終戦の詔勅〈現代語訳風〉

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義命の存する所、堪え難きを堪え忍び難きを忍び…
昭和天皇が聖断を下すに当たっての苦悩が痛切に感じられる名文です。

現代語訳風です。
「朕」を「私」に訳すかどうかを悩みましたが、皇帝のみ許される第一人称なのでやはり「朕」にしました。
できるだけ原文の格調を失わないようにしましたがいかがでしょうか。
ローマ字欄のところに原文も入っています。

紹介文にある通り、ない文言が含まれていますが解っていただける方に理解いただければ幸いです。

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問題文

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(ちんはふかくせかいのたいせいとていこくのげんじょうとにかんがみ、)

朕は深く世界の大勢と帝国の現状とに鑑み、

朕深ク世界ノ大勢ト帝国ノ現状トニ鑑ミ

(ひじょうのそちをもってこのじきょくをしゅうしゅうせんこととかんがえ、)

非常の措置をもってこの時局を収拾せんことと考え、

非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ収拾セムト欲シ

(ここにちゅうぎあつくぜんりょうなるなんじらしんみんにつぐ。)

ここに忠義厚く善良なる汝ら臣民に告ぐ。

茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク

(ちんはていこくせいふをしてべいこく、えいこく、しな、それんのよんかこくにたいし、)

朕は帝国政府をして米国、英国、支那、ソ連の四カ国に対し、

朕ハ帝国政府ヲシテ米英支蘇四国ニ対シ

(そのきょうどうせんげんをじゅだくするむねをつうこくせしめたものである。)

その共同宣言を受諾する旨を通告せしめたものである。

其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ

(そもそもわがていこくしんみんのへいおんかつやすらかなるくらしをかくほし、)

そもそも我が帝国臣民の平穏かつ安らかなる暮らしを確保し、

抑々帝国臣民ノ康寧ヲ図リ

(ぜんせかいのくにぐにとともにはんえいをなし、そしてそのよろこびをきょうゆうすることは、)

全世界の国々と共に繁栄をなし、そしてその喜びを共有することは、

万邦共栄ノ楽ヲ偕ニスルハ

(わがくにをけんこくしたかみがみと、そのしそんであるれきだいのてんのうがのこされたおしえにして、)

我が国を建国した神々と、その子孫である歴代の天皇が遺された教えにして、

皇祖皇宗ノ遺範ニシテ

(ちんがつねひごろからふかくむねにきざみ、そのじつげんにつとめてきたところである。)

朕が常日頃から深く胸に刻み、その実現に努めてきた所である。

朕ノ拳々措カサル所

(したがって、さきにべいえいにこくにせんせんせるりゆうもまた、)

従って、さきに米英二国に宣戦せる理由もまた、

曩ニ米英二国ニ宣戦セル所以モ亦

(じつにていこくのじそんじえいとひがしあじあのあんていとをこころからねがうものであって、)

実に帝国の自存自衛と東アジアの安定とを心から願うものであって、

実ニ帝国ノ自存ト東亜ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ

(たこくのしゅけんをはいじょしたりりょうどをおかすがごとくは、)

他国の主権を排除したり領土を侵すがごとくは、

他国ノ主権ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ

(もとよりちんのほんいでなく、そのようないしもけっしてない。)

もとより朕の本意でなく、そのような意志も決してない。

固ヨリ朕カ志ニアラス

(いま、このせんそうがはじまりすでにせんとうじょうたいがよねんにわたりつづいている。)

今、この戦争が始まり既に戦闘状態が四年にわたり続いている。

然ルニ交戦已ニ四歳ヲ閲シ

(ちんがりくかいぐんのしょうへいのゆうせん、)

朕が陸海軍の将兵の勇戦、

朕カ陸海将兵ノ勇戦

(ちんがすべてのかんりょうやくにんのれいせい、ちんがいちおくしゅうしょのほうこう、)

朕が全ての官僚役人の励精、朕が一億衆庶の奉公、

朕カ百僚有司ノ励精朕カ一億衆庶ノ奉公

(おのおのがそのさいぜんをつくせるにかかわらず、せんきょくはかならずしもこうてんせず、)

各々がその最善を尽くせるにかかわらず、戦局は必ずしも好転せず、

各々最善ヲ尽セルニ拘ラス戦局必スシモ好転セス

(せかいのおおくのせいりょくもまた、わがていこくにたいしてくみしりするたちばにない。)

世界の多くの勢力もまた、我が帝国に対して与し利する立場にない。

世界ノ大勢亦我ニ利アラス

(それだけでなく、てきはしんがたのひどうざんぎゃくなるばくだんをしようし、)

それだけでなく、敵は新型の非道残虐なる爆弾を使用し、

加之敵ハ新ニ残虐ナル爆弾ヲ使用シテ

(あまたのつみのないみんかんじんをさっしょうし、)

数多の罪のない民間人を殺傷し、

頻ニ無辜ヲ殺傷シ

など

(そのさんがいのおよぶところは、まさにはかりしえることができない。)

その惨害の及ぶ所は、正に測りし得ることが出来ない。

惨害ノ及フ所真ニ測ルヘカラサルニ至ル

(ここにおいて、なおもこうせんをけいぞくするならば、)

ここにおいて、なおも交戦を継続するならば、

而モ尚交戦ヲ継続セムカ

(ついにはわがにほんみんぞくのめつぼうをまねくだけでなく、)

ついには我が日本民族の滅亡を招くだけでなく、

終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招来スルノミナラス

(ひいてはじんるいのぶんめいをもはかいめっきゃくしてしまうじたいとなろう。)

ひいては人類の文明をも破壊滅却してしまう事態となろう。

延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ

(かくのごときなればちん、なにをもってかわがこどうぜんであるしんみんをまもり、)

かくの如きなれば朕、何をもってか我が子同然である臣民を守り、

斯ノ如クムハ朕何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ

(わがくにをおこされたかみがみや、れきだいてんのうのしんれいにおわびできようか。)

我が国を興された神々や、歴代天皇の神霊にお詫びできようか。

皇祖皇宗ノ神霊ニ謝セムヤ

(これこそちんが、ていこくせいふをしてきょうどうせんげんにおうじせしむるにいたったりゆうである。)

これこそ朕が、帝国政府をして共同宣言に応じせしむるに至った理由である。

是レ朕カ帝国政府ヲシテ共同宣言ニ応セシムルニ至レル所以ナリ

(ちんは、わがていこくとともにしゅうしひがしあじあのかいほうにきょうりょくしてくれた)

朕は、我が帝国と共に終始東アジアの解放に協力してくれた

朕ハ帝国ト共ニ終始東亜ノ解放ニ協力セル

(ゆうこうしょこくどうしにたいし、いかんのいをひょうめいせざるをえない。)

友好諸国同志に対し、遺憾の意を表明せざるを得ない。

諸盟邦ニ対シ遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス

(わがていこくのしんみんでせんじんにししたもの、しょくいきにじゅんじたもの、)

我が帝国の臣民で戦陣に死した者、職域に殉じた者、

帝国臣民ニシテ戦陣ニ死シ職域ニ殉シ

(そして、ふうんなうんめいでいのちをおとしたおおくのものたちや、)

そして、不運な運命で命を落とした多くの者達や、

非命ニ斃レタル者

(そのいぞくにおもいをいたせば、ふかいかなしみでみもこころもひきさかれるおもいである。)

その遺族に思いを致せば、深い悲しみで身も心も引き裂かれる思いである。

及其ノ遺族ニ想ヲ致セハ五内為ニ裂ク

(またせんそうできずをおい、せんかにまきこまれ、)

また戦争で傷を負い、戦禍に巻き込まれ、

且戦傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙リ

(いえやしごとをうしないたるもののせいかつなどをかんがえると、ちんはふかくしんぱいでこころがいたむ。)

家や仕事を失いたる者の生活などを考えると、朕は深く心配で心が痛む。

家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ朕ノ深ク軫念スル所ナリ

(こんご、わがていこくのうけるであろうくなんはじんじょうではなく、)

今後、我が帝国の受けるであろう苦難は尋常ではなく、

惟フニ今後帝国ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋常ニアラス

(ひつぜつにつくしがたいものであろう。)

筆舌に尽くし難いものであろう。

(なんじらしんみんのこころのうちは、ちんもまたよくわかっているつもりである。)

汝ら臣民の心の内は、朕もまた良く分かっているつもりである。

爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル

(そうではあるがちんは、)

そうではあるが朕は、

然レトモ朕ハ

(じせいのうつりかわりのやむをえないところにあっても、ぎのめいのみちびきにしたがいて、)

時世の移り変わりの已むを得ない所にあっても、義の命の導きに従いて、

時運ノ趨ク所

(そのたえがたきをたえ、しのびがたきをしのび、)

その堪え難きを堪え、忍び難きを忍び、

堪へ難キヲ堪へ忍ヒ難キヲ忍ヒ

(もってばんせいのためにたいへいのよをきりひらかんことを、ここにつよくのぞむけついである。)

もって万世の為に太平の世を切り開かん事を、ここに強く望む決意である。

以テ万世ノ為ニ太平ヲ開カムト欲ス

(ちんはかくもここにこくたいをごじしうることができた。)

朕はかくもここに国体を護持し得ることができた。

朕ハ茲ニ国体ヲ護持シ得テ

(ちゅうぎあつくぜんりょうなるなんじらしんみんのいつわりなきまごころをこころからしんじ、)

忠義厚く善良なる汝ら臣民の偽り無き真心を心から信じ、

忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ

(そしてどこまでもなんじらしんみんとともにあろう。)

そしてどこまでも汝ら臣民と共にあろう。

常ニ爾臣民ト共ニ在リ

(こんごにいたっては、もしげきじょうのおもむくままみだりにそうらんやことをおこしたり、)

今後に至っては、もし激情の赴くままみだりに騒乱や事を起こしたり、

若シ夫レ情ノ激スル所濫ニ事端ヲ滋クシ

(あるいはどうほうどうしがはいせきしあいおとしいれたり、たがいにこっかをこんらんにおちいらせて、)

あるいは同胞同士が排斥し合い陥れたり、互いに国家を混乱に陥らせて、

或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ乱リ

(それがためにだいどうをあやまり、わがくにがせかいにしんぎをうしなうようなけっかをまねくこと、)

それがために大道を誤り、我が国が世界に信義を失うような結果を招くこと、

為ニ大道ヲ誤リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ

(ちんはもっともこれをいましめたいのだ。)

朕は最もこれを戒めたいのだ。

朕最モ之ヲ戒ム

(くにをあげ、ぜんこくみんがまさにいっかのごとくだんけつし、)

国を挙げ、全国民がまさに一家のごとく団結し、

宜シク挙国一家

(このくにとそのせいしんをししそんそんまでつたえのこし、かたくしんしゅうにほんのふめつをしんじよ。)

この国とその精神を子々孫々まで伝え残し、かたく神州日本の不滅を信じよ。

子孫相伝ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ

(みなでくにをになうというは、)

皆で国を担うというは、

(そのせきにんはおもく、またそのみちのりはとおきものであるという)

その責任は重く、またその道のりは遠きものであるという

任重クシテ道遠キヲ

(つよいかくごとじかくをもち、もてるちからのすべてをしょうらいのけんせつにかたむけよ。)

強い覚悟と自覚を持ち、持てる力の総てを将来の建設に傾けよ。

念ヒ総力ヲ将来ノ建設ニ傾ケ

(そしてどうぎをあつくし、しそうをかたくし、ちかいわがくにのもつしんのちからをはっきし、)

そして道義を篤くし、志操をかたくし、誓い我が国の持つ真の力を発揮し、

道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ国体ノ精華ヲ発揚シ

(せかいのはってんにこうじんをはいすることのないようどりょくせよ。)

世界の発展に後塵を拝する事のないよう努力せよ。

世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ

(なんじらしんみんよ、これがちんのいしであるとよくよくりかいし、)

汝ら臣民よ、これが朕の意志であるとよくよく理解し、

爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ

(じゅうぶんにくみとり、これらたいげんすることをせつにねがうものである。)

十分に汲み取り、これら体現することを切に願うものである。

体セヨ

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