インク

(かぜにふかれてゆれる)

風に吹かれて揺れる

(ひだまりとにじんだいんく)

陽だまりと滲んだインク

(かれにつたえて)

彼に伝えて

(わたしまだあなたをおもっている)

私まだあなたを想っている

(かめらをさがしかけたけど)

カメラを探しかけたけど

(やめてのぞくこころのふぁいんだー)

やめて覗く心のファインダー

(ぼっくすしーとまどぎわで)

ボックスシート窓際で

(ながれいくうみをみてた)

流れ行く海を見てた

(あなたとのさよならを)

あなたとのさよならを

(ちっぽけにかんじたくて)

ちっぽけに感じたくて

(さがしにきたのえぴろーぐを)

探しに来たのエピローグを

(ひとりあてもなく)

一人あてもなく

(かぜにふかれてゆれる)

風に吹かれて揺れる

(ひだまりとにじんだいんく)

陽だまりと滲んだインク

(ふいにこぼれて)

ふいにこぼれて

(ひかるおもいでをだきしめている)

光る思い出を抱きしめている

(かぜにまかせてふわり)

風に任せてふわり

(ならんではさりいくかもめ)

並んでは去り行くカモメ

(かれにつたえて)

彼に伝えて

(わたしまだあなたをおもっている)

私まだあなたを想っている

(なんどもかきなおしたのに)

何度も書き直したのに

(だせないままのてがみを)

出せないままの手紙を

(かみひこうきにするかわりに)

紙飛行機にする代わりに

(かばんにしのばせてのたび)

鞄に忍ばせての旅

(わたしらしいとあなたわらうんでしょうねきっと)

私らしいとあなた笑うんでしょうねきっと

(とおいむかしのぷろろーぐをおもいかえしてる)

遠い昔のプロローグを思い返してる

(かぜにふかれてゆれる)

風に吹かれて揺れる

(ひだまりとにじんだいんく)

陽だまりと滲んだインク

(かれにつたえて)

彼に伝えて

(わたしまだあなたをおもっている)

私まだあなたを想っている

(もういちどまきもどせたならふたりは)

もう一度巻き戻せたなら二人は

(みらいをえらびなおすかな)

未来を選びなおすかな

(あなたはいまどうしてますか)

あなたは今どうしてますか

(しおかぜかおるてらす)

潮風香るテラス

(びんせんのしわをのばして)

便箋のしわを伸ばして

(よみかえしてる)

読み返してる

(わたしすてきなこいをしてたんだ)

私素敵な恋をしてたんだ

(かぜにふかれてゆれる)

風に吹かれて揺れる

(ひだまりとにじんだいんく)

陽だまりと滲んだインク

(ふいにこぼれてひかる)

ふいに零れて光る

(おもいでをだきしめている)

思い出を抱きしめている

(だせないままのてがみ)

出せないままの手紙

(あがりれっしゃがくるまえに)

上がり列車が来る前に

(すてられるかな)

捨てられるかな

(わたしまだあなたをおもっている)

私まだあなたを想っている