人でなしの恋6
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問題文
(さん)
三
(「へんだな」ときがついたのは、ごこんれいからちょうどはんとしほどたったじぶんでござい)
「変だな」と気がついたのは、御婚礼から丁度半年ほどたった時分でござい
(ました。いまからおもえば、あのとき、かどののちからが、わたしをかわいがろうとするどりょくが、)
ました。今から思えば、あの時、門野の力が、私を可愛がろうとする努力が、
(いたましくもつきはててしまったものにそういありません。そのすきにじょうじて、)
いたましくも尽きはててしまったものに相違ありません。その隙に乗じて、
(もうひとつのみりょくが、ぐんぐんとあのひとを、そちらのほうへひっぱりだしたので)
もう一つの魅力が、グングンとあの人を、そちらの方へひっぱり出したので
(ございましょう。おとこのあいというものが、どのようなものであるか、こむすめのわたしが)
ございましょう。男の愛というものが、どの様なものであるか、小娘の私が
(しろうはずはありません。かどののようなあいしかたこそ、すべてのおとこの、いいえ、)
知ろう筈はありません。門野の様な愛し方こそ、すべての男の、いいえ、
(どのおとこにもまさったあいしかたにそういないと、ながいあいだしんじきっていたのでございます。)
どの男にも勝った愛し方に相違ないと、長い間信じ切っていたのでございます。
(ところが、これほどしんじきっていたわたしでも、やがて、すこしずつすこしずつ、)
ところが、これほど信じ切っていた私でも、やがて、少しずつ少しずつ、
(かどののあいになんとやらいつわりのぶんしをふくむことを、かんづきはじめないではいられません)
門野の愛に何とやら偽りの分子を含むことを、感づき初めないではいられません
(でした。・・・・・・そのえくすたしいはかたちのうえにすぎなくて、こころでは、なにか)
でした。……そのエクスタシイは形の上に過ぎなくて、心では、何か
(はるかなものをおっている、みょうにつめたいくうきょをかんじたのでございます。わたしをながめる)
遙かなものを追っている、妙に冷い空虚を感じたのでございます。私を眺める
(あいぶのまなざしのおくには、もうひとつのつめたいめが、とおくのほうをぎょうししている)
愛撫のまなざしの奥には、もう一つの冷い目が、遠くの方を凝視している
(のでございます。あいのことばをささやいてくれます、あのひとのこわねすら、なんとやら)
のでございます。愛の言葉を囁いてくれます、あの人の声音すら、何とやら
(うつろで、きかいじかけのこえのようにもおもわれるのでございます。でも、まさか、)
うつろで、機械仕掛の声の様にも思われるのでございます。でも、まさか、
(そのあいじょうがさいしょからすべていつわりであったなどとは、とうじのわたしにはおもいも)
その愛情が最初から総て偽りであったなどとは、当時の私には思いも
(およばぬことでした。これはきっと、あのひとのあいがわたしからはなれて、どこかのひとに)
及ばぬことでした。これはきっと、あの人の愛が私から離れて、どこかの人に
(うつりはじめたしるしではあるまいか、そんなふうにうたぐってみるのが、)
移りはじめたしるしではあるまいか、そんな風に疑って見るのが、
(やっとだったのでございます。うたがいというもののくせとして、いちどそうして)
やっとだったのでございます。疑いというものの癖として、一度そうして
(きざしがあらわれますと、ちょうどゆうだちぐもがひろがるときのような、おそろしいはやさでもって、)
きざしが現れますと、丁度夕立雲が広がる時の様な、恐しい早さでもって、
(あいてのいっきょいちどう、どんなびさいなてんまでも、それがわたしのこころいっぱいに、ふかいふかい)
相手の一挙一動、どんな微細な点までも、それが私の心一杯に、深い深い
(ぎわくのくもとなって、むらがりたつのでございます。あのときのおことばのうらにはきっと)
疑惑の雲となって、群がり立つのでございます。あの時の御言葉の裏にはきっと
(こういういみをふくんでいたにそういない。いつやらのごふざいは、あれはいったいどこへ)
こういう意味を含んでいたに相違ない。いつやらの御不在は、あれは一体どこへ
(いらしったのであろう。こんなこともあった、あんなこともあったと、)
いらしったのであろう。こんなこともあった、あんなこともあったと、
(うたがいだしますとさいげんがなく、よくもうす、あしのしたのじめんが、とつぜんなくなって、)
疑い出しますと際限がなく、よく申す、足の下の地面が、突然なくなって、
(そこへおおきなまっくらなくうどうがあけて、はてしれぬじごくへすいこまれていく)
そこへ大きな真暗な空洞が開けて、はて知れぬ地獄へ吸い込まれて行く
(かんじなのでございます。)
感じなのでございます。