アポロンの竪琴

(おんがくはうみからうまれたのだろうか)

音楽は海から生まれたのだろうか

(なみのようにはんぷくしながら)

波のように反復しながら

(こころのきずぐちにすりこむこうやくとして)

心の傷口にすりこむ膏薬として

(かなしみのきおくをうみのとおなりにかえ)

悲しみの記憶を海の遠鳴りに変え

(なみだをかいがらにとじこめるために)

涙を貝殻に閉じ込めるために

(おんがくはそらからうまれたのだろうか)

音楽は空から生まれたのだろうか

(かぜのようにかけぬけながら)

風のように駆け抜けながら

(ほおをなでていくといきとして)

頬を撫でていく吐息として

(あすへののぞみをほしのまたたきとしてしめし)

明日への望みを星のまたたきとして示し

(ゆめをはるかなしらくものかたちにするために)

夢を遥かな白雲の形にするために

(しかしみみをすますときこえてくるだろう)

しかし耳をすますと聞こえてくるだろう

(たてごとのねいろが)

竪琴の音色が

(まちかどできょうしつのまどべで)

街角で　教室の窓辺で

(としょかんのかたすみでこうていのきのそばで)

図書館の片隅で　校庭の樹のそばで

(むねのときめきからおんがくがはじまる)

胸のときめきから音楽が始まる

(おんがくはあなたのうたごえあなたのことば)

音楽はあなたの歌声　あなたの言葉

(あなたのさけびあなたのつぶやきあなたのものがたりのはじまり)

あなたの叫び　あなたのつぶやき　あなたの物語の始まり

(あなたはだれかのためにうたうだろう)

あなたは誰かのために歌うだろう

(きづいてほしい)

気づいてほしい

(おんがくはあなたからあなたのたいせつなだれかへとかなでられるものなのだということに)

音楽はあなたからあなたの大切な誰かへと奏でられるものなのだということに

(わたしたちがひとりではないことをかくにんするために)

私たちが一人ではないことを確認するために

(そうぞうしてほしい)

想像してほしい

(せかいがおんがくにみちたひのことを)

世界が音楽に満ちた日のことを

(せかいはときめきにあふれひとはひとのためにうたをうたっていることを)

世界はときめきに溢れ人は人のために歌を歌っていることを

(そしてあなたのうたをまっているひとがいることを)

そして、あなたのうたを待っている人がいることを

(みみをすませばきこえてくるだろう)

耳をすませば聞こえてくるだろう

(あぽろんのたてごとにのせて)

アポロンの竪琴に乗せて

(いまこそわたしたちのうたがうまれるときなのだ)

今こそ私たちの歌が生まれるときなのだ