人でなしの恋16
江戸川乱歩『人でなしの恋』
編集の都合上、一部読点を省いています。
| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | やまちゃん | 4831 | B | 4.9 | 97.9% | 439.4 | 2169 | 46 | 32 | 2026/01/30 |
| 2 | nk | 4391 | C+ | 4.7 | 92.6% | 454.3 | 2167 | 172 | 32 | 2026/01/25 |
| 3 | kuma | 3712 | D+ | 4.0 | 92.6% | 537.7 | 2167 | 171 | 32 | 2025/12/29 |
| 4 | syu | 2874 | E+ | 3.0 | 95.9% | 730.2 | 2191 | 92 | 32 | 2025/12/30 |
| 5 | デコポン | 235 | G | 0.2 | 96.8% | 8936.3 | 2176 | 71 | 32 | 2026/01/10 |
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問題文
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(く)
九
(さて、わたしのざんげばなしともうしますのは、じつはこれからあとの、)
さて、私の懺悔話と申しますのは、実はこれからあとの、
(おそろしいできごとについてでございます。ながながとつまらないおしゃべりを)
恐ろしい出来事についてでございます。長々とつまらないおしゃべりを
(しましたうえに「まだつづきがあるのか」と、さぞうんざりなさいましょうが、)
しました上に「まだ続きがあるのか」と、さぞうんざりなさいましょうが、
(いいえ、ごしんぱいにはおよびません。そのようてんともうしますのは、ほんのわずかなじかんで)
いいえ、御心配には及びません。その要点と申しますのは、ほんの僅かな時間で
(すっかりおはなしできることなのでございますから。びっくりなすっては)
すっかりお話出来ることなのでございますから。びっくりなすっては
(いけません。そのおそろしいできごとともうしますのは、じつはこのわたしがひとごろしのつみを)
いけません。その恐ろしい出来事と申しますのは、実はこの私が人殺しの罪を
(おかしたおはなしでございます。そのようなたいざいにんが、どうしてしょばつをもうけないで)
犯したお話でございます。その様な大罪人が、どうして処罰をも受けないで
(あんのんにくらしているかともうしますと、そのひとごろしはわたしじしんちょくせつにてを)
安穏に暮しているかと申しますと、その人殺しは私自身直接に手を
(くだしたわけでなく、いわばかんせつのつみなものですから、たとえあのときわたしがすべてを)
下した訳でなく、いわば間接の罪なものですから、たとえあの時私がすべてを
(じはくしていましても、つみをうけるほどのことはなかったのでございます。)
自白していましても、罪を受けるほどのことはなかったのでございます。
(とはいえ、ほうりつじょうのつみはなくとも、わたしはあきらかにあのひとをしにみちびいたげしゅにんで)
とはいえ、法律上の罪はなくとも、私は明かにあの人を死に導いた下手人で
(ございます。それを、むすめごころのあさはかにも、いっときのおそれにとりのぼせて、)
ございます。それを、娘心のあさはかにも、一時の恐れにとりのぼせて、
(ついはくじょうしないですごしましたことは、かえすがえすももうしわけなく、それいらいずっと)
つい白状しないで過ごしましたことは、返す返すも申訳なく、それ以来ずっと
(こんにちまで、わたしはいちやとしてやすらかにねむったことはありません。いまこうして)
今日まで、私は一夜としてやすらかに眠ったことはありません。今こうして
(ざんげばなしをいたしますのも、なきおっとへの、せめてものつみほろぼしでございます。)
懺悔話をいたしますのも、亡き夫への、せめてもの罪亡ぼしでございます。
(しかし、そのとうじのわたしは、こいにめがくらんでいたのでございましょう。)
しかし、その当時の私は、恋に目がくらんでいたのでございましょう。
(わたしのこいがたきが、あいてもあろうにいきたにんげんではなくて、いかにめいさくとはいえ、)
私の恋敵が、相手もあろうに生きた人間ではなくて、いかに名作とはいえ、
(つめたいいっこのにんぎょうだとわかりますと、そんなむしょうのどろにんぎょうにみかえられたかと、)
冷い一個の人形だと分りますと、そんな無生の泥人形に見返られたかと、
(もうくやしくてくやしくて、くやしいよりはちくしょうどうのおっとのこころがあさましく、)
もう口惜しくて口惜しくて、口惜しいよりは畜生道の夫の心が浅間しく、
など
(もしこのようなにんぎょうがなかったなら、こんなことにもなるまいと、はては)
もしこの様な人形がなかったなら、こんなことにもなるまいと、はては
(たちきというにんぎょうしさえうらめしくおもわれるのでございます。ええ、ままよ)
立木という人形師さえうらめしく思われるのでございます。エエ、ままよ
(このにんぎょうめの、なまめかしいしゃっつらを、たたきのめし、てあしをひっちぎってしまったなら、)
この人形奴の、艶かしい這面を、叩きのめし、手足を引ちぎってしまったなら、
(かどのとてまさかあいてのないこいもできはすまい。そうおもうと、もういっときも)
門野とてまさか相手のない恋も出来はすまい。そう思うと、もう一ときも
(ゆうよがならず、そのばん、ねんのために、もういちどおっととにんぎょうとのおうせをたしかめたうえ、)
猶予がならず、その晩、念のために、もう一度夫と人形とのおう瀬を確めた上、
(よくそうちょう、くらのにかいへかけあがって、とうとうにんぎょうをめちゃめちゃにひっちぎり)
翌早朝、蔵の二階へ駈上って、とうとう人形を滅茶滅茶に引ちぎり
(めもはなもくちもわからぬようにたたきつぶしてしまったのでございます。)
目も鼻も口も分らぬ様に叩きつぶしてしまったのでございます。
(こうしておいて、おっとのそぶりをちゅういすれば、まさかそんなはずはないのですけれど)
こうして置いて、夫のそぶりを注意すれば、まさかそんな筈はないのですけれど
(わたしのそうぞうがまちがっていたかどうかもわかるわけなのでございます。そうしてちょうど)
私の想像が間違っていたかどうかも分る訳なのでございます。そうして丁度
(にんげんのれきしにんのように、にんぎょうのくび、どう、てあしとばらばらになって、きのうにかわる)
人間の轢死人の様に、人形の首、胴、手足とばらばらになって、昨日に変る
(みにくいむくろをさらしているのをみますと、わたしはやっとむねをさすることが)
醜いむくろをさらしているのを見ますと、私はやっと胸をさすることが
(できたのでございます。)
出来たのでございます。