるで正反対
(ですわね。いいえ、そうもうすよりは、そのつらいところまでいかぬうちに、あの)
ですわね。いいえ、そう申すよりは、そのつらい所まで行かぬ内に、あの
(おそろしいはたんがまいったというほうがあたっているのかもしれませんけれど。)
恐ろしい破綻が参ったという方が当たっているのかも知れませんけれど。
(そのはんとしのあいだを、どのようにしてくらしましたことやら、ただもうたのしかったと)
その半年の間を、どの様にして暮しましたことやら、ただもう楽かったと
(もうすほかに、こまごましたことなどわすれてもおりますし、それに、このおはなしには)
申す外に、こまごましたことなど忘れても居りますし、それに、このお話には
(たいしてかんけいのないことですから、おのろけめいたおもいでばなしはよしにいたしましょう)
大して関係のないことですから、おのろけめいた思出話は止しにいたしましょう
(けれど、かどのがわたしをかわいがってくれましたことは、それはもう、せけんのどのような)
けれど、門野が私を可愛がってくれましたことは、それはもう、世間のどの様な
(にょうぼうおもいのごていしゅでも、とてもまねもできないほどでございました。むろんわたしは、)
女房思いの御亭主でも、とても真似も出来ないほどでございました。無論私は、
(それをただただありがたいことにおもって、いわばとうすいしてしまって、なんのうたがいをいだく)
それをただただ有難いことに思って、いわば陶酔してしまって、何の疑いを抱く
(よゆうもなかったのでございますが、このかどのがわたしをかわいがりすぎたということ)
余裕もなかったのでございますが、この門野が私を可愛がり過ぎたということ
(には、あとになってかんがえますと、じつにおそろしいいみがあったのでございます。)
には、あとになって考えますと、実に恐しい意味があったのでございます。
(といって、なにもかわいがりすぎたのがはたんのもとだともうすわけではありません。)
といって、何も可愛がり過ぎたのが破綻の元だと申す訳ではありません。
(あのひとは、まごころをこめて、わたしをかわいがろうとどりょくしていたにすぎないので)
あの人は、真心をこめて、私を可愛がろうと努力していたに過ぎないので
(ございます。それがけっして、だましてやろうというようなこころもちではなかった)
ございます。それが決して、だましてやろうという様な心持ではなかった
(のですから、あのひとがどりょくすればするほど、わたしはそれをまにうけて、しんから)
のですから、あの人が努力すればするほど、私はそれを真に受けて、真から
(たよっていく、みもこころもなげだしてすがりついていく、というわけでございました。)
頼って行く、身も心も投げ出してすがりついて行く、という訳でございました。
(ではなぜ、あのひとがそんなどりょくをしましたか、もっともこれらのことは、)
ではなぜ、あの人がそんな努力をしましたか、尤もこれらのことは、
(ずっとずっとあとになって、やっときづいたのではありますけれど、それには、)
ずっとずっと後になって、やっと気づいたのではありますけれど、それには、
(じつにおそろしいりゆうがあったのでございます。)
実に恐ろしい理由があったのでございます。