藍坊主「マザー」

(あれだけいやだったくらやみが、)

あれだけ嫌だった暗闇が、

(いまではこんなにちかくにかんじる)

今ではこんなに近くに感じる

(ほんとうにみにくいものなんて、)

本当に醜い物なんて、

(ほんとうにあったのだろうか。)

本当にあったのだろうか。

(きたなくうつるすべてにも、)

汚く映るすべてにも、

(うつくしいりゆうがひそんでいる、)

美しい理由が潜んでいる、

(そのわけをすこししって、)

そのわけを少し知って、

(ふくざつなあいにであった。)

複雑な愛に出会った。

(ぼくはきみのためなら、)

僕は君のためなら、

(かみさまさえいじめてしまうだろう、)

神様さえいじめてしまうだろう、

(ぼくはきみのためなら、)

僕は君のためなら、

(いくつでもうそをつくだろう、)

いくつでも嘘をつくだろう、

(ぼくのちちやははが、)

僕の父や母が、

(そうしてきたように、)

そうしてきたように、

(このせかいのみにくさを、)

この世界の醜さを、

(このてでかくしてしまうだろう。)

この手で隠してしまうだろう。

(いつかきみはきづくだろう、)

いつか君は気付くだろう、

(このてのひらのむこうがわに、)

この手のひらの向こう側に、

(そのときはせかいじゃなくて、)

その時は世界じゃなくて、

(かくしたぼくをにくんでほしい。)

隠した僕を憎んでほしい。

(つないだてとてをはなさぬように、)

つないだ手と手を離さぬように、

(ぼくにただできること、)

僕にただできること、

(きみがまたつよくいきれるよう、)

君がまた強く生きれるよう、

(ゆびさそう、)

指差そう、

(ゆがんだこのせなかを。)

歪んだこの背中を。

(ぼくはなんどもうたったよ、)

僕は何度も歌ったよ、

(せかいがくるっていることを、)

世界が狂っていることを、

(けどほんとうにだいじだったのは、)

けど本当に大事だったのは、

(なぜそうなってしまうのかっていうこと。)

なぜそうなってしまうのかっていうこと。

(みにくいものをすすんでつくりだせるほど、)

醜い物を進んで創り出せるほど、

(ぼくたちにんげんは、)

僕たち人間は、

(つよくはないだろう。)

強くはないだろう。

(まちがいも、きたなさも、)

間違いも、汚さも、

(しょうがなくうまれつづけてる、)

しょうがなく生まれ続けてる、

(あいがうつくしいだけで、どうだろう、)

愛が美しいだけで、どうだろう、

(こんなにうつくしくみえるだろうか。)

こんなに美しく見えるだろうか。

(つながるてとてが、)

つながる手と手が、

(うみだすもの、)

生み出すもの、

(あたたかいちのおくから、)

温かい血の奥から、

(どうしようもなくあふれてくる、)

どうしようもなくあふれてくる、

(うつくしいみにくいをおしのけて。)

美しい醜いを押しのけて。

(かおをだしたきみのめは、)

顔を出した君の芽は、

(やがてもえるみどりにかわり、)

やがて萌える緑に変わり、

(かぜをうけて、)

風を受けて、

(あたらしいいのちをつなぐ、)

新しい命をつなぐ、

(ぼくはそのときまで、)

僕はその時まで、

(つないだてとてをはなさぬように、)

つないだ手と手を離さぬように、

(わらえるひとでありたい、)

笑える人でありたい、

(きみのあしがとまらないよう、)

君の足が止まらないよう、

(いきるよろこびをしめして。)

生きる喜びをしめして。

(つないだてとてがたどるばしょを、)

つないだ手と手が辿る場所を、

(ぼくはゆめみている、)

僕は夢見ている、

(こんなにあたたかいなみだに、)

こんなにあたたかい涙に、

(もういちど、このせかいを、)

もう一度、この世界を、

(しんじてみようとおもった。)

信じてみようと思った。

(ゆあまざー、すまいるず、おん、ゆー)

ユアマザー、スマイルズ、オン、ユー