二流の人

(そんなにほしいてんかならいえやすおまえにくれてやろう)

そんなに欲しい天下なら　家康　お前にくれてやろう

(まぐれでかったせきがはらさぞやよろいもかるかろう)

まぐれで勝った関ケ原　さぞや鎧も軽かろう

(せめてひゃくにちせきがはらつづいておればこのてんか)

せめて百日関ケ原　続いておればこの天下

(おれがものにしていたものを)

俺がものにしていたものを

(のぶなが、ひでよし、いえやすとつかえていくさにあけくれた)

信長、秀吉、家康と　仕えて戦に明け暮れた

(みずのごとくとながれてきたが)

水の如くと　流れてきたが

(いまはてんかにみれんなし)

今は　天下に未練無し

(くろだかんべえにがわらいいっしょうつきがなかったと)

黒田官兵衛　苦笑い　一生ツキがなかったと

(くろだかんべえにがわらい)

黒田官兵衛　苦笑い

(ゆみもひかずにただまつだけでてんかとったかいえやすよ)

弓も引かずに　ただ待つだけで　天下取ったか　家康よ

(じゅうまんのへいしひきいてやぶれたいしだみつなりおろかもの)

十万の兵士　率いて敗れた　石田三成　愚か者

(せめてひとつきせきがはらつづいておればはかたから)

せめてひと月関ケ原　続いておれば博多から

(おおさか、きょうまでせめこんだ)

大阪、京まで　攻め込んだ

(てんかをとればふねをだしばてれんのくにやきぬのみち)

天下を取れば　船を出し　バテレンの国や絹の道

(ただのひとりでかけめぐるそれもいまはゆめのゆめ)

ただの一人で　駆け巡る　それも今は　夢の夢

(くろだかんべえにがわらいいっしょうつきがなかったと)

黒田官兵衛　苦笑い　一生ツキが無かったと

(くろだかんべえにがわらい)

黒田官兵衛　苦笑い

(ながれるみずにもじをかくそんなむだないっしょうさ)

流れる水に　文字を書く　そんな無駄な一生さ

(ひとよわらえにりゅうのひとといまはおのれがあわれなり)

人よ笑え二流の人と　今はおのれが哀れなり

(くろだかんべえにがわらいいっしょうつきがなかったと)

黒田官兵衛　苦笑い　一生ツキがなかったと

(くろだかんべえにがわらい)

黒田官兵衛　苦笑い