無垢

(ひとつふたつ)

一つ、二つ、

(みっつよっつと)

三つ、四つと

(おわることのないはじまり)

終わる事の無い始まり

(ぽたりぽたり)

ぽたり ぽたり

(したたるそれを)

滴る其れを

(かぞえつつもみてみぬふり)

数えつつも見て見ぬ振り

(いくせんいくまん)

幾千、幾万、

(いくおくになり)

幾億になり

(はじまることのないおわりへ)

始まる事の無い終わりへ

(ぽたりぽたり)

ぽたり ぽたり

(したたるそれは)

滴る其れは

(かぞえきれず)

数え切れず

(うおうさおう)

右往左往

(はなしがいのばりぞうごんが)

放し飼いの罵詈雑言が

(ねじこんだたねではらむうずき)

捻じ込んだ種で孕む疼き

(くいやぶりはいだしたそれを)

喰い破り這い出した其れを

(だけどそこにあいはあるか？)

抱けど其処に愛はあるか？

(しがんはくろいあめもようのなか)

此岸は黒い雨模様の中

(ずぶぬれでわらうにんげんのむれ)

ずぶ濡れで嗤う人間の群れ

(はれまにかかるくろいにじにかっさい)

晴れ間に架かる黒い虹に喝采

(おぞましくさいたひがんはな)

悍ましく咲いた彼岸花

(むくがおかされまだらにひろがり)

無垢が犯され斑に広がり

(にじんでおもかげもただのくろ)

滲んで面影も唯の黒

(あのころはどんなかおで)

あの頃はどんな顔で

(それをみている)

其れを見ている？

(ああとかく)

嗚呼 兎角

(しみがそこなきあなのくちひろげ)

染みが底無き穴の口広げ

(やんやとはやしたてまつる)

やんやと囃し奉る

(りょうのめをひんむいて)

両の目を引ん剥いて

(やきつけたそのいろは)

焼き付けた其の色は

(しろかくろかごくさいか)

「白」か「黒」か「極彩」か

(さぁなにいろにみえる)

さぁ、何色に見える？

(ながれるときのみずかがみにうつるつらは)

流れる時の水鏡に映る面は

(みなとおなじくわらう)

皆と同じく嗤う

(ゆらめいたせつなにみせたつらは)

揺らめいた刹那に見せた面は

(みおぼえのあるなみだげしょう)

見覚えのある涙化粧

(むくとしみとのさかいにうごめくもうりょう)

無垢と染みとの境に蠢く魍魎

(おもかげがみえかくれ)

面影が見え隠れ

(いきぬくことと)

「生き抜く事」と

(いきながらえることのさ)

「生き存える事」の差

(ああうまれ)

嗚呼 産まれ

(いきてしにいくことの)

生きて死に行く事の

(いみがほしいのなら)

意味が欲しいのなら…

(このゆびとまれ)

「この指止まれ」

(りょうのめをひんむいて)

両の目を引ん剥いて

(やきつけたそのうつつ)

焼き付けた其の現

(おのがいのち)

己が命

(かげえしばい)

影絵芝居

(さぁなにがみえる)

さぁ、何が見える？